サーバーレス開発とは?クラウドサーバーとの違いやメリット・デメリットを解説!

サーバーレス開発とは?クラウドサーバーとの違いやメリット・デメリットを解説!


サーバーレス開発ならばサーバーを自社で管理する必要がなく、その分のコストや工数を削減できます。コストや開発者の業務負担を軽減したい場合は、導入がおすすめです。今回は、サーバーレス開発の仕組みやクラウドサーバーとの違い、メリット・デメリットなどについて解説します。

 

目次[非表示]

  1. 1.サーバーレス開発の仕組みとは?
  2. 2.クラウドサーバーとの違い
  3.  2-1.料金体系
  4.  2-2.人が管理する範囲
  5. 3.サーバーレス開発の種類
  6.  3-1.FaaS(ファース)
  7.  3-2.BaaS(バース)
  8. 4.サーバーレス開発のメリット
  9.  4-1.コストを抑えることができる
  10.  4-2.運用工数を減らすことができる
  11.  4-3.自動的にリソースを最適化できる
  12. 5.サーバーレス開発のデメリット
  13.  5-1.ベンダーロックインしやすい
  14.  5-2.処理内容に制約がある
  15. 6.サーバレスが向いているケース
  16.  6-1.新規サービスの開発
  17.  6-2.簡単なデータ処理
  18. 7.まとめ

 

サーバーレス開発の仕組みとは?

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サーバーレス開発とは、プログラムやソフトウェアのサーバーを自社で準備・管理することなく開発できることです。

 

サーバーレスは、「サーバーがいらない」という意味ではありません。ベンダーが提供するクラウドサービスの1つとしてサーバーを利用でき、構築や保守などのサーバーまわりの業務をベンダーに一任できます。サーバーを自社で構築・管理する必要がないため、サーバーレスと呼ばれているわけです。

 

サーバーレス開発ならば、開発者はサーバーについて意識する必要がありません。システムを構築するだけですぐに運用できるため、サーバー管理にかかる手間やリソースを省け、開発業務に専念できるのが魅力です。

 

 

クラウドサーバーとの違い

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サーバーレスと似ている言葉に、クラウドサーバーがあります。クラウドサーバーとは、クラウド上に仮想サーバーを構築するサービスのことで、AWSの「Amazon EC2」やMicrosoft Azureの「Azure Virtual Machines」が代表例です。

 

サーバーレスには、大きく2つの違いがあります。

  • 料金体系
  • 人が管理する範囲

以下では、サーバーレスとクラウドサーバーの違いについて見ていきましょう。

 

1.料金体系

サーバーレスは、プログラムの実行回数や実行時間などによって料金が発生します。一方、クラウドサーバーの料金体系は、サーバーの稼働時間やストレージの容量などに応じて課金される仕組みです。

 

たとえば、AWSのサーバーレスサービスである「Lambda」は、リクエスト数とコード実行時間に応じて課金されます。一方でクラウドサーバーのAWSである「Amazon EC2」は、サーバーを稼働している間やストレージの容量、データ転送の容量などによって料金が変わる料金体系です。

 

2.人が管理する範囲

人が管理する範囲にも違いがあります。

 

サーバーレスの場合、実行環境が整っているため、プログラムを送るだけですぐに実行可能です。

 

一方でクラウドサーバーの場合は、インストール作業や実行の設定などを自身で行い、必要な環境を自分で構築しなければなりません。カスタマイズできるのは魅力でもある一方、管理しなければならない範囲が広く、手間がかかるのは難点といえます。

 

 

サーバーレス開発の種類

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サーバーレス開発には、大きく以下の2種類があります。

  • FaaS(Function as a Service)
  • BaaS(​​Banking as a Service)

主に利用されているのはFaaSであり、サーバーレス開発というときはFaaSのことを指すのが一般的です。

 

以下でFaaSとBaaS、それぞれの概要について解説します。

 

FaaS(ファース)

