ITコンサルタントとは?仕事内容やSIerとの違い、依頼するメリットを解説

ITコンサルタントとは?仕事内容やSIerとの違い、依頼するメリットを解説

企業のDX化が進むなか、ITを活用して企業の課題解決や業務効率化を支援するITコンサルタントの需要が高まっています。ITコンサルタントに依頼することで、自社の課題を客観的に認識でき、最適なIT戦略を策定できます。本記事では、ITコンサルタントの仕事内容や種類、依頼するメリットを詳しく解説します。

ITコンサルタントとは

AdobeStock_367312693

ITコンサルタントとは、ITを活用して企業の課題解決を支援する専門家のことです。
ITコンサルタントの役割は、企業の経営戦略や目標を理解した上で、業務プロセスの分析やシステム開発の提案、既存システムの最適化など、ITの観点から企業の経営をサポートすることです。

提案する際は、費用対効果やスケジュールも考慮し、クライアント企業にとって最適なソリューションを提示します。また、必要に応じて、システムの選定や導入支援なども行います。

システムエンジニア(SE)との違い

システムエンジニア(SE)とITコンサルタントは、どちらもIT分野で活躍する専門家です。
両者は、仕事内容と必要なスキルに違いがあります。

職種

主な仕事内容

必要なスキル・知識

SE

  • システムの要件定義、設計、開発、テスト、運用・保守などのシステム開発全般に関わる技術的な業務
  • プログラミング言語、データベース、ネットワークなどのITに関する深い専門知識を活用してシステムを構築
  • ITに関する深い専門知識(プログラミング言語、データベース、ネットワークなど)

ITコンサルタント

  • クライアント企業の経営課題をITの観点から解決に導く
  • 経営戦略や業務プロセスを理解した上で、ITを活用した解決策を提案

  • ITに関する幅広い知識
  • クライアント企業の業界動向や経営戦略、業務プロセスを理解するための幅広い知識
  • 課題を特定し、解決策を立案するための論理的思考力
  • クライアントとのコミュニケーション能力

SEが技術的な側面でシステム開発を担うのに対し、ITコンサルタントは経営的な視点でクライアント企業のビジネス全体を俯瞰し、課題解決を支援します。

SIerとの違い

SIerとITコンサルタントとの主な違いは、下記の2つです。

 

項目

業務内容

必要なスキル

SIer

  • クライアントから受け取るRFP(提案依頼書)に基づいて業務を行う
  • システムの要件定義、基本設計、詳細設計、開発、テスト、保守・運用を担当
  • 主にシステム開発に関する知識やスキル

ITコンサルタント

  • クライアントの抱える経営課題に対して効果的なITソリューションを提案・実行する
  • ITという観点だけでなく、経営資源、生産性、コスト削減など様々な側面から経営課題に切り込む
  • SIerの業務であるシステム要件定義の前段階である業務要件定義も任される
  • 経営とIT技術の両面における幅広い知見

SIerとITコンサルタントは、担当する業務の範囲や目的、必要とされるスキルに違いがあります。自社の抱える課題やニーズに応じて、適切なパートナーを選ぶことが重要です。

ITコンサルタントの仕事内容

AdobeStock_97567589

ITコンサルタントでも、会社や人によって担当領域が異なります。
ここでは、一般的なITコンサルタントの3つの業務を紹介します。

  • ヒアリング・分析
  • クライアントへの提案
  • 進捗管理

ヒアリング・分析

まずは、クライアント企業の担当者から、「どういった課題があり、どうしていきたいのか」といったことをヒアリングします。その際、担当者の立場や視点に配慮しながら、課題の背景にある要因も含めて深掘りすることが大切です。
ヒアリングは、下記の手順で行います。

  1. 業務の手順、使用するシステムやツール、処理時間など、全体の流れを把握する
  2. 業務フロー図を作成し、業務プロセスを可視化する
  3. 業務フローを分析し、ボトルネックを特定する

分析を行うことで、現状の業務プロセスにおける課題や改善点、潜在的な問題点などが明確化できます。

クライアントへの提案

ヒアリング・分析を通じて明確になった課題や改善点をもとに、具体的な解決策を提案します。
提案する際は、下記の点に留意します。

  • 現状の課題を放置し続けた場合に想定されるリスクを、具体的に説明する
  • 提案する解決策を実行した場合に得られる効果を、わかりやすく説明する
  • クライアントの理解度に合わせて、適切な言葉で丁寧に説明する
  • 課題に対して複数の解決策を提示し、それぞれのメリット・デメリットを説明する
  • 提案内容を魅力的に伝えるため、図表やグラフを効果的に使用し説得力を持たせる

クライアントが納得する最適なソリューションを提案することが、Tコンサルタントの腕の見せどころです。

プロジェクトのマネジメント

ITコンサルタントの仕事は、クライアントの課題を分析し、解決策を提案することで終わりではありません。クライアントによっては、提案した解決策を具体的なプロジェクトに落とし込み、実行まで求められることがあります。

具体的なマネジメント業務について、詳しく解説します。

プロジェクト計画の策定

提案したソリューションを、実行に移すための綿密な計画を策定します。
具体的には、プロジェクトの目的と範囲を明確にし、必要な予算とスケジュールを詳細に積算します。

その際、クライアントの要望だけではなく、プロジェクトを取り巻く様々な制約条件も考慮し、現実的な計画を策定しなければいけません。綿密なプロジェクト計画を策定することで、関係者間で目的と範囲が共有され、円滑な進行が期待できます。

進捗管理

ITコンサルタントは、プロジェクトの進捗管理において重要な役割を果たします。
具体的には、下記のような業務を行います。

項目

内容

進捗状況の管理

  • 計画に基づき、各タスクの進捗状況を定期的にチェックする
  • 予定との乖離がないか、問題が発生していないかを管理する
  • 必要に応じて、プロジェクトメンバーからの報告を求める

進捗報告

  • 進捗状況を定期的にクライアントや関係者に報告する
  • 問題点や課題がある場合は、その内容と対策について説明する

調整

  • 進捗状況に応じて、プロジェクト計画の調整を行う
  • リソースの追加や削減、スケジュールの変更などの調整を行う
  • クライアントや関係者との合意形成を図りながら、調整を進める

問題への対応

  • 問題が発生した場合には、迅速に原因を特定し、対策を講じる
  • 問題の影響範囲を確認し、影響を最小限に抑える

ITコンサルタントがプロジェクトの進捗状況を常に把握し、関係者との連携を密にすることで、スムーズなプロジェクトが遂行できます。

ITコンサルタントの種類

ITコンサルタントといっても、専門分野によって違いがあります。
主なITコンサルタントの種類は、下記の通りです。

  • SAPコンサルタント
  • ERPコンサルタント
  • SCMコンサルタント
  • CRMコンサルタント

SAPコンサルタント

SAPコンサルタントとは、SAPのERPパッケージを専門とするITコンサルタントのことです。SAPは、ドイツに本社を置くソフトウェア会社で、マイクロソフトやオラクルに次ぐ主要ソフトウェアベンダーとして知られています。

SAPのソフトウェアは、ビジネスプロセスを管理し、効率化するために使用されています。具体的には、財務会計、管理会計、人事管理、販売管理、在庫管理、生産管理などです。SAPコンサルタントは、クライアント企業がSAPのソリューションを最大限に活用できるように、カスタマイズと実装を支援します。

ERPコンサルタント

ERPコンサルタントとは、企業の経営課題を解決するために、最適なERPパッケージの選定・導入・運用を支援するコンサルタントのことです。
ERPパッケージとは、企業の基幹業務である会計、人事、販売、在庫管理などを統合的に管理するためのソフトウェアです。

ERPコンサルタントは、各ベンダーが開発したERPパッケージの特徴や機能に精通しており、クライアント企業の業務プロセスや課題を分析した上で、最適なERPパッケージの選定や導入を支援します。

SCMコンサルタント

SCMコンサルタントは、サプライチェーンマネジメント(SCM)の観点から、企業の経営課題の解決やコスト削減を支援するコンサルタントのことです。SCMとは、原材料の調達から製造、出荷、そして消費者の手元に届くまでの一連のプロセス、つまり「購買と物流」のフローを指します。
具体的な業務は、下記の通りです。

  • 企業のサプライチェーンの現状を詳細に分析し、ボトルネックや改善点を洗い出す
  • 分析結果をもとに、サプライチェーンにおける課題を特定する
  • 課題に対して、SCM管理システムの導入や業務プロセスの見直し案などを提案
  • クライアント企業に適したSCM管理システムの選定と導入をサポート
  • SCM管理システムが効果的に運用されるように、クライアント企業をサポート

SCMコンサルタントの支援により、サプライチェーンの可視化や在庫の適正化、リードタイムの短縮、調達コストの削減などの効果が期待できます。

CRMコンサルタント

CRMコンサルタントとは、CRMシステムやツールの導入・運用に特化したITコンサルタントのことです。
CRMとは、顧客情報を一元管理し、営業、マーケティング、カスタマーサポートなどの顧客対応業務を効率化するためのシステムです。

CRMコンサルタントは、クライアント企業の業務プロセスや顧客対応の課題を分析し、最適なCRMシステムやツールの選定・導入を支援します。また、既存のCRMシステムやツールの評価を行い、機能の追加や設定の変更など、改善のための提案を行います。

CRMコンサルタントの支援により、顧客情報の一元管理や営業活動の効率化、マーケティング施策の最適化、顧客満足度の向上などが期待できるでしょう。

ITコンサルタントに必要なスキル

ITコンサルタントに必要なスキルは、下記の3つです。

  • ITエンジニアリング全般の知識
  • 論理的思考力
  • コミュニケーション力

ITエンジニアリング全般の知識

ITコンサルタントには、幅広いITエンジニアリングの知識が必要です。
ITエンジニアリングは、大きく分けると下記のような分野に分類できます。

  • システムエンジニアリング:要件定義、設計、開発、テスト、運用・保守など
  • サーバーエンジニアリング:Webサーバーやデータベースサーバーなど
  • ネットワークエンジニアリング:ネットワーク機器の設計・構築・運用・保守など

これらの分野について深い理解があることで、クライアントの抱える課題に対して、より具体的かつ実現可能性の高い提案ができます。ITコンサルタントは、常に最新のIT動向をキャッチアップし、実践的なITエンジニアリングのスキルを磨き続けることが重要です。

論理的思考力

ITコンサルタントには、システムの設計や改善案を提案するために、論理的思考力が求められます。論理的思考力とは、下記のようなスキルを指します。

  • 物事を体系的に分析し、課題の本質を見抜く力
  • 因果関係を明確にし、筋道を立てて考える力
  • 結論に至るプロセスを論理的に説明できる力

ITコンサルタントは、クライアント企業の抱える複雑な課題に対して、論理的に分析・整理し、最適解を導き出す必要があります。そのため、物事を多角的に捉え、本質を見抜く力が必要です。

コミュニケーション力

ITコンサルタントは、経営者サイドとエンジニアサイドの間に立ち、双方の意見を調整しながらIT戦略を具体化していくコミュニケーション力が必要です。

経営者サイドとエンジニアサイドでは、IT知識のレベルや使用する用語、関心事が大きく異なります。ITコンサルタントは、両者の立場や背景を理解した上で、相手に合わせたコミュニケーションを取らなければいけません。

例えば、経営者に対しては、ITの専門用語を使わずにわかりやすい言葉で説明し、IT投資の効果や重要性を訴求する必要があります。一方、エンジニアに対しては、技術的な観点から具体的な指示を出さなければいけません。

また、経営者とエンジニアの間に立つ際には、お互いが話しやすい雰囲気を作ることも大切です。立場の違いから意見の相違が生じた場合には、両者の考えを汲み取りながら、歩み寄りを図っていく必要があるでしょう。

ITコンサルタントに依頼するメリット

ITコンサルタントに依頼するメリットは、下記の通りです。

  • 自社のIT課題を客観的に認識できる
  • 効率よく企業課題を解決できる
  • 関係者の理解が得られやすい

自社のIT課題を客観的に認識できる

ITコンサルタントに依頼することで、自社のIT課題を客観的に認識できます。
自社内だけで課題解決に取り組もうとすると、社内の常識や慣習に縛られてしまい、新しい発想や画期的なアイデアが生まれにくくなってしまいます。また、現状の課題を深く分析できず、表面的な問題点しか捉えられないこともあるでしょう。

一方、ITコンサルタントは、多様な業界や企業のIT活用事例に精通しており、その知見を活かして自社の課題を多角的に分析できます。業界の常識にとらわれることなく、客観的な立場から自社の課題を洗い出し、本質的な問題点を特定してくれるでしょう。

効率よく企業課題を解決できる

ITコンサルタントに依頼すれば、効率よく企業課題を解決できます。
自社だけで課題解決に取り組もうとした場合、適切なノウハウがないケースや社内に改善プロジェクトを牽引できる人がいないために滞ってしまうケースがあります。

一方、ITコンサルタントは豊富な知見とノウハウを有しているため、現行の業務フローを分析した上で、最適な改善案を提示してくれます。また、ITコンサルタントは、ロジェクトマネジメントのプロフェッショナルでもあるため、綿密な計画を立案した上で、プロジェクトを牽引し課題解決を進めていけるでしょう。

関係者の理解が得られやすい

ITコンサルタントに依頼すれば、客観的な立場から論理的に提案してくれるため、社内の関係者の理解を得やすくなります。

企業の課題改善に取り組もうとする場合、従来のやり方に慣れている社内関係者から反対意見がでることがあります。例えば、「今までのやり方で問題なかったのに、なぜ変える必要があるのか」といった反対意見がでるかもしれません。

このような反対意見に対して、自社内の知見や経験だけでは説得力に欠けてしまうことがあります。しかし、ITコンサルタントが間に入ることで、改革の必要性や効果を論理的に説明し、社内の様々な立場の人を巻き込んで課題解決を進めていけます。

ITコンサルタント・システム開発の依頼ならICにお任せください

スクリーンショット 2024-05-09 105324-2

引用元:システム開発のIC

株式会社ICは、ITソリューション事業で40年以上の実績を誇る企業です。
豊富な経験とノウハウを基に、設計やシステム開発、セキュリティ対策や運用保守体制の構築などをサポートいたします。

また、高度な専門知識を持ち、経験豊富なITコンサルタントが在籍しています。お客様の業界や業務内容を深く理解した上で、業務効率化やコスト削減、生産性の向上など、企業課題の解決に向けたサポートが可能です。

ITコンサルタント・システム開発の依頼を検討されている場合は、下記ページからご覧ください。

コンサルティング|システム開発のIC

まとめ

本記事では、ITコンサルタントの仕事内容や種類、依頼するメリットを解説しました。
ITコンサルタントとは、ITを活用して企業の課題解決を支援する専門家です。業務プロセスの分析やシステム開発の提案、既存システムの最適化など、ITの観点から企業の経営をサポートします。ITコンサルタントに依頼することで、自社のIT課題を客観的に認識でき、効率的に企業課題を解決できるでしょう。

ITコンサルタントへの依頼なら、コンサルティング|システム開発のICにご相談ください。