AzureとAWSのサービス比較!両者の強みやどちらを選ぶべきかをケース別に解説

AzureとAWSのサービス比較!両者の強みやどちらを選ぶべきかをケース別に解説

パブリッククラウドの主要サービスといえば、マイクロソフトのAzureとAmazonのAWSが挙げられます。AzureとAWSのどちらを選ぶべきか、迷っている方もいらっしゃるでしょう。今回は、AzureとAWSの強みや弱みを解説し、どちらを選ぶべきかをケース別にご紹介します。

 

目次[非表示]

  1. 1.パブリッククラウド「Azure」と「AWS」はどちらを選ぶべき?
  2. 2.AzureとAWSの料金比較
  3. 3.Azureの強み
    1. 3.1.マイクロソフト社の製品と親和性が高い
    2. 3.2.セキュリティレベルが高い
    3. 3.3.オンプレミス環境と連携しやすい
  4. 4.AWSの強み
    1. 4.1.実行能力とビジョンの完全性において高く評価されている
    2. 4.2.より多くの国で利用できる
    3. 4.3.豊富な機能を備えている
  5. 5.AWS・Azureに共通する特徴
  6. 6.AWSと比べた際の「Azureの弱み」
    1. 6.1.AWSより仮想マシンの起動速度が遅い
    2. 6.2.情報量が多くない
  7. 7.Azureと比べた際の「AWSの弱み」
    1. 7.1.保守運用の自由度が低い
    2. 7.2.最適なサービス選択が難しい
  8. 8.AzureとAWSはどちらが最適?ケース別に紹介
    1. 8.1.Azureが適しているケース
    2. 8.2.AWSが適しているケース
  9. 9.AWSとAzureは併用も可能
  10. 10.まとめ

 

パブリッククラウド「Azure」と「AWS」はどちらを選ぶべき?

パブリッククラウドの中でも高いシェア率を誇るのが、「Amazon Web Services」(アマゾン ウェブ サービス)と「Microsoft Azure」(マイクロソフト・アジュール)です。どちらを選べばよいかで迷っている方もいらっしゃるでしょう。

Amazon Web Services(以下、AWS)は、Amazon Web Service社が提供するクラウドプラットフォームで、パブリッククラウドの先駆けのような存在です。Amazonが保有するITシステムの構築や、運営技術をもとに提供されています。

Microsoft Azure(以下、Azure)は、マイクロソフト社が提供するクラウドプラットフォームです。Office365と連携でき、Windowsを利用している方にとって非常に使いやすいという特徴があります。最近では、オープンソースソフトウェアとの連携にも注力しているのが特徴です。

双方にメリットとデメリットがあり、適しているケースが異なります。どちらを選ぶべきかを判断するためには、それぞれの特徴について詳しく理解しましょう。

 

 

AzureとAWSの料金比較

まずは、AzureとAWSの料金を比較してみましょう。AzureとAWSは、どちらも使用した分だけ料金が発生する従量課金制の料金体系です。

ここでは、以下のサービスについて、料金を比較します。

  • 仮想マシン(VM)
  • ネットワーク
  • ストレージ
  • 機械学習
  • データベース
  • ビッグデータ

 

​​​​​​​

Azure

AWS
仮想マシン(VM)
$181/月
$148/月
ネットワーク
$180/1TB
$114/1TB
ストレージ
$25.0/1TB
$25.0/1TB
機械学習
$25.8/100時間
$29.8/100時間
データベース

データ読み込み:
$29/1億リクエスト
データ書き込み:
$29/1億リクエスト

ストレージ: $283/1TB

データ読み込み:
$28/1億リクエスト
データ書き込み:
$143/1億リクエスト

ストレージ: $285/1TB

ビッグデータ

$5/1TB

$5/1TB

※ 料金は全て東京リージョンで計算

 

両サービスとも、さまざまなサービスに無料枠を設けています。Azureは、200USドル分の無料クレジットを提供しているほか、毎月上限まで無料枠のサービスを利用できる仕組みです。

AWS も100以上のサービスについて無料枠を設けており、毎月の上限まで無料で利用できます。

※上記表に記載の料金は2023年2月時点のものです。
 AzureとAWSの料金や無料枠について詳しくは、以下をご覧ください。

料金計算ツール
AWSの料金

 

