サーバーとは?意味や種類、メリットやデメリットについて解説
サーバーとは、利用者の要求に応じてデータを提供したり、処理したりするものです。本記事では、サーバーとは何かやその種類、サーバーに求められる重要な要素、種類ごとのメリット・デメリットを紹介します。サーバーを適切に導入して運用するために、サーバーについて理解を深めましょう。
目次[非表示]
- 1.サーバーとは?
- 1.1.サーバーの対義語はクライアント
- 2.サーバーの種類について(物理サーバーと仮想サーバー)
- 2.1.物理サーバーとは
- 2.1.1.物理サーバー①専用サーバー(ベアメタルサーバー)
- 2.1.2.物理サーバー②共有サーバー(レンタルサーバー)
- 2.2.仮想サーバーとは
- 3.サーバーの用途として具体例7つを紹介
- 3.1.サーバー例①DNSサーバー
- 3.2.サーバー例②Webサーバー
- 3.3.サーバー例③メールサーバー
- 3.4.サーバー例④ファイルサーバー
- 3.5.サーバー例⑤データベースサーバー
- 3.6.サーバー例⑥アプリケーションサーバー
- 3.7.サーバー例⑦FTPサーバー
- 4.サーバーにとって大事な要素とは?
- 5.サーバーのメリットとデメリットを種類別に紹介
- 5.1.①共用サーバーのメリットとデメリット
- 5.2.②専用サーバーのメリットとデメリット
- 5.3.③VPSのメリットとデメリット
- 5.4.④クラウドサーバーのメリットとデメリット
- 6.まとめ
サーバーとは?
サーバーとは、利用者の要求に対して、その要求を満たすデータを提供するコンピューターやプログラムのことです。「提供する側」という意味を持つ英語の「server」からきています。例えば、利用者である私たちがインターネットで画像を調べたとき、Webサーバーは要求された画像データを表示させます。サーバーにはほかにもさまざまな種類があり、要求に応じて必要なデータや情報を提供するのです。
サーバーの対義語はