近年、デジタル技術の進化と普及により、企業を取り巻く環境は大きく変化しています。
従来のビジネスモデルでは対応できない課題も増え、競争力を維持するためには、IT化による業務効率化や革新が必要となっています。
本記事では、企業のIT化が必要な理由や実際にIT化に成功した企業事例10選を詳しく解説します。
企業のIT化が必要な理由
IT化とは、企業や組織がソフトウェアやツールなどのIT技術を導入・活用し、業務プロセスの効率化や高度化を実現することです。
企業のIT化が必要な理由は、下記の通りです。
- 労働人口の減少に対応するため
- ビジネスチャンスを広げるため
- 多様な働き方に対応するため
IT化については、下記の記事で詳しく解説しています。
労働人口の減少に対応するため
総務省統計局のデータによれば、2024年4月時点で日本の生産年齢人口(15歳以上65歳未満)は約7,376万人とされており、前年と比べて25万人減少しています。
今後もこの傾向は加速すると予測されており、企業は深刻な人手不足に直面することになるでしょう。
この課題に対応するためには、自社の業務特性に合わせたIT化戦略を立案し、着実に実行していく必要があります。
ビジネスチャンスを広げるため
総務省の「令和3年情報通信に関する現状報告」によると、デジタル競争力や電子政府に関する「国際指標」の日本の順位は、全63か国中27位となっています。
この順位は、日本企業のIT化が世界的に見て遅れていることを示唆しており、仮にこのままの状態が続けば、世界的な競争力を失ってしまうリスクがあるでしょう。
しかし、近年ではグローバル化が進んでいる背景もあり、海外企業とも仕事がしやすくなりました。
IT化によって国内だけではなく、海外企業とも取引できるようになれば、より大きな市場規模でビジネスを行える可能性があります。
多様な働き方に対応するため
従来の働き方では、子育てや介護などのライフステージの変化に伴い、出勤が難しくなった社員が離職せざるを得ない状況がありました。
しかし、IT化によってテレワークやフレックスタイム制などの柔軟な働き方が可能になれば、子育てや介護との両立が可能になります。
また、通勤時間が削減されるため、社員のワークライフバランスが改善し、モチベーションの向上にもつながるでしょう。
企業のIT化成功事例10選
ここからは、実際にIT化に成功した企業事例10選をご紹介します。
各社の取り組み内容や効果を具体的に解説しているので、自社のIT化を検討する際の参考にしてみてください。
テレワーク化に向けたMicrosoft 365導入
株式会社ICでは、公的機関のテレワーク推進プロジェクトを担当しました。
このプロジェクトの目的は、導入済みのMicrosoft 365を組織として活用できる状態にし、テレワークを推進することでした。
2020年に新型コロナウイルスが広がったことを契機に、クライアントである公的機関でもテレワークの実現が検討されました。
テレワークを推進するためには、当時導入していたMicrosoft 365を職員が使いこなせるようになる必要がありましたが、当時は必要な設定や機能の有効化、現場業務の落とし込みなどが不足しており、組織として利用できる状態ではありませんでした。
そこでICでは、お客様のビジネス要件を整理し、導入に加えて追加開発が必要な内容を洗い出し、最適化を行いました。
具体的には、OutlookやTeams、OneDriveなどテレワークにおいて必要最低限の機能のみを有効化しました。
また、私物の端末から使いたいという要望を受けて、閲覧のみ可能にするなどセキュリティに考慮した対応を行いました。
本事例の詳細は、下記からご覧ください。
業務プロセスのDX化で1.1億円の削減
株式会社ICでは、IT商材を扱う顧客の業務工数改善プロジェクトを担当しました。
このプロジェクトの目的は、顧客の業務プロセスを改善し、コストを抑えることでした。
顧客企業では、「ご利用者様」「社内の運用チーム」「商材対応するセンター」の3者間で日々大量のメールのやり取りが行われており、特に運用チームは一日あたり1,000件以上のメール処理を行っていました。
新規案件が増えるほど対応量が多くなり、人手も必要となっていたのです。
この課題に対し、ICのシステムエンジニアは顧客からの問い合わせを一元管理し、迅速かつ高品質なサポートを提供できるサービスデスクツールの導入を提案し、プロジェクトのPMとしてベンダーと設計を行いました。
また、サービスデスクツールの導入にはクラウド環境が必要だったため、クラウドのメリットや意義も丁寧に説明し、顧客に納得してもらうように働きかけました。
コミュニケーションツールをサービスデスクツールに移行したことで、年間1.1億円ものコスト削減に成功しました。
本事例の詳細は、下記からご覧ください。
株式会社松浦機械製作所
株式会社松浦機械製作所は、福井県にあるマシニングセンタや金属光造形複合加工機などの工作機械メーカーです。