 

Azureの強み

Azureの強みは以下のとおりです。

  • マイクロソフト社の製品と親和性が高い
  • セキュリティレベルが高い
  • オンプレミス環境と連携しやすい

 

特にマイクロソフト社の製品との親和性が高い点は、Windowsやそのほかマイクロソフト社の製品を使用している方にとって大きなメリットといえます。

そのほか、マイクロソフト社ならではのセキュリティレベルの高さや、オンプレミス環境と連携してハイブリッドクラウド環境を構築しやすい点が魅力です。

Azureの特徴やメリット、デメリットについて、詳しくは以下の記事をご覧ください。

  Microsoft Azureの特徴は?メリットやデメリットも解説 Azureとは、Microsoft社によって提供されているアプリやシステム開発に便利なクラウドサービスのことです。本記事ではAzureの特徴、メリットやデメリットについて解説します。IoT導入やクラウド化を検討している方は参考にしてください。   目次[非表示] 1.そもそもRPAとは?基礎知識をチェック 1.1.RPAが注目を集めている背景 1.2.RPAによる自動化におすすめの業務 1.3.サーバ型・クラウド型・デスクトップ型の違い 1.4.AIなどの似たシステムとの違い 2.RPAがもたらす5つのメリット 2.1.1.作業の負担が軽減し、労働環境の改善につながる 2.2.2.人的コストを削減できる 2.3.3.人為的ミスを削減できる 2.4.4.24時間いつでも稼働でき、スケジュールの短縮になる 2.5.5.高度な作業に集中でき、事業拡大につながる 3.RPAを利用する3つのデメリット 3.1.1.間違った作業でも自動で進めてしまう 3.2.2.導入のためにコストがかかる 3.3.3.急に作業が停止してしまう恐れがある 4.RPAの導入を検討する際のポイント 5.まとめ そもそもRPAとは?基礎知識をチェック そもそもRPAとは、ロボットによる業務プロセスの自動化のことです。「Robotic Process Automation」を略した言葉であり、海外では「デジタルワークフォース」ともいわれます。また、「仮想知的労働者」や「デジタルレイバー」と表する場合もあり、特定の業務に対して人間による労働の代わりになるとして注目が集まっているものです。 RPAツールで自動化したい業務の手順などを登録したロボットを作成しておくと、人間の手を離れた状態で仕事をこなせます。このようなRPAの活用によって、業務の負担を軽減できたり業務スピードが早くなったりするという点がメリットです。 それでは、RPAが注目を集めている背景や自動化におすすめの業務、サーバ型・クラウド型・デスクトップ型の違い、AIなどの似たシステムとの違いを詳しくチェックしましょう。 RPAが注目を集めている背景 RPAが注目を集めている背景には、日本が抱える労働に関する問題があります。日本では少子高齢化が進んで労働人口が減少し、人材の奪い合いになって人手不足に陥ってしまいました。 また、日本では労働生産性の低迷も問題視されています。海外と比較しても就業者1人当たりの労働生産性が低く、36ヶ国あるOECD加盟国のうちで日本は21位でした。 そのため、一定のルール内でおこなうような単純作業や反復作業をRPAに任せ、労働力不足や生産性の低迷問題を解決しようとして注目が集まっているのです。 引用:公益社団法人日本生産性本部「労働生産性の国際比較2021」  RPAによる自動化におすすめの業務 RPAによる自動化に向いているのは、すべての業務ではありません。ルールや作業手順が決まっている定型業務と、パソコンのみで完了する業務がRPAによる自動化におすすめです。 RPAに任せる業務には、単調な繰り返し作業がとくに向いています。例えば、大量のデータをコピーしたり貼りつけたりする作業や、勤怠データの入力業務などです。人間は単調な作業を繰り返しておこなうと、疲労によって作業効率が悪化するなどのムラがあるものですが、ロボットであればそのような心配はありません。 