サーバーレスアーキテクチャとは?メリット・デメリットをわかりやすく解説

サーバーレスアーキテクチャとは?メリット・デメリットをわかりやすく解説

新たな開発手法としてサーバーレスアーキテクチャが注目されています。サーバー管理やスケーリングの手間を省いた開発環境が実現可能で、開発者はより柔軟にアプリケーション開発に取り組むことができます。しかし、具体的な内容やそのメリット・デメリットについて詳しく理解できていない方もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、サーバーレスアーキテクチャの概要やメリット・デメリット、活用できる場面などを詳しく解説します。

 

 

サーバーレスアーキテクチャとは

サーバーレスアーキテクチャとは、従来のサーバーに依存しないシステム開発の新しいアーキテクチャのことを指します。

実際にサーバーが存在しないわけではなく、インフラの管理を意識しなくてよい点が特徴です。アクセス数に応じて自動でリソースを増減できるため、WebサービスやAPI、バッチ処理など幅広い用途で活用されています。

サーバーレスアーキテクチャを導入することで従来のサーバーの運用・管理から開放され、開発者は機能開発に専念することができます。

 

サーバーレスについては、以下の記事で詳しく解説しています。

サーバーレスとは?クラウドとの違い・メリット・代表的なサービスを紹介

拡大し続けるクラウドサービスの市場規模

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サーバーレスアーキテクチャが注目される背景には、クラウドサービス市場の継続的な拡大があります。

IDC Japan株式会社の調査によると、2024年の国内パブリッククラウドサービス市場は4兆1,423億円となり、2029年には8兆8,164億円へ成長すると予測されています。生成AIの活用やクラウドネイティブ化の進展により、企業のシステム基盤は今後もクラウド中心へ移行していくでしょう。

 

引用元:IDC Japan株式会社「国内パブリッククラウドサービス市場予測を発表」

サーバーレスとマイクロサービスの違い

サーバーレスとマイクロサービスは混同されやすい概念ですが、指している範囲が異なります。サーバーレスは、サーバー管理をクラウド側に任せる実行環境や運用モデルのことです。一方、マイクロサービスは、アプリケーションを小さな機能単位に分けて開発・運用する設計思想を指します。

具体的には、サーバーレスアーキテクチャでは各機能を独立したマイクロサービスとして動作させ、その実行環境をクラウド上で自動的にスケールしています。

 

サーバーレスアーキテクチャの特徴 内容
マイクロサービス 各機能を独立して開発・運用する方式
クラウド上でのスケーリング 負荷が高まると自動でリソースを増やし、負荷が下がるとリソースを減らす

両者は別物ではなく、マイクロサービスによってサーバーレスアーキテクチャのスケーリングが実現していると言えます。

サーバーレスアーキテクチャのメリット

サーバーレスアーキテクチャには、以下のようなメリットがあります。

  • 開発・管理コストの削減

  • 開発環境の構築が容易になる

  • 運用が簡素化

  • スケーラビリティの向上

一つずつ詳しく説明していきます。

 

サーバーレスのメリット・デメリットについては、以下の記事で詳しく解説しています。

サーバーレスのメリット・デメリットを徹底解説 サーバーレスを進めるポイントも紹介

開発・管理コストの削減

サーバーレスアーキテクチャでは、使用したリソース分だけ費用が発生します。つまり、サーバーを常時稼働させる必要がなくなるため、従来の物理サーバーに比べて大幅なコスト削減が可能となります。

具体的には、従来の物理サーバー環境では、ピーク時のトラフィックに対応できるようにサーバーを設定します。しかし、ピーク時以外の大部分の時間帯でリソースが過剰になってしまうことが問題でした。

サーバーレスアーキテクチャでは、必要なときにだけリソースを使用し、それ以外の時間帯では余計なコストを発生させません。

 

上記内容をまとめると、下記のようになります。

  従来のサーバー サーバーレスアーキテクチャ
ピーク時
非ピーク時

×

リソース過剰になる

使用したリソースだけ費用発生

このように、サーバーレスアーキテクチャを利用することで、非ピーク時のコストを削減でき、全体の運用コストを抑制することが可能になります。

開発環境の構築が容易になる

サーバーレスアーキテクチャにおける一つの大きな利点は、開発環境の構築が容易になる点です。従来のサーバーベースのアーキテクチャでは、開発環境を構築するためには物理的なサーバーの設置やネットワークの設定、さらにはOSや各種ソフトウェアのインストールといった作業が必要でした。これに対して、サーバーレスアーキテクチャではこれらの作業が不要になります。

