基幹システムとは?導入目的や効果、選ぶ際のポイントについて解説

基幹システムとは?導入目的や効果、選ぶ際のポイントについて解説

基幹システムには販売管理や在庫管理、勤怠管理や顧客管理などの機能があり、企業における基幹的な業務を効率化することが可能です。本記事では基幹システムのメリットやデメリット、近年の動向や課題、選ぶ際のポイントなどを解説します。ぜひ参考にしてください。

 

目次[非表示]

  1. 1.基幹システムは基幹業務の効率化を図るサービス
    1. 1.1.基幹システムの種類
    2. 1.2.情報系システムやERPとの違い
  2. 2.基幹システムの導入がもたらす4つのメリット
    1. 2.1.業務プロセスの自動化により効率化できる
    2. 2.2.情報を一元管理できて社内で共有しやすい
    3. 2.3.属人化を解消し、業務の標準化が可能
    4. 2.4.ヒューマンエラーを未然に防ぎやすくなる
  3. 3.基幹システムのデメリット2つ
    1. 3.1.システムが停止すると業務を遂行できなくなる
    2. 3.2.導入しても期待する効果が発揮されない可能性がある
  4. 4.基幹システムの動向と課題
    1. 4.1.システム老朽化により新システムへの移行が必要
    2. 4.2.近年はクラウド型の基幹システムが増えている
  5. 5.基幹システムを選ぶ際に考えるべき4つのポイント
    1. 5.1.操作性が良くて使いやすいシステムを選ぶ
    2. 5.2.セキュリティが強固で安全なシステムを選ぶ
    3. 5.3.初期費用や月額費用を確認した上で検討する
    4. 5.4.メンテナンスやアップデート時の対応について確認する
  6. 6.まとめ

 

基幹システムは基幹業務の効率化を図るサービス

基幹システムとは、企業における基幹的な業務を自動化または効率化できるサービスのことです。近年は、企業活動における業務にITの活用が不可欠であり、コンピューターのシステム利用によって従来まで人間が手作業でやっていた業務が自動化されています。

今後もこの状況は続いていくことが考えられ、できるだけ早く基幹システムを導入することで効率化が図られると同時に、企業活動の生産性を高められるでしょう。

基幹システムには、生産管理システム、販売管理システム、購買管理システム、在庫管理システムなどの種類があり、企業によって導入する機能や求めるシステムが異なります。それぞれのシステムの機能や効果などを考慮した上で導入すると良いでしょう。

基幹システムの種類

 

基幹システムには、企業における基幹的な業務を自動化または効率化するためのシステムが盛り込まれています。中でも代表的なのは生産管理システム、販売管理システム、購買管理システム、在庫管理システムなどです。

例えば在庫管理システムでは、商品のJANコードを読み取ることで在庫がいくつ残っているのかを簡単に把握する機能を導入できるでしょう。また1週間あたり、あるいは1ヶ月あたりの販売数を記録し、自動的に適当な注文数を提案してくれる機能などが含まれている場合もあります。

このようなことは、人間よりもシステムによって自動化したほうが格段に効率化できるのです。顧客から受注したあとに生産するような企業の場合、このような在庫管理システムは不要かもしれません。しかし、従業員のための勤怠システムや購買管理システムは必須になることが考えられます。

基幹システムを導入したいと考えている企業は、自分の企業にどのようなシステムが必要で、何が不要なのかを明確にしてから導入していきましょう。

 

情報系システムやERPとの違い

基幹システムと似たような機能や目的をもつシステムには、「情報系システム」や「ERP」などがあります。基幹システムは企業の基幹的な業務の全般的な効率化を図るためのシステムであるのに対し、情報系システムは社内のコミュニケーションの円滑化や業務効率化といった目的に特化したシステムです。

最近では、社内でコミュニケーションをとる際に、チャットツールを導入している企業も増えてきました。チャットを利用したコミュニケーションのメリットは、席を立って人に会いにいく時間を必要とせず、迅速に連絡を終わらせられる点です。さらに対面では話しにくい内容の連絡でも、チャットであれば伝えやすくなるでしょう。

コロナ禍の働き方としてリモートワークが注目されている現在、情報系システムのチャットを利用することで、リモートワークにおいても社内の情報共有を問題なくできるのです。

ERPは「総合基幹業務システム」ともいわれ、企業が保有する「ヒト・モノ・カネ」などの財産に関する情報の一元管理が目的のシステムです。例えば、大企業では膨大な情報を管理したり分析したりする必要があり、このERPを導入することでデータの管理が簡単にできます。