サーバ型・クラウド型・デスクトップ型の違い RPAには「サーバ型」や「クラウド型」、「デスクトップ型」という3つの種類があります。それぞれの種類には、RPAツールが働く場所に違いがあるのです。 サーバ型であれば、RPAツールが働く場所は自社サーバー内であり、それぞれのPCと接続させることによって自動化をおこないます。PC1台ごとにたくさんのロボットが働ける仕組みになっており、大規模展開が可能です。 クラウド型では、インターネットを使ってクラウドサーバーで作業を自動化します。導入コストが安くすみ、運用や保守において手間を必要としないものの、クラウドサーバーを使わずにパソコン内のみでおこなう作業などは自動化できません。 デスクトップ型では個人のPCごとに自動化するため、全体のPCではなく特定のPCでの作業を楽にするものです。小規模で導入しやすく、比較的安価に試せるうえに情報漏洩のリスクが低いといわれています。ただしデスクトップ型は属人化しやすいため、取り入れる際には操作方法を共有するようにしましょう。 AIなどの似たシステムとの違い RPAと似ているものとして、AIやbotなどのシステムが挙げられます。これらのシステムとの違いもチェックしましょう。 AIとは、基本的に人間のような知能を持たせたソフトウェア、つまりは人工知能のことです。人間のような判断ができるように作られたものであるため、多くの場合AIは単体ではなく、判断材料となるデータベースが用意された状態でソフトウェアに組み込まれます。 一方、RPAは業務の自動化ができるとはいっても、自立した判断はできません。ルールにのっとった業務のみを任せられるものです。とはいえ、AIを搭載したRPAの開発も進んできています。 他方でbotは、アプリなどの自動応答システムとして使われるプログラムで、RPAのようにさまざまな業務を自動化させることはできません。 RPAがもたらす5つのメリット RPAを活用することで、以下のとおり5つのメリットを得られます。 作業の負担が軽減し、労働環境の改善につながる 人的コストを削減できる 人為的ミスを削減できる 24時間いつでも稼働でき、スケジュールの短縮になる 高度な作業に集中でき、事業拡大につながる 単純な繰り返し作業を自動化できるようになると、労働環境の改善や労働力不足問題の解消など、さまざまな問題解決に役立つでしょう。ここからは、RPAがもたらす5つのメリットについて詳しくチェックしていきます。 1.作業の負担が軽減し、労働環境の改善につながる RPAがもたらす大きなメリットのひとつは、作業の負担が軽減することで、労働環境の改善につながるという点です。労働者の負担となっていた面倒な作業をRPAに任せられるため、労働環境を改善できます。入力や転記作業といった今まで手作業でおこなっていた業務から離れられるため、作業工数や作業時間をカットしてより効率的な労働が可能です。 2.人的コストを削減できる 人的コストを削減できることも、RPAがもたらす大きなメリットです。作業が自動化されて人間のおこなう業務が減る分、対応人数を減らせるようになって人件費削減につながります。 RPA自体にも導入や運用、保守のためのコストが必要でしょう。しかし一般的にこれらのコストは、削減可能な人件費よりも低く抑えられるといわれています。 3.人為的ミスを削減できる 自動化によってヒューマンエラーを防止できることも、RPAを導入するメリットのひとつです。人の手を介して業務をおこなっていると、どれほど気を付けていたとしても作業のミスを完全になくすことは不可能でしょう。しかし、RPAの導入によって人の手を介さずにロボットによる作業がおこなわれるようになれば、いつでも正確に作業を実行できるようになります。 人為的なミスが出ない仕組みづくりができれば、チェックやフォローのためにかかっていた時間や手間もなくなるため、さらなる効率化が可能です。 4.24時間いつでも稼働でき、スケジュールの短縮になる RPAと労働者とを比較すると、稼働時間数に違いがあります。人間であれば労働可能な時間数に制限がありますが、RPAであれば24時間365日いつでも継続した稼働が可能です。