プロジェクトの責任者として完遂まで導くプロジェクトマネージャーは、キャリアアップしたいエンジニアにおすすめの仕事です。この記事では、プロジェクトマネージャーの定義やプロジェクトリーダーとの違い、役割や適性がある人の5つの特徴などを解説します。プロジェクトマネージャーを志す方は必見です。
プロジェクトマネージャーの定義
プロジェクトマネージャーとは、プロジェクト全体に対して責任を持ち、総合的に管理を行う役割のことです。プロジェクトの提案はもとより、立ち上げから納入に至るまで、すべての工程の進捗を管理し、プロジェクトチーム全体の進行をコントロールします。
プロジェクトマネージャーは役職ではありません。1つのプロジェクトの管理を担当するため、プロジェクトの期間においてマネージャーとしての役割を果たします。
プロジェクトマネージャーとプロジェクトリーダーとの違い
プロジェクトマネージャーとよく似た言葉に、プロジェクトリーダーがあります。
プロジェクトリーダーとは、システム開発現場の責任者として、開発チームや品質管理チームといったチームを率いる役割のことです。あくまでもチームをマネジメントする立場であり、プロジェクトマネージャーの業務をサポートする役割といえます。
プロジェクトマネージャーは、プロジェクト全体の責任者です。チームごとに置かれたプロジェクトリーダーと連携しながら、プロジェクトの推進とQCD(品質・コスト・納期)の確保や達成に責任を負います。クライアントとの窓口になるのもプロジェクトマネージャーです。
プロジェクトマネージャーになるまでの流れ
プロジェクト全体を管轄するプロジェクトマネージャーは、一定の経験を積んだ方のみがなれるポジションです。システムエンジニアのキャリアの1つとして、プロジェクトマネージャーを目指す方が多く存在します。
プロジェクトマネージャーになるまでの主な流れは、以下のとおりです。
- システムエンジニアとして経験を積む
- プロジェクトリーダーとして活躍する
- プロジェクトマネージャーに抜擢される
まずは、システムエンジニアとしてITプロジェクトでの経験を積みましょう。システムエンジニアは、システムの構築や運用に関する設計を行う仕事です。将来的にプロジェクトマネージャーとして活躍するためには、さまざまなシステムの開発に携わり、プロジェクト経験を積む必要があります。
その後、管理職であるプロジェクトリーダーとして、現場管理を担当しましょう。現場の責任者として、要件定義から総合テストに至るまでの一連の工程に携わります。プロジェクトマネージャーに適宜進捗を報告したり、現場の士気を高めたりして、リーダーシップを身につけることが大切です。
プロジェクトリーダーとして活躍し、システム開発の知識やスキル、リーダーシップの高さが評価されると、晴れてプロジェクトマネージャーに抜擢されます。
プロジェクトマネージャーが管轄する分野と役割
プロジェクトマネージャーが管轄する分野は、主に以下の5つです。
- システム開発・アプリケーション開発・SI:システムやアプリケーションの設計・開発
- アウトソーシング:開発、保守、システム運用など
- ネットワークサービス:通信環境の提案・構築・管理
- eビジネスソリューション:企業の業務システムの設計や開発
- ソフトウェア開発:ソフトウェアの設計・開発・改善・保守
プロジェクトマネージャーには、それぞれの分野に関する知識やスキルが求められます。
具体的には、以下のような役割を担います。
- 目的の明確化と進捗管理によってプロジェクトを完遂させる
- 適切な人材配置を行いリソースとコストを管理する
- 顧客や外注先とやり取りを行う
プロジェクトマネージャーはプロジェクトの完遂に向けて、プロジェクトの立ち上げから納入まで、さまざまな業務を担当する役割です。クライアントや外注先との窓口として、密な連絡や交渉が必要な場合もあります。
ここでは、プロジェクトマネージャーの役割について詳しく解説します。
目的の明確化と進捗管理によってプロジェクトを完遂させる
プロジェクトマネージャーは、プロジェクトの目的を明確化し、完遂するための行動計画を立てます。そこから、プロジェクトの期間や規模を決定し、必要な工程を洗い出してタスクとして細分化し、プロジェクトチームの編成を行うのです。