FaaSは「Function as a Service」の略で、日本語に訳すと「サービスとしての機能」です。つまり、プログラミングで作成したコードの処理や実行など、機能の実行環境を提供するサービスのことを指します。


FaaSは、ボタンのクリックやデータの保存など、何らかのイベントが発生した際に処理が行われる「イベントドリブン方式」を採用しているのが特徴です。そのため、あるイベントが発生した際や、特定の時間に稼働するプログラムにはFaaSが適しています。


さらに、サーバーにかかる負荷に応じて、自動的にクラウドサーバーの台数を調整してくれる「オートスケーリング」という機能が備わっているのも特徴です。サーバーにかかる負荷を気にすることなく、開発業務に専念できます。


FaaSと混同しやすいサービスとして、以下の3つがあります。

  • SaaS(Software as a Service)
  • IaaS(Infrastructure as a Service)
  • PaaS(Platform as a Service)

SaaSとは、クラウドサーバーにあるソフトウェアを、インターネットを経由して利用できるサービスのことです。ソフトウェアをインストールする必要がなく、必要な機能や分量を選択して利用できます。

 

IaaSは、サーバーやネットワーク、ストレージなどのインフラを、インターネットを経由して利用できるサービスです。FaaSよりも汎用性が高い一方で、開発者の管理する業務が多いという特徴があります。

 

PaaSは、システムやアプリケーションを開発するプラットフォームを、インターネットを経由して利用できるサービスです。開発に必要なプラットフォームを自社で用意せずにすむため、構築にかかるコストを削減できます。

 

PaaSとFaaSは、サーバーの管理をベンダーに任せられる点で共通していますが、PaaSは、リクエストのたびにアプリケーションを起動する必要がある「リクエストリプライ方式」が特徴です。FaaSは「イベントドリブン方式」であり、実際に処理が行われたときのみ反応します。

 

BaaS(バース)

BaaSは「Banking as a Service」の略で、銀行が提供する預金や融資、為替の機能をAPIを介してクラウドで提供するサービスです。

 

銀行の業務は、これまでライセンスを持った事業者しか行えませんでした。しかし、BaaSを利用することで、ライセンスがなくても自社のサービスやアプリケーションに預金や融資、為替の機能を搭載できます。銀行以外の事業者も、金融サービスを自社のサービスに組み込み、提供できるようになったのがポイントです。

 

銀行がほかの事業者と提携して新たなサービスを生み出す「オープンバンキング」の流れが生まれたことで、BaaSが注目されるようになりました。

 

BaaSは、銀行機能の搭載に必要なさまざまな機能を提供してくれるため、BaaSを活用することで、開発者はアプリやシステム開発に専念できます。

 

 

サーバーレス開発のメリット

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サーバーレス開発には、以下のようなメリットがあります。

  • コストを抑えられる
  • 運用工数を減らせる
  • 自動的にリソースを最適化できる

サーバーの構築や運用にはコストや工数がかかるため、それらを削減できるのは大きなメリットです。サーバー負荷に応じた調整も自動で行えるため、開発者の負担を軽減できます。

 

ここでは、サーバーレス開発のメリットについて詳しく見ていきましょう。

 

コストを抑えられる

サーバーレス開発ならば、サーバーを自社で構築して運用する必要がないため、コストを抑えられるのがメリットです。物理機材を購入する必要がなく、利用した分だけ料金を支払えばよい従量課金制であるため、無駄なコストを削減できます。

 

特に、特定の時間やタイミングでのみ動作するプログラムを構築する場合は、実行した時間に応じて課金されるのが大きなメリットです。

 

運用工数を減らせる

サーバーレス開発は、サーバーの構築や運用などにかかる工数を削減できるのも特長です。

 

サーバー管理では、サーバーを安定的に運用できる環境の構築、稼働状況の監視、異常時の対応、メンテナンスなど、必要な業務は多岐にわたります。

 

一方、サーバーレス開発ならばサーバーまわりの管理をサービス事業者に一任できるため、その分のリソースを開発業務に投下して開発に専念可能です。

 