これにより、たくさんの業務量があっても素早く処理できるようになるため、スケジュールを短縮できるでしょう。 先述のとおり人為的なミスがなくなり、チェックが不要になるため、さらに作業処理スピードの向上につながります。 5.高度な作業に集中でき、事業拡大につながる RPAに任せられるような仕事は、付加価値が少ない単純作業です。このような面倒な作業をRPAに任せられるようになれば、その分労働者は人にしかできないような高度な作業に集中できるようになります。人的リソースを最適化でき、労働者は企画の検討や業務改善などの重要な業務に集中するようになるため、売り上げアップや事業の拡大が可能です。 RPAを利用する3つのデメリット RPAを利用することにはメリットが多いですが、デメリットもあるため、それらの両面を理解したうえで導入するかどうかを検討するようにしましょう。RPAの利用における3つのデメリットは、以下のとおりです。 間違った作業でも自動で進めてしまう 導入のためにコストがかかる 急に作業が停止してしまう恐れがある これらのデメリットについて、それぞれ詳しくチェックしていきましょう。 1.間違った作業でも自動で進めてしまう RPAを利用した場合、作業手順として指示された内容を自動で実行し続けます。もしも指示された作業手順が間違っていたとしても、そのまま進めてしまうため注意が必要です。 指示前のテストや定期的なチェックによって、正しく作業しているかどうかを確認しましょう。また、業務や連携システムに変更があった場合には、誤作動を起こしていないかもチェックしてください。 前任の担当者がいなくなった場合には、業務のブラックボックス化につながるケースがあるため注意が必要です。作業内容や手順がわからないまま自動で動き続けてしまうということがないよう、引き継ぎをしっかりとしましょう。 2.導入のためにコストがかかる RPAを導入するには、コストがかかることにも注意してください。先述のとおり、RPAを導入すると作業が自動化される分だけ対応人数を減らせるようになり、人件費を削減できます。しかし、RPAの導入や運用、保守自体にもコストが必要です。 導入によるコストパフォーマンスが良いかどうかはケースバイケースであるため、自身の企業ではどちらのほうがいいのかを計算してから導入を決めると良いでしょう。 3.急に作業が停止してしまう恐れがある RPAのデメリットには、急に作業が停止してしまう恐れがあることも挙げられます。例えばシステム障害やバグの発生などによって、作業が停止してしまう可能性があることに注意しましょう。また、Wi-Fiの切断やOSのアップデート、ブラウザのバージョンアップなどでも中断が起こりえます。 業務が停止するリスクを軽減するためには、十分な容量のあるサーバーを用意することに加え、日々のメンテナンスを確実におこないましょう。また、もしも停止してしまった場合のフローを作成し、あらかじめテストしておくことがおすすめです。 RPAの導入を検討する際のポイント RPAの導入を検討する際には、おさえておくべきポイントがあります。RPAを選ぶ際にどこを確認すれば良いのか、以下のポイントをチェックしておきましょう。 自動化する業務の優先順位:RPAによる自動化がしやすい業務のうち、どの業務を優先させるか コスト面:導入コストや運用コストと期待する効果を比較検討する 導入規模:自動化したい業務の規模に見合うシステムか サポート体制:導入支援や不具合が起きた場合のサポート体制は万全か タイプの違い:サーバ型・クラウド型・デスクトップ型のどれなのか まとめ RPAとは、ロボットによる業務プロセスの自動化のことです。RPAの活用によって業務の負担を軽減でき、さらには業務スピードを速くすることもできます。日本でRPAに注目が集まっていることには、労働力不足や生産性の低迷問題が関係していました。 RPAを導入すると作業の負担が軽減されて労働環境の改善につながること、人的コストを削減できること、ヒューマンエラーを防止できることなど、さまざまなメリットがあります。 デメリットや導入を検討する際のポイントまで理解し、RPAを導入するかどうかを決定しましょう。 株式会社IC