プロジェクトが始まった後は、進捗管理を徹底し、期限内に完遂できるようにコントロールします。プロジェクトリーダーやチームメンバーとのコミュニケーションを取りながら、起こりうるリスクを想定し、事前に対策を講じたうえで、プロジェクトを円滑に進めることが必要です。
適切な人材配置を行いリソースとコストを管理する
社内のマネジメントも、プロジェクトマネージャーの重要な仕事の1つです。スケジュール管理だけではなく、限られた人材とコストを管理する能力も求められます。
人材管理では、プロジェクトに適した人材を確保し、それぞれのスキルを発揮できるような適切なポジションに配置します。メンバーのスキルやモチベーションアップのための施策も重要です。
コスト管理も欠かせません。プロジェクトには予算が決まっているため、予算内で質の高いアウトプットを出せるよう、各タスクに予算を割り振ってコストを適切に運用する必要があります。
顧客や外注先とやり取りを行う
顧客や外注先など、社外とのやり取りもプロジェクトマネージャーの仕事です。特に、クライアントとの密なコミュニケーションは、クライアントのニーズを満たす成果物を完成させるためには欠かせません。クライアントに確認しながら適宜要望を反映させて、プロジェクトを進めることが大切です。
タスクを外注している場合は、外注先ともコミュニケーションをとり、進捗管理を行う必要があります。外注先に依頼した業務が遅延してしまうと、プロジェクト全体の遅延が避けられません。進捗だけではなく、進め方や人材配置なども確認しながら、納期内に質の高い成果物を出してもらえるようなマネジメントを行いましょう。
プロジェクトマネージャーに向いている人の特徴5つ
プロジェクトマネージャーには向き・不向きがあります。プロジェクトマネージャーに向いている人の特徴は、以下のとおりです。
- 社内外との連携や提案・交渉が苦手ではない
- ロジカルシンキングに基づいた客観的な話ができる
- ストレス耐性がある
- マネジメントができる
- 専門知識がある
上記の特徴を満たしている方は、プロジェクトマネージャーとして活躍する、というキャリアに挑戦してみてはいかがでしょうか。
ここでは、プロジェクトマネージャーに向いている人の5つの特徴を詳しく紹介します。
1.社内外との連携や提案・交渉が苦手ではない
プロジェクトマネージャーは、社内外のさまざまな人やチームと連携し、適宜提案や交渉を行わなければなりません。そのためには、高いコミュニケーション能力が不可欠です。人とコミュニケーションをとるのが苦ではなく、自信を持って提案や交渉を行える方は、プロジェクトマネージャーに必要な資質が備わっているといえるでしょう。
2.ロジカルシンキングに基づいた客観的な話ができる
プロジェクトマネージャーは、さまざまな意思決定を行う立場です。その際に、主観的な判断しかできない方は、メンバーやクライアントからの理解を得られないため、プロジェクトマネージャーには向いていません。
ロジカルシンキングに基づいた客観的な話ができる方ならば、論理的に意思決定を行うことができ、メンバーやクライアントへの説明や交渉の際にも、理解や納得を得られます。
3.ストレス耐性がある
チームメンバーはもちろん、クライアントや経営層など、さまざまな関係者とプロジェクトマネージャーはコミュニケーションをとり、各種調整を行う必要があります。華やかな印象がある一方、大きなストレスがかかる大変な仕事です。ストレス耐性がある方や、関係者とのすり合わせにストレスを感じにくい方は、プロジェクトマネージャーに向いています。
4.マネジメントができる
当然のこととして、プロジェクトマネージャーにはマネジメントが求められます。プロジェクトだけではなく、ビジネスに関するマネジメントスキルも重要です。
たとえば、クライアントと密にコミュニケーションをとって良好な関係を築いたり、クライアントにとって利益がある新規プロジェクトを提案したり、リスクの回避や軽減をしたりするスキルが求められます。
このようなマネジメントスキルが十分に備わっている方には、プロジェクトマネージャーという仕事がおすすめです。
5.専門知識がある
プロジェクトマネージャーとしての役割を果たすためには、ITに関する基礎的な知識はもちろん、クライアントの業界に対する知識やプロジェクトマネジメントに関する専門知識が必要です。特に、クライアントの業界や業務について正しく理解し、専門知識を持ってプロジェクトを進めていくことが求められます。このような専門知識があることや、専門知識を積極的に身につけようとする姿勢が、プロジェクトマネージャーにとっては重要なのです。