基幹システムの導入に合わせて情報系システムやERPを導入することで、業務の効率化や情報管理がより簡単にできるでしょう。

基幹システムの導入がもたらす4つのメリット

企業の業務に基幹システムを導入することにより、業務プロセスの自動化や効率化が可能になる、情報の一元管理ができて社内で共有しやすくなる、業務の属人化を解消して標準化できる、ヒューマンエラーを未然に防ぎやすくなるなどのメリットが得られます。

それぞれのメリットを把握した上で基幹システムを導入すると、基幹システムの強みを最大限に活かしやすくなり、導入効果をより高めることが可能です。

 

業務プロセスの自動化により効率化できる

基幹システムの導入により、業務プロセスを自動化できます。従来まで手作業で行っていた業務を自動化することで、時短につながって効率化が図れるのです。

例えば、以前まではアルバイトを含めた従業員の出勤や退社時間をタイムカードで管理していたとしましょう。この場合、必ず誰かがタイムカードを見て勤務時間を確認し、確定した上で給料を計算する作業が必要であったはずです。

基幹システムのうちの勤怠管理システムを活用するとこのような業務は必要なく、無駄な人件費を削減できます。従業員がシステムを利用した勤怠管理をすることで、自動的に勤務時間や給料の計算などをしてくれるのです。このように、業務プロセスを自動化できることが基幹システムの大きなメリットといえるでしょう。

 

情報を一元管理できて社内で共有しやすい

基幹システムを導入すると、企業が保有するあらゆる情報の管理が簡単にできます。情報の一元管理が可能になると社内での共有や分析もしやすくなるでしょう。

例えば飲食店を全国展開している企業の場合、各店舗ごとに売上が異なります。各店舗の店長がわざわざ上司に売上額の連絡や報告をするという業務は、基幹システムを活用することでなくせるでしょう。上司がシステムから店舗情報を検索し、勝手に売上を確認することも可能になるのです。

 

属人化を解消し、業務の標準化が可能

基幹システムの導入により、従来では「この人でなければできない」といった業務でも、標準化をして誰でも同じように業務をこなしやすくすることが可能です。業務を標準化することで、業務の担当者が急遽休んでしまったり辞職してしまったりしても、ほかの人が代行して業務を遂行できます。

さらに上手く活用すると、社員だけではなくアルバイトでも同じクオリティの業務ができるようになるでしょう。

 

ヒューマンエラーを未然に防ぎやすくなる

基幹システムの導入には、ヒューマンエラーを未然に防ぎやすくなるといったメリットがあります。例えば在庫の発注作業で過去の発注量に比べてあまりにも多い、あるいは少ない場合に「誤った数量」という警告を出すような機能もつけられるでしょう。

このような機能をつけた場合、ヒューマンエラーを防げることに加え、在庫が売れずに残ってしまう場合の損失も避けられるのです。

 

基幹システムのデメリット2つ

基幹システムの導入におけるデメリットには、システムが停止すると業務が遂行できなくなることや、導入しても期待する効果が発揮されない可能性があることが挙げられます。これらのデメリットを考慮した上で、少しでも魅力を感じるのであれば導入を検討してみましょう。

まずは、基幹システムの導入によって自社の課題を解決できるのかどうかを確認してみると良いです。

 

システムが停止すると業務を遂行できなくなる

業務効率化のために基幹システムを導入したとしても、もしもシステムそのものが停止してしまった場合に、業務を遂行できなくなってしまうというデメリットがあります。基幹システムは企業の基幹的な業務と密接な関係にあるため、それが停止すると企業活動が完全に止まってしまうのです。

業務への影響を可能な限り少なくするためには、システムのメンテナンスの時間帯なども慎重に検討する必要性があります。

 

導入しても期待する効果が発揮されない可能性がある

基幹システムは、業務の効率化を保証してくれるものではありません。たとえ業務効率化のために基幹システムを導入したとしても、場合によっては効果を発揮できないことも理解しておきましょう。

基幹システムを導入したならば、まずは従業員が使いこなせるようになり、システムのメリットを活用できるようにしなければなりません。導入する基幹システムの機能や種類を検討するだけではなく、どのように従業員に運用させるのかも合わせて考えるようにしましょう。

 