 

ここでは、Azureの強みについて解説します。

 

マイクロソフト社の製品と親和性が高い

Azureは、OfficeやMicrosoft 365など、マイクロソフト社が提供する製品やサービスとの親和性が高いのが特徴です。マイクロソフト社の製品と簡単に連携でき、システムの導入や移行にかかる手間やコストを削減できます。Windowsやマイクロソフト社の各製品を使用している場合は、スムーズに使えて便利なのが魅力です。

マイクロソフト社は、圧倒的なシェアを誇る世界的なソフトウェア会社です。そのため、多くの企業にとってAzureは、使い勝手のよいパブリッククラウドといえるでしょう。

 

セキュリティレベルが高い

Azureは、セキュリティレベルの高さにも強みがあります。Azureのデータセンターやインフラ設備は、全世界で3,500名以上のサーバーセキュリティ専門家からなるチームによって常時監視されており、安心して使用可能です。「Azure Security Center」では、不正アクセスや不審な動きを監視・診断し、万が一サービスが攻撃を受けた場合でも、脅威を検出して保護してくれます。

さらに、政府機関や企業と連携してサイバー犯罪対策の研究拠点を世界に展開し、高いセキュリティレベルを担保しているなど、セキュリティレベルの高さがポイントです。

 

オンプレミス環境と連携しやすい

Azureは、オンプレミス環境と連携し、ハイブリッドクラウド環境を容易に構築できます。ハイブリッドクラウドは、クラウドとオンプレミス双方のメリットを活かせるものとして注目されている環境です。

たとえば、マイクロソフトのサーバーを使ってITシステムを構築し、重要なデータ資産を自社のオンプレミス環境で保有・運用して、ほかはAzureで運用するといった使い分けが容易に実現します。

 

 

AWSの強み

一方、AWSには以下のような強みがあります。

  • 実行能力とビジョンの完全性において高く評価されている
  • より多くの国で利用できる
  • 豊富な機能を揃えている

 

AWSは、世界的なITアドバイザリ企業によって、主要ベンダーの中でも非常に高い評価を受けているサービスです。また、多くの国と地域に展開しており、ユーザーはさまざまな機能を利用できます。新機能を続々とリリースし、更新しているのも特徴です。

AWSを構築して運用するメリットやデメリットについて、詳しくは以下の記事をご覧ください。

  AWSでは何ができる?AWS構築のメリットやデメリットについて解説 AWS(Amazon Web Services)はクラウド上でサーバーやストレージ、ソフトウェアを運用または利用できる「クラウドコンピューティングサービス」の総称です。本記事ではAWSを構築して運用するメリットやデメリット、構築に役立つサービスなどを解説します。 株式会社IC

 

ここでは、AWSならではの強みについて解説します。

 

実行能力とビジョンの完全性において高く評価されている

AWSは、アメリカの大手ITアドバイザリ企業であるGartnerが発表している「Gartner Magic Quadrant for Cloud Infrastructure and Platform Services」において、実行能力とビジョンの完全性が高いサービスとして評価されています。

これは、IaaS市場を対象にしたGartner独自の調査で、主要なパブリッククラウドが、リーダー・チャレンジャー・ニッチプレーヤー・ビジョナリーの4つのうちどれに該当するかを表したものです。なかでも、リーダーは「実行能力」と「ビジョンの完全性」がともに高いことを意味します。2022年の調査では、リーダーに該当するのはAWS、Microsoft、Googleの3つのベンダーです。そのなかでも、AWSは、「実行能力」と「ビジョンの完全性」がともに最高であるとの評価を獲得しました。

このようにさまざまな主要ベンダーの中でも、AWSはリーダーとして高く評価されているのです。

 

より多くの国で利用できる

AWSクラウドは、245の国と地域でサービスを提供しており、非常に多くの国で利用できるのが強みです。

AWSのデータセンターはリージョンと呼ばれており、複数のデータセンター群で構成されたアベイラビリティーゾーンが、各リージョンに複数個設置されています。全世界30の地域内に、96に及ぶアベイラビリティーゾーンが存在しているのです。そのため、多くの国でAWSを利用でき、アカウントを開設した時点で世界中のデータセンターにシステムを展開できます。通常、海外へのシステム展開には時間や手間がかかりますが、AWSならば数分で完了です。

 

豊富な機能を備えている

AWSは200を超えるサービスを提供しており、コンピューティングやストレージ、データベースから機械学習、AIまでといった豊富な機能を備えています。AWSが提供している機能のうち、 90%以上はユーザーからのリクエストを受けて実装したものです。顧客のニーズを反映した多彩な機能で、高い利便性を誇ります。

また、さまざまな新機能を次々とリリースしており、ユーザーはリリース時点で新しい機能をすぐに利用できるのも特徴です。

機能性の高さはもちろん、1ライセンスから利用できるため、ユーザーはニーズに合わせて機能を柔軟に使用できます

 

 

AWS・Azureに共通する特徴

AWSとAzureには、以下のような共通点があります。

  • 主要な機能が共通している
  • 従量課金制を採用している
  • 世界中へ容易にサービス展開が可能である

 