項目

従来のサーバーベース

アーキテクチャ

サーバーレス

アーキテクチャ

物理的なサーバー設置 ×
必要

不要

ネットワーク設定

×

必要

不要

OS/ソフトウェアインストール

×

必要

不要

サーバーの管理がクラウドサービスプロバイダーに委ねられるため、開発者はアプリケーションの開発に専念できます。これにより、開発プロジェクトの初期段階での時間とコストを大幅に削減することが可能です。

運用の簡素化

サーバーレスアーキテクチャでは、運用が大幅に簡素化されます。一般的な物理サーバーでは、物理サーバーやOSの運用、ネットワーク管理、セキュリティ対策など、多くの運用作業が必要となります。それに比べ、サーバーレスアーキテクチャではこれらの運用作業が大幅に減少します。

以下に、一般的な物理サーバーとサーバーレスアーキテクチャの運用作業の違いを表形式で示します。

項目 物理サーバー

サーバーレス

アーキテクチャ

物理サーバーの運用

×

必要

不要

OSの運用

×

必要

不要

ネットワーク管理

×

必要

不要

セキュリティ対策

×

必要

サービス提供側で対応

このように、サーバーレスアーキテクチャを採用することで、運用作業が大幅に簡素化され、開発者はアプリケーションの開発に集中できます。

スケーラビリティの向上

サーバーレスアーキテクチャのメリットの一つとして、スケーラビリティの向上も挙げられます。

サーバーレスアーキテクチャでは、リソースの拡張・縮小(スケーリング)が自動で行われます。従来のサーバーベースのシステムでは、ユーザー数が増えた場合、自らサーバーを増設する必要がありました。しかし、サーバーレスでは、必要なときだけリソースを利用するため、突発的なトラフィック増加にも柔軟に対応可能です。

また、リソースの利用が少ないときはスケールダウンが可能なため、無駄なコストを削減できます。このように、サーバーレスアーキテクチャはスケーラビリティの観点からも大きなメリットを提供します。

サーバーレスアーキテクチャのデメリット

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ここからは、サーバーレスアーキテクチャのデメリットをご紹介します。

サーバーレスアーキテクチャのデメリットは、下記の通りです。

  • 稼働に時間がかかる

  • デバッグの難易度が高い

  • ベンダー依存が発生する

一つずつ詳しく説明していきます。

稼働に時間がかかる

サーバーレスアーキテクチャのデメリットとして稼働に時間がかかることが挙げられます。これは、コールドスタートと呼ばれる問題で、新たに関数を呼び出す際や一定時間利用がないと、サーバーが休眠状態に入るため、関数の実行までに時間がかかる現象を指します。

具体的には、関数の初回呼び出し時や長時間未使用後には、環境の初期化やリソース割り当てなどが必要となります。これらの準備が完了するまで、関数の実行が開始されません。

そのため、一部のリクエストに対してはレスポンス時間が長くなる可能性があります。この遅延は、リアルタイム性が求められるアプリケーションにおいては大きな問題となることがあります。

サーバーレスアーキテクチャを導入する際は、コールドスタートによる遅延を理解し、ビジネスに与える影響を十分に考慮する必要があります。

デバッグの難易度が高い

サーバーレスアーキテクチャのデメリットとして、デバッグの難易度が高い点が挙げられます。一般的な物理サーバーベースのアプリケーションと比較して、サーバーレスアーキテクチャはローカル環境でのテストが難しく、エラーの特定や修正が困難になる場合があります。

具体的には、サーバーレス環境では処理が分散され、それぞれの処理がイベント駆動型で動くため、一つひとつの処理フローを追うのが難しくなります。また、特定のサービスに依存する部分でエラーが発生した場合、バックエンドの設定などがわかりづらく、ログの調査なども難しい場合が多いです。

ベンダー依存が発生する

サーバーレスアーキテクチャは、インフラ管理をクラウドサービスプロバイダーに委ねることで運用の手間を大幅に軽減します。しかし、プロバイダーのサービスに大きく依存する形となるため、ベンダーロックインの問題が生じます。

ベンダーロックインとは、特定のサービスプロバイダーに縛られて他のサービスに移行が困難になる状況を指します。たとえば、AWS Lambdaを使いはじめた企業が、後にGoogle Cloud Functionsに移行しようとすると、それぞれのサービスの仕様やAPIが異なるため、移行コストが大きくなります。