プロジェクトマネージャーになりたい人におすすめの資格
プロジェクトマネージャーになるために、必ずしも資格を取る必要はありません。しかし、関係する資格を取得することで、採用時に有利になったり、必要な知識や技術を身につけられたりします。
プロジェクトマネージャーを志す方には、以下のような資格を取得するのがおすすめです。
- プロジェクトマネージャ試験
- 基本情報技術者試験
- 応用情報技術者試験
- ITストラテジスト試験
プロジェクトマネージャ試験
その名のとおりプロジェクトマネージャーに必要な資質を確かめるための資格試験です。システム開発の管理や技術といったITスキル面だけではなく、経営や戦略など、組織運営に関わる内容も出題されます。毎年春頃に実施されるため、ぜひチェックしてみてください。
参考:プロジェクトマネージャ試験
基本情報技術者試験
プログラミングやアルゴリズムといったシステム開発に関わる基本的な内容から、システム戦略、法務、プロジェクトマネジメントまで、幅広い内容を問う試験です。プロジェクトマネージャーとして活躍するための基本的な事項を取り扱っています。毎年春頃と秋頃の2回実施され、受験者も多い国家資格です。
参考:基本情報技術者試験
応用情報技術者試験
毎年春頃と秋頃の2回実施され、基本情報技術者試験よりワンランク難易度が高い試験です。キャリアアップを目指すエンジニアや、高いITスキルが求められるプロジェクトマネージャーを目指す方におすすめできます。
参考:応用情報技術者試験
ITストラテジスト試験
情報システムの分析・評価や、情報戦略の立案、システム導入支援などに関する内容が問われます。毎年秋頃に実施され、プロジェクトマネージャーや、ITコンサルタントを志す方が多く受験する試験です。
参考:ITストラテジスト試験
プロジェクトマネージャーを目指す際に心がけるポイント
ロジェクトマネージャーを目指す際は、以下のポイントを心がけましょう。
- 積極的にプロジェクトに参加して実践経験を積む
- 人から信頼される力を磨いておく
プロジェクトマネージャーとして活躍するためには、豊富なプロジェクト経験が重要です。また、プロジェクトをマネジメントするためには、人から信頼される力を身につけることも欠かせません。
ここでは、プロジェクトマネージャーを目指す方が心がけるべきポイントについて詳しく解説します。
積極的にプロジェクトに参加して実践経験を積む
プロジェクトマネージャーを目指すのであれば、積極的にプロジェクトに参加し、実践経験を積みましょう。本や資格の勉強も大切ですが、すべてが教科書どおりに進むとは限りません。イレギュラーな事態にも対応できるよう、プロジェクト経験を積んで、実践を繰り返すことが非常に大切です。プロジェクトに参加して、わからないところや足りないところは勉強で補う、という流れを繰り返すことで早く成長できます。
人から信頼される力を磨いておく
プロジェクトを完遂するためには、メンバーからの信頼を集め、協力してもらうことが不可欠です。そのために、人から信頼される力を磨いておきましょう。プロジェクト全体の士気を高められるようにメンバーを鼓舞したり、必要に応じてアドバイスを行ったりすることが大切です。問題が発生した際には、解決のために適切なサポートを行うことも求められます。メンバーに信頼してもらえるようにさまざまなスキルを身につけ、プロジェクトを牽引することが重要です。
まとめ
今回は、プロジェクトマネージャーの役割や向いている人の特徴、プロジェクトマネージャーを志す方におすすめの資格や心がけるべきポイントなどを解説しました。プロジェクト全体を牽引し、完遂まで導くプロジェクトマネージャーは、キャリアアップしたいシステムエンジニアにおすすめの仕事です。プロジェクトマネージャーには、コミュニケーション能力やマネジメント能力、さまざまなプロジェクト経験など、幅広いスキルや経験が求められます。
プロジェクトマネージャーに相応しい人材が不足して悩んでいる方は、ぜひとも当社へお気軽にお問い合わせください。
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