AWSとAzureは、主にコンピューティングやストレージ、データベース、ネットワークから構築されているサービスです。また、ストレージや仮想ネットワークデバイスなどのリソースを整理できる「リソースグループ」という機能も双方に備わっています。

料金体系も、共通して「従量課金制」を採用しているのが特徴です。サービスを使った分だけ費用が発生するため、無駄なコストを抑えて利用できます。

さらにAWSとAzureならば、世界中へ容易にサービスを展開できるのもポイントです。たとえば世界中に拠点を持ち、それぞれの国や地域でサービスを展開している場合でも、各拠点に対して簡単に同じサービスを展開できます。

 

 

AWSと比べた際の「Azureの弱み」

AWSとAzureを比較するうえでは、それぞれの弱みについても理解する必要があります。AWSと比較した際のAzureの弱みは、以下のとおりです。

  • AWSより仮想マシンの起動速度が遅い
  • 情報量が多くない

 

AWSに比べると仮想マシンの起動に時間がかかる点は、積み重なると運用においてストレスになるリスクがあります。また、AWSに比べると情報が少なく、自力で構築するのが難しい点もデメリットです。

ここでは、Azureの弱みについて詳しく解説します。

 

AWSより仮想マシンの起動速度が遅い

Azureは、仮想マシンを起動する際に時間がかかるのが難点です。AWSは1分ほどで起動が完了するのに対し、Azureは2分30秒以上かかります。短時間ではありますが、起動完了までに時間がかかる分、開発やテスト、運用などの面においてストレスになってしまう可能性は否定できません。

なお、仮想マシンの起動やシャットダウンがあまりにも遅い場合は、Advanced Configuration and Power Interface C 状態(ディープ プロセッサ アイドル状態)を無効にすることが有効です。

 

情報量が多くない

Azureは、ヘルプトピックやオンラインフォーラムのコミュニティが充実しておらず、情報量があまり多くありません。マイクロソフトのプロフェッショナルサポートを受けることを前提としているため、という理由が考えられますが、自ら情報を集めて構築するのが難しい点はAzureの弱みです。

さらに、Azureを活用するためには専門知識が必要であり、その点も踏まえると情報量が少ない点は大きなデメリットといえます。

 

 

Azureと比べた際の「AWSの弱み」

一方、AWSには以下のような弱みがあります。

  • 保守運用の自由度が低い
  • 最適なサービス選択が難しい

 

AWSは、自社サーバーに比べるとカスタマイズ性が低く、定期的なメンテナンスも考慮して運用する必要があります。保守運用の自由度が低いのは、AWSの弱みです。

また、サービスが豊富であるからこそ、必要なサービスを適切に選択するのが難しいというポイントもあります。

ここでは、Azureと比較した際のAWSの弱みについて詳しく解説します。

 

保守運用の自由度が低い

AWSは、自社サーバーのように自由にカスタマイズすることは難しく、保守運用の自由度が低いという弱みがあります。あくまでもクラウドとして提供されているサービスを利用することが必要です。

メンテナンスもAWS側のスケジュールで行われるため、メンテナンスによるダウンタイムへの対応も求められます。数ヶ月に1回ほどメンテナンスが行われ、メンテナンス中はサービスを使えません。

さらに、天災やヒューマンエラーなどが原因で、大規模な障害が発生するリスクもゼロではありません。定期的なメンテナンスや、万が一の障害が発生することを前提に、サービスを使用する必要があります。

 

最適なサービス選択が難しい

前述のとおり、AWSにはコンピューティングやストレージ、機械学習などさまざまなサービスがあり、その数は200以上です。これはメリットでもある一方、自社に適したサービスを選択することが難しいという弱みでもあります。特に初めてAWSを利用する場合、数ある中から必要なサービスを選択することは至難の業です。

予算管理が難しいという点も見逃せません。AWSは従量課金制であり、新たなサービスを利用したり、想定以上のアクセスがあったりした場合は費用が高まります。毎月の利用コストが変動するため、予算管理が難しいのです。

 

 