これは、サーバーレスアーキテクチャを採用する際の慎重な検討点となります。適切なベンダー選びやマルチクラウドへの対応等、自社のビジネス要件に最適な戦略を見つけることが求められます。

サーバーレスアーキテクチャが活用できる場面

ここからは、サーバーレスアーキテクチャが活用できる場面についてご紹介します。 サーバーレスアーキテクチャが活用できる場面は、下記の通りです。

  • Webアプリケーションのバックエンド処理

  • 画像や動画の変換処理

  • バッチ処理や定期的なタスク

  • リアルタイムデータ処理

Webアプリケーションのバックエンド処理

Webアプリケーションのバックエンド処理では、サーバーレスアーキテクチャは非常に有効です。特に、処理に大量のリクエストを受け付ける場合や、突発的なトラフィックの増加が予想される状況に対応する際にスケーラビリティの高さが活かされます。

サーバーレスアーキテクチャを利用することで、必要なリソースを自動的に拡張・縮小することが可能となります。これにより、予測困難なトラフィックに柔軟に対応することができ、システム全体の安定性を維持しながらコストを抑えることが可能となります。

また、サーバーの設定や管理、トラブル対応などの運用負荷も軽減されるため、開発者はより本来の開発業務に注力できます。

画像や動画の変換処理

サーバーレスアーキテクチャは、画像や動画の変換処理にも適用可能です。多くのWebサービスでは、ユーザーがアップロードした画像や動画をサーバー側で一定の形式に変換する必要があります。しかし、この処理はリソースを大量に消費し処理時間も不確定です。

サーバーレスアーキテクチャを用いることで、アップロードされたファイルがトリガーとなって自動的に変換処理がはじまります。加えて、変換処理が完了した時点でリソースの消費も終了し、無駄なコストを抑えることが可能です。

バッチ処理や定期的なタスク

サーバーレスアーキテクチャは、バッチ処理や定期的なタスクにも大いに活用できます。これらのタスクは基本的に定時または定期的に行われるため、常時稼働しているサーバーが必要ない場合が多いです。

たとえば、データベースのバックアップを物理サーバーベースで行うと、バックアップ以外の時間でもサーバーは稼働し続けるため無駄なコストが発生します。

サーバーレスアーキテクチャなら、指定した時間にだけリソースを確保して処理を行います。つまり、必要なときだけリソースを使用するため、大幅なコスト削減が可能になります。

リアルタイムデータ処理

サーバーレスアーキテクチャは、リアルタイムデータ処理にも非常に効果的です。リアルタイムデータ処理とは、データが生成された瞬間にその情報を分析・処理することを指します。

リアルタイムデータ処理では、サーバーレスアーキテクチャの一つの特徴であるスケーラビリティが活きてきます。大量のデータが一気に流れ込んできた場合でも、必要な分だけサーバーのリソースを自動的にスケーリングし、リアルタイムでの処理を可能にします。

また、これによりユーザー体験を向上させるためのリアルタイム分析や、セキュリティ対策のためのリアルタイム監視など、幅広い用途に利用することが可能です。

代表的なサーバーレスアーキテクチャサービス

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ここからは、代表的なサーバーレスアーキテクチャサービスについてご紹介します。

代表的なサーバーレスアーキテクチャサービスは、下記の4つです。

  • AWS Lambda

  • Azure Functions

  • Google Cloud Functions

  • Alibaba Cloud Function Compute

一つずつ詳しく説明していきます。

AWS Lambda

AWS Lambdaは、Amazon Web Services (AWS)が提供する代表的なサーバーレスアーキテクチャサービスです。ユーザーは、イベント駆動型のプログラムを作成し、AWSがサーバーの運用やスケーリングを自動的に行います。

主な特徴としては次の3点が挙げられます。

  1. イベント駆動型: ユーザーが定義したイベントが発生すると、そのイベントに応じたプログラムが自動的に起動します。

  2. 自動スケーリング: トラフィックの増減に応じて、AWS Lambdaが自動的にスケーリングを行います。

  3. 高いコスト効率: 実行時間に対して課金されるため、未使用時間の料金が発生しないというメリットがあります。

これらの特性により、AWS Lambdaは多くの企業で利用されており、サーバーレスアーキテクチャの普及を牽引しています。

Azure Functions

Azure Functionsとは、Microsoftが提供するサーバーレスアーキテクチャの一つです。クラウド上で動作し、開発者はアプリケーションの構築に専念できます。特徴的なのはイベント駆動型の計算機能で、特定のイベントやトリガーにより自動的に関数が実行されます。

