大手建設機械企業におけるPC運用管理の業務改善プロジェクト
大手建設機械企業におけるPC運用管理の業務改善プロジェクト。
複数のバッチ実行における個別対応が必要だった作業を、全て自動化することで、PC1台あたり1時間以上かかっていた作業時間を実質ゼロ(30分の待ち時間のみ)とする、大幅な工数削減を実現しました。
- #技術者インタビュー
- #Windows構成デザイナー
- #工数削減
- #業務改善
プロジェクト概要
- 業種 : 機械・プラント
- 対象領域 : ヘルプデスク、IT部門
- ソリューション : パッケージ・ソリューション導入、 ITインフラ運用・保守
- 実施期間 : 1年以上 2021年~(2024.2現在)
課 題 |
PC運用管理業務において対応の不備や納期遅れが相次いだことにより、要望~発送(受渡し)までに時間を要し、お客様が十分な満足を得ていない状況でした。PCのキッティング作業に大幅な工数が割かれており、業務に慣れている人でも1日に5~6台のキッティングが限界という状況でした。 |
---|---|
解 決 策 |
「全てのバッチを連続して実行できれば、全自動で作業出来るのではないか」という仮説を立て、自動化を進めました。そこで、Microsoft構成デザイナーというソフトウェアを使用し、いままで個別対応していた各バッチの処理を1つのパッケージ処理で行えるようにしました。 |
効 果 |
元々PC1台につき1時間以上かかっていたキッティング作業が、たった30分待つだけで複数台を同時処理できるようになりました。これまで何日もかけていたキッティング作業の作業者はバッチ実行のみ、確認者も基本ログの確認のみとなり、大幅な工数削減に成功しました。 |
大手建設機械企業におけるPC運用管理の業務改善プロジェクトを行ったS氏に詳しいお話を伺いました。
- TOPICS -
プロジェクト背景
PC管理業務の工数削減に向けて
大手建設機械企業では、PC運用管理業務において対応の不備や納期遅れが相次ぎ、社内の大きな課題でした。このため、ICが本業務を引き継ぎ、業務の改善を行うこととなりました。
詳しいプロジェクト内容について教えて下さい。
プロジェクトは2021年に開始しました。ICが本業務を引継いだ当時、問合せへの返答遅延や対応漏れ、そしてPC出荷の納期の遅延などでクレームが相次いでいました。問題の原因を調査したところ、PCのキッティング作業に大幅な工数が割かれていることが明らかになりました。まずはキッティングの工数を削減すれば、他の業務を行う時間が生まれ、全体的な改善に繋がると考えました。そこで、キッティングの工数削減を軸に業務改善を進めることとなりました。
プロジェクトのポイント
PCキッティングの自動化にMicrosoftの構成デザイナーを使用
キッティング作業は、WindowsマスターPCにマスターイメージを作成し、各PCにクローニングすることで基本設定を反映させます。その後、個別アプリケーションのインストールを別途1台ずつ行っていました。
具体的に作業内容にはどのような問題があったのでしょうか?
本案件のマスターPCは世代が古く、更新プログラムなどのパッチを何世代も当て続ける必要があり、1日待機してもパッチが適用されないこともしばしばありました。加えて、作業チェックシートを確認すると、アプリケーション1つにつき1つのバッジが作成されていることもわかりました。バッジは実行するだけでアプリケーションをインストールできますが、それぞれのアプリケーションが整理されておらず、個別にバッジ処理を行っていることが判明しました。さらには、複数PCで並行作業できないという制限もあったため、業務に慣れている人でも1日に5~6台のキッティングが限界でした。
どのようにPCキッティングの自動化を進めていったのでしょうか?
前述の内容から、S氏はバッジ処理に着目し、「全てのバッチを連続して実行できれば、全自動で作業出来るのではないか」という仮説を立て、自動化を進めました。
そこで使用したのが、Microsoft構成デザイナーというソフトウェアです。構成デザイナーを使用すると、複数バッチが入ったプロビジョニングパッケージを作成できます。これは、いままで個別対応していた各バッチの処理を1つのパッケージ処理で行えるものです。
3か月ほどの検証を重ね、全自動化を成功させました。
検証の際、「各処理間にある再起動が問題になるのでは」という懸念もありました。しかし、構成デザイナーでは再起動後の処理も設定が可能なため、問題なく対応できました。作業後の確認に関しても、これまでは複数のフォルダを開く必要がありましたが、各アプリケーションの設定データのログを出すことで、1か所のログを照合するだけで簡単に確認できるようになりました。
プロジェクトの効果
キッティング作業にかかる工数がほぼ0に
今回の自動化により、元々PC1台につき1時間以上かかっていたキッティング作業が、たった30分待つだけで複数台を同時処理できるようになりました。処理中に他の業務も並行して行えるため、実質的にはキッティングにかかる工数はほぼ0です。
キッティングの自動化を行った効果を教えて下さい。
これまで何日もかけていたキッティング作業の作業者はバッチ実行のみ、確認者も基本ログの確認のみとなり、大幅な工数削減に成功しました。特に繁忙期には休日出勤をしても納期に間に合わない場合もありましたが、今では通常稼働で納期内に対応できるため、お客様にも大変お喜びいただいております。
キッティングの業務改善のおかげで、他の業務に割ける工数も大きく増加しました。特に在庫管理はこれまで棚卸業務すら存在しなかったため、この機に棚卸をしっかり実施することとなりました。棚卸によって毎月の在庫量を管理することで、昨年の実績を把握し、必要な在庫数と時期の予測が可能となり、備品の購入もスムーズになりました。さらに、修理依頼中のPCの所在が明確になるなど、案件管理にもよい影響がありました。
最後に、今後について教えてください。
PC運用管理に関しては、日々多くの方が大変な思いをされていると思います。ICでは、業務の一部を自動化することで工数を削減し、全体的な業務の最適化を図ることが可能です。PC運用管理にお困りの方は、ぜひ一度お問合せください。
※記載されている会社名、製品名およびサービス名は、各社の登録商標または商標です。