AzureとAWSはどちらが最適?ケース別に紹介

これまでご紹介したとおり、AzureとAWSは双方にメリットとデメリットがあり、どちらが優れているとは一概にいえません。Azureが適している場合とAWSが適している場合とがあるため、状況に応じて適切なほうを選択しましょう。

ここでは、Azureが適しているケースとAWSが適しているケースについて、それぞれ詳しく解説します。AzureとAWSのどちらを選ぶべきかで迷っている方は、ぜひ参考にしてください。

 

Azureが適しているケース

Azureが適しているのは、以下のようなケースです。

  • マイクロソフト製のサービスをメインで利用している
  • セキュリティ対策を重視している
  • サービス選択や運用ができる専門的な人材がいる

 

Azureは、マイクロソフトの製品やサービスとの親和性が高いため、マイクロソフトの製品をメインで利用している場合はおすすめです。既存サービスとスムーズに連携できたり、WindowsServerの環境を簡単にクラウドに移行できたりします。

セキュリティ対策を重視している場合にも、Azureがおすすめです。Azureは、サーバーセキュリティ専門家によって常時監視されており、高いセキュリティレベルを誇ります。その安全性の高さから政府機関や医療機関、金融サービスなどでも多く利用されているほどです。

さらに、サービス選択や運用ができる専門的な人材がいる場合は、Azureが適しているといえます。Azureは、AWSと同様にさまざまなサービスを提供しており、ユーザーは多様な選択肢から必要なサービスを選んで使用できます。

しかし、本当に必要なサービスを選択するためには知識が必要です。さらにAzureは情報量が少ないため、自力で情報を集めて構築するのが難しいという難点があります。このようなAzureの特徴から、専門的な知識やスキルがあり、使いこなせる人材がいる場合はAzureがおすすめです。

 

AWSが適しているケース

一方、以下のようなケースでは、AWSが適しています。

  • ほかの製品と連動させて利用したい
  • 海外拠点がある・海外にサービスを展開したい
  • 機能の豊富さを重視している

 

AWSは、マイクロソフト社以外のさまざまな製品と連動させて使用でき、汎用性が高いのが魅力です。そのため、マイクロソフトの製品をメインで使っているわけではなく、ほかの製品と連動させて利用したい場合にはAWSがおすすめです。

海外拠点がある、あるいは海外にもサービスを展開したいという場合は、多くの国や地域で利用できるAWSが適しています。前述のとおり、アカウントを開設した時点で、すぐに世界中のデータセンターにシステムを展開可能です。

機能の豊富さを特に重視している場合にも、AWSが適しています。200以上の多様なサービスの中から必要な機能を選択できるため、自社が求める機能が見つかる可能性が多分にあります。ユーザーのニーズを反映して定期的に新サービスを実装・反映している点も、充実した機能を求める方にAWSがおすすめな理由の1つです。

 

 

AWSとAzureは併用も可能

AWSとAzureは、併用して使うことも可能です。たとえば、プラットフォームにはマイクロソフト製品との親和性が高いAzureを使用し、さまざまな機能を実装したい部分では機能が豊富なAWSを使用する、といった使い分けができます。併用することで、両者の強みを活かしたシステム構築が可能です。また、リスクを分散できるというメリットもあります。障害に対するリスクや、将来のサービス変更・終了といったリスクに備えられるのです。

しかし、併用にはデメリットもあります。サービスが複雑化してわかりにくくなる点や、連携がスムーズにいかない可能性がある点、管理の手間が増えるといった点については注意しましょう。

AWSとAzureを上手に併用するためには、クラウドサービスの導入を支援してくれる、システムコンサルティングサービスを利用するのが効果的です。適切な運用支援を受けることでデメリットを解消できます。

 

 

まとめ

今回は、マイクロソフトのAzureとAmazonのAWSについて、それぞれの特徴やメリット、デメリット、ケースごとにどちらを選ぶべきかを解説しました。AzureとAWSには、それぞれ別の魅力があります。両者の特徴を理解し、状況やニーズに応じて適切なものを選択することが大切です。どちらの良さも活かしたいという場合は、システムコンサルティングサービスの運用支援を受けながら、AzureとAWSを併用してみてはいかがでしょうか。

 

※2023年2月時点の仕様です。現在は異なっている可能性があります。

 

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