自動的にリソースを最適化できる

サーバーレスでは、サーバーにかかる負荷を常に監視しており、オートスケーリング機能によって、プログラムの実行ごとに適切なリソースを自動で割り当ててくれます。アクセスが集中して想定よりも負荷がかかった場合でもサーバーが落ちる心配がなく、安定的に運用できるのが魅力です。

 

アクセスがほとんどない場合も、自動で適切なサーバーの台数に調整してくれます。

 

 

サーバーレス開発のデメリット

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一方、サーバーレス開発には以下のようなデメリットがあり、注意が必要です。

  • ベンダーロックインしやすい
  • 処理内容に制約がある

予算に余裕がある場合は、複数ベンダーのサービスを活用したり、ほかのサービスと連携させたりして、デメリットに対応できるようにしましょう。

 

以下では、サーバーレス開発のデメリットについて詳しく解説します。

 

ベンダーロックインしやすい

サーバーレス開発では、開発者にかかる負担が減る一方で、ベンダーロックインに陥りやすいという問題があります。

 

ベンダーロックインとは、特定のベンダー(サーバーレスサービスの提供者)に依存してしまう状態のことです。サーバーの管理や運用をベンダーに一任するため依存度が高まり、別のサービスに移行するのが難しくなります。

 

さらに、障害が発生した際は自社で対応できず、障害が復旧するか、あるいはベンダーが対応してくれるまで待たなければなりません。そのため、遅延が発生しやすいのがデメリットです。

 

処理内容に制約がある

サーバーレス開発では、すでに構築されたサーバーを使用するため、使用できる言語に制限があります。さらに、処理時間やデータの容量にも制限がかかっていることがほとんどです。たとえば、AWS Lambdaの場合は処理時間が15分まで、レスポンスやリクエストのデータ容量は6MBまでという制限が設けられています。

 

このように、処理内容に制約が課せられており、自由度があまり高くないのは難点です。

 

 

サーバレスが向いているケース

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サーバーレスには上記のようなメリットとデメリットがあるため、双方を勘案したうえで、サーバーレスを導入するかどうかを決める必要があります。

 

サーバーレスが向いているのは、以下のケースです。

  • 新規サービスの開発
  • 簡単なデータ処理

 

一方、以下のケースについては、サーバーレスは適していません。

  • 長時間のデータ処理が必要な、複雑なプログラムの開発
  • 応答速度の速さが求められるケース

 

ここでは、サーバーレスが適している2つのケースについて解説します。

 

新規サービスの開発

サーバーレス開発は、サーバーの導入にかかるコストを削減できるため、新規サービスの開発に適しています。プログラムを実行した回数や時間分しか課金されないため、無駄なコストもかからず、多くの予算を当てられないことが多い新規サービスの立ち上げにうってつけです。

 

さらに、オートスケーリング機能を活用できるため、アクセス数や必要なスペックが読めない新規サービスでも安心して運用できます。

 

簡単なデータ処理

サーバーレスでは処理内容に制約があり、ネットワーク経由でサーバーに接続するため、遅延が発生する傾向にあります。そのため処理に時間がかからず、応答速度の速さがあまり求められない簡単なデータ処理におすすめです。

 

具体的には画像やテキスト処理、ファイルアップロード、チャットボットなど、処理時間やデータ容量をあまり必要としないプログラムに適しています。

 

 

まとめ

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サーバーレス開発とは、サーバーを自社で構築・管理する必要がなく、クラウドサービスとして提供されているサーバーを利用して開発できることです。サーバーまわりの管理業務にかかるコストや工数が不要で、開発者がサーバーについて意識することなく開発業務に専念できます。サーバーレス開発にはメリットとデメリットがあり、特に新規サービスの開発や簡単なデータ処理におすすめです。

 

サーバーレス開発を導入する際は、自社の状況を把握して導入すべきかどうかを判断したり、ベンダーを見極めたりする必要があります。ITの知識を持った人材の獲得に課題を感じている場合は、ぜひとも当社にお問い合わせください。