また、Azure Functionsは複数のプログラミング言語をサポートしています。C#、Java、 JavaScript、Pythonなどから選択可能で、開発者が得意とする言語で開発を進めることができます。

さらに、料金は実際に使用した時間のみを計算する従量課金制を採用しています。これにより、リソースの無駄遣いを防ぎつつコストを抑えることが可能です。

Google Cloud Functions

Google Cloud Functionsは、Google Cloud Platformが提供するサーバーレスアーキテクチャの一つです。開発者は、任意のコードをアップロードするだけで、HTTPリクエストやクラウドイベントをトリガーとして自動的にそのコードが実行されます。

特徴は、イベント駆動型プログラミングのアーキテクチャを採用している点です。これにより特定のイベントに応じた処理が可能となります。また、自動スケーリング機能があるため、アプリケーションのユーザー数が増えても対応可能です。

関数が実行されたときだけに課金される仕様になっているため、コストを効率的に抑えることが可能です。ただし、他のベンダーのサービスと比較すると、一部機能面での制約が存在するため、使用する際は予め確認することが重要となります。

Alibaba Cloud Function Compute

Alibaba Cloud Function Computeは、Alibaba Cloudが提供するサーバーレスコンピューティングサービスです。

利用者はサーバーを購入・管理することなく、関数の作成や設定、他のAlibaba Cloudサービスとの連携を行えます。中国やアジア圏でのクラウド展開を重視する企業にとって、Alibaba Cloudの各種サービスと組み合わせやすい点が特徴です。

イベントに応じて処理を実行できるため、API処理、ログ処理、画像変換、データ連携など、幅広い用途で活用できます。

サーバーレスアーキテクチャを導入する流れ

サーバーレスアーキテクチャを自社で導入する場合は、以下の流れで進めるのが一般的です。

  1. 導入目的と要件を整理する

    まずは、どの業務やシステムにサーバーレスを活用するのかを明確にします。Web API、バッチ処理、画像変換、データ連携など、対象となる処理を整理し、必要な性能やセキュリティ要件も確認します。

  2. クラウドプロバイダーを選定する

    AWS、Azure、Google Cloud、Alibaba Cloudなどの中から、自社の既存環境や利用中のサービス、対応言語、料金体系を踏まえて最適なクラウドプロバイダーを選びます。

  3. 利用するサービス構成を決める

    関数実行サービスだけでなく、データベース、ストレージ、API管理、認証、監視ログなど、周辺サービスも含めてシステム全体の構成を設計します。

  4. 開発ツールと運用環境を準備する

    開発言語、フレームワーク、CI/CD、監視ツール、ログ管理ツールなどを準備します。チームで開発する場合は、権限管理やデプロイ手順も整えておくことが重要です。

  5. 小規模な機能から実装・テストする

    いきなり全体を移行するのではなく、影響範囲の小さい機能から実装し、動作確認を行います。処理速度、エラー発生時の挙動、課金状況などもあわせて検証します。

  6. 本番運用と継続的な改善を行う

    本番環境で運用を開始した後も、ログ監視、セキュリティ対策、コスト最適化、パフォーマンス改善を継続します。サーバーレスは運用開始後の見直しも重要です。

このように、サーバーレスアーキテクチャの導入には、クラウド選定から設計、開発、運用改善まで幅広い対応が必要です。サーバー管理の負担は軽減できますが、権限設定や監視設計、コスト管理などには専門的な知識が求められます。

そのため、初めて導入する場合や既存システムをクラウド化したい場合は、外部サービスに相談するのも有効です。専門家に依頼することで、自社に合った構成を選びやすくなり、導入期間の短縮や安定した運用体制の構築につながります。

サーバーレスアーキテクチャの依頼ならICにお任せください

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引用元:システム開発のIC

 

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システム開発のIC

まとめ

本記事では、サーバーレスアーキテクチャの概要やメリット・デメリット、活用できる場面などを詳しく解説しました。 サーバーレスアーキテクチャを活用することで、コスト削減やスケーラビリティの向上などのメリットがあり、開発者の負担を減らすことができます。

その一方で、稼働に時間がかかったりデバッグの難易度が高くなったりなどのデメリットがあるため、活用できる場面をしっかり考慮する必要があります。

サーバーレスアーキテクチャを活用し最適なシステム運用を目指しましょう。

 

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