同社は、自社工場をショールームとして国内外から顧客を招き、製品の製造工程や従業員の実直な姿勢を見てもらうことで信頼関係を構築していました。
しかし、コロナウイルスの影響により、工場見学は全てキャンセルとなり、従来の対面型営業手法の見直しが必要になりました。
そこで、社内にDX推進室を立ち上げ、デジタルコンテンツの充実による顧客とのコミュニケーション強化を進めました。
具体的には、営業本部にあったハンディカメラと動画編集ソフトを用いて、自前で動画制作を開始しました。
YouTubeで再生回数が多い動画を参考に、同社のモノづくりの現場を様々な角度から分かりやすく発信できるよう、数十本の動画にまとめて公開しました。
動画の反響は大きく、工場見学の代替手段となっただけでなく、動画を見た海外の顧客から製品に関する質問や好意的なコメントが直接届くようになりました。
本事例の詳細は、下記からご覧ください。
【事例】株式会社松浦機械製作所
松月産業株式会社
松月産業株式会社は、宮城県仙台市にて13 店舗のビジネスホテルを運営しています。
同社では、業務効率化を目的に、予約・顧客情報管理システムを導入していました。
しかし、東日本大震災によって発生した通信障害によりサーバーがダウンし、復旧までの約半年間は、膨大な数の宿泊手配や伝票の仕分けは手作業を強いられ、業務効率が著しく悪化してしまいました。
この経験を踏まえ、復旧にあたって全店舗のサーバーをクラウド化するシステムを構築しました。
クラウド化により、予約情報や顧客情報に加えて、経理関係の記録をデータベースで一元管理できるようになり、紙台帳からの脱却に成功しました。
また、新システムの導入により、単純作業の省力化に成功し、宿泊客とのコミュニケーションなどホスピタリティ向上のためにより多くの時間を割けるようになりました。
本事例の詳細は、下記からご覧ください。
【事例】松月産業株式会社
株式会社お掃除でつくるやさしい未来
株式会社お掃除でつくるやさしい未来は、福岡県で主に集合住宅の共用部の清掃を行っている企業です。
同社では、2010年代前半に本社から片道2時間ほどの場所で大口注文を受注したため、現場付近に在住する新規スタッフを採用することになりました。
しかし、直接コミュニケーションが取れないことで、本社スタッフと同じモチベーションで働いてもらえるか、清掃サービスの品質を維持できるのかという課題がありました。
そこで、福岡県が当時立ち上げた「テレワーク導入支援事業」を活用し、既製のクラウド型コミュニケーションツールを導入しました。
このツールには、社内限定の電子掲示板やチャット、メールなどの機能があり、遠隔地のスタッフが本社スタッフと円滑に意思疎通できる仕組みを構築しました。
これにより、遠隔地のスタッフと本社スタッフ間のコミュニケーションが円滑になり、スタッフのモチベーション維持と清掃サービスの品質向上に成功しました。
本事例の詳細は、下記からご覧ください。
【事例】株式会社お掃除でつくるやさしい未来
株式会社 彦新
株式会社 彦新は、東京都にて鉄製品、食品などの運送を行っている企業です。
同社では、営業所ごとに表計算ソフトで勤怠管理を行っていましたが、運輸業特有の課題を抱えていました。
運輸業界では、大型免許ドライバーの場合、最大拘束時間が16時間まで、一日の拘束時間が15時間以上である日は一週間に2回以内など、様々な規則があります。
これらの規則を遵守しつつ、効率的に勤怠管理を行うことは容易ではありませんでした。
そこで同社では、勤怠管理システムを導入し、勤怠管理の効率化を図りました。
ドライバーに出退勤時間、およびドライブレコーダーの記録・日報による運転時間の入力をシステム上でしてもらうことで、本社にて全社員の勤務状況を一元的に把握できるようになりました。
また、基準時間を超えそうになるとアラートが出る仕組みを設け、事前に勤務の調整が可能となりました。
これにより、2019年4月からの法令改正に対応できる体制が整い、安全性の確保と働きやすい環境の整備を両立できました。
本事例の詳細は、下記からご覧ください。
【事例】株式会社 彦新
株式会社一寸房
株式会社一寸房は、北海道で意匠設計や構造設計などを行っている企業です。
同社では、日報、売上管理、会計のシステムがそれぞれ独立していたため、原価計算を行う際には各システムからデータを取り出してから、計算するといった手間がかかっていました。
この課題を解決するため、中小企業向けの基幹業務パッケージソフトを導入しました。
導入だけではなく、日報システムから原価管理ソフトと給与ソフトへ簡単な操作でデータ連携できるよう、システムをカスタマイズしました。
このカスタマイズにより、日報のデータを原価管理システムに容易に連携できるようになり、処理業務が大幅に簡素化されました。
その結果、操作時間が大幅に削減され、体感で約30%のコスト削減に成功しました。