基幹システムの動向と課題

1990年代以降、日本でも基幹システムを導入する企業が増えてきました。当時に基幹システムを導入してから現在に至るまで、未だに当時のシステムを使い続けている企業も多数存在するでしょう。システムが老朽化してパフォーマンスが低下していたり、現在の社内における基幹業務の自動化や効率化が難しくなっていたりする場合も考えられます。

最近はクラウド型の基幹システムも増えているため、今後のシステム移行を見据えて少しでも早いうちから導入する新システムの比較や検討をしていきましょう。

 

システム老朽化により新システムへの移行が必要

早い時期に基幹システムを導入した企業では、システムが老朽化してきており、新しいシステムへの移行が必要な状態にあります。もちろんシステムが実際に老朽化するわけではありませんが、古い技術を利用したシステムのカスタマイズや運用できるIT人材が不足しているのです。

同じ基幹システムを使い続けている企業も多いですが、古い基幹システムでは運用や保守が難しいため、より効率の良い新システムへの移行を検討すべきでしょう。

 

近年はクラウド型の基幹システムが増えている

近年は、インターネット(クラウド)上で運用するクラウド型のシステムが増えています。クラウド型の基幹システムを運用することで設備を社内に置く必要がなく、セキュリティ面も安心でしょう。

ただし、クラウド型の基幹システムは従量課金制であることが多く、長期的な運用コストを見た場合、社内に設備を置いて基幹システムを運用するいわゆる「オンプレミス型」よりも高くなります。

 

基幹システムを選ぶ際に考えるべき4つのポイント

基幹システムを選ぶ際には、操作性が良く使いやすいこと、セキュリティが強固で安全なシステムであることに加え、初期費用や月額費用をしっかりと確認した上で選定することがポイントです。実際に導入した後のメンテナンスや、アップデートなどの対応方法についても確認しておくべきでしょう。

さらに導入までの期間なども事前に確認し、あらかじめ基幹システムの導入または移行について従業員に共有しておくことも必要です。

 

操作性が良くて使いやすいシステムを選ぶ

基幹システムは、従業員が覚えやすくて使いやすいシステムであることが重要です。基幹システムの目的は業務の自動化や効率化を図ることであるはずなのに、使いにくいシステムを導入してしまうと従来よりも時間がかかってしまうかもしれません。

基幹システムの導入によるメリットや効果をしっかり発揮させるためにも、まずはシステムの操作性などをしっかりと判断して選びましょう。

 

セキュリティが強固で安全なシステムを選ぶ

安全性の観点からも、基幹システムのセキュリティが強固であることを確認して選ぶようにしてください。基幹システムは企業における基幹的な業務との関連性が高いため、もしもシステムを悪用されてしまうと企業活動に多大な影響を及ぼすでしょう。

そのような事態を回避するためにも、必ずセキュリティに不安を残さないようにシステムを選んでください。また常に安全性を確保するために、基幹システムのバージョンを最新の状態にすることも忘れないようにしましょう。

 

初期費用や月額費用を確認した上で検討する

最近は基幹システムの機能や性能が向上しており、大企業だけではなく中小企業でも導入されることが増えています。クラウド型にするのか、あるいはパッケージ版(オンプレミス型)にするのか、またどのようなシステムの種類や機能を導入するのかによって費用が変わるため、自社に導入したいシステムの費用がどのくらいなのかを確認しましょう。

長期的な運用コストをあまり気にしないのであれば、クラウド型の基幹システムを導入すると運用やシステムの保守が楽になります。

 

メンテナンスやアップデート時の対応について確認する

基幹システムを選ぶ際には、必ずメンテナンスやアップデートなどの対応について確認してください。基幹システムの導入によって基幹的な業務が全てシステム利用に置き換わるため、業務に影響を出さないようにメンテナンスやアップデートをしていかなければなりません。

あらかじめメンテナンスやアップデートの対応を確認し、さまざまなシステムを比較してから最終的な判断をくだしましょう。

 

まとめ

基幹システムは企業の基幹的な業務を自動化し、効率化を図るためのものであり、企業のIoT化という観点からも導入の価値は非常に高いでしょう。以前までは「大企業が導入するもの」という認識が強くありましたが、最近ではクラウド型のシステムの創出によって運用や保守が楽にできるようになり、中小企業でも導入するケースが増えています。

システムによって自社のどの業務を自動化や効率化できるのか、自社にとってどのようなシステムの機能が必要なのかなどを確認し、その要件を満たす基幹システムを比較検討して導入するようにしましょう。ぜひ企業における業務の時短や生産性向上を図ってみてください。