また、受注した物件ごとの月次利益集計に要する期間も一週間以上短縮されるなど、業務効率が大きく改善しました。
本事例の詳細は、下記からご覧ください。
【事例】株式会社一寸房
株式会社ヒサノ
株式会社ヒサノは、熊本県にて半導体製造装置の輸送から設置までを一貫して行っている企業です。
同社では、配車担当者が経験則に基づいて配車業務を行っており、各部門や拠点の繁閑状況が全社的に共有されていませんでした。
そこで、ITコーディネーターの力を借りて「横便箋システム」の開発に取り組みました。
まず、実際の配車表を基に、どの車が何を運び、何日間稼働しているか、どのルートで配送しているかなどをExcel上で分析し、要件定義に反映しました。
そして、社内で何度も協議を重ね、クラウド上で受注・配車業務を行う「横便箋システム」の開発に成功しました。
配車業務をシステム化したことで、受注情報をもとに社内リソースの配分が最適化されたほか、外出中の社員が端末上で稼働状況を把握できるようになり、迅速な情報共有が可能になりました。
本事例の詳細は、下記からご覧ください。
【事例】株式会社ヒサノ
株式会社小田島組
株式会社小田島組は、岩手県内全域で公共土木工事を手掛ける企業です。
同社では、受注量の増加に伴い、従業員数も積極的に増やしたものの、経験の浅い若手従業員の比率が高くなっていました。
また、公共工事では進捗状況や完了時に現場の写真を撮影する必要があり、写真撮影・管理の作業がベテラン社員の負担となっていました。
そこで、若手とベテラン双方の生産性を向上させるため、「公共工事のデジタル化」に取り組みました。
具体的には、クラウドサービスを導入し、これまで現場単位で管理していた写真管理を、本社で一括管理するように変更しました。
これにより、ベテラン社員は、写真管理などの単純作業から解放され、豊富な経験を活かした高度な業務に専念できるようになりました。
また、若手社員は現場の写真を撮影しながら、ベテラン社員の技術や知識を吸収でき、スキルアップにつながりました。
本事例の詳細は、下記からご覧ください。
【事例】株式会社小田島組
株式会社クリスプ
株式会社クリスプは、東京都でカスタムチョップドサラダ専門店「CRISP SALAD WORKS」を運営する企業です。
同社は、14店舗を展開し順調に業績を伸ばしていましたが、人気の高まりに比例して現場は疲弊していき、オペレーションを回すことで精一杯という状況に陥っていました。
そこで同社は、アメリカのスターバックスが導入を開始して話題を集めたオーダーシステムに着目し、公式モバイルオーダーアプリを導入しました。
このアプリにより、顧客はスマートフォンから事前注文・決済が可能となり、好きな時間に店舗に行って商品をピックアップできるようになりました。
モバイルオーダーアプリの導入により、待ち時間短縮による顧客の満足度・来店頻度が向上し、現場スタッフの作業時間も一日あたり90分軽減されました。
本事例の詳細は、下記からご覧ください。
【事例】株式会社クリスプ
企業のIT化の推進ならシステム開発会社への依頼がおすすめ
企業のIT化を進めるなら、システム開発会社への依頼がおすすめです。
企業のIT化を進めるためには、自社の業務特性や業界特有のニーズを深く理解した上で、最適なツールやシステムを導入しなければいけません。
しかし、自社だけでIT化を進めようとすると、ツールやシステムの選定、導入、運用において様々な課題に直面する可能性があります。
そこで、優秀なITコンサルタントやエンジニアが在籍しているシステム開発会社に依頼すれば、企業の現場や業界の課題を的確に分析し、最適なツールやシステムを提案・提供してくれます。
また、運用に関するトラブル対応や保守サービスまで、一貫したサポートが受けられるため、安心してIT化を推進できるでしょう。
ITコンサルタントについては、下記の記事で詳しく解説しています。
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引用元:システム開発のIC
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まとめ
本記事では、実際にIT化に成功した企業事例10選を詳しく解説しました。
事例として、テレワーク化によるコミュニケーション強化、業務プロセスのDX化による大幅なコスト削減、基幹業務パッケージソフトによる業務効率の改善などを取り上げました。
IT化を進めるには、自社の業務特性や業界特有のニーズを理解した上で、最適なツールやシステムを導入する必要があります。
自社だけで推進していくのが難しいようであれば、経験豊富なITコンサルタントやエンジニアが在籍するシステム開発会社に依頼するのがおすすめです。
IT化に関するご依頼は、下記からお問い合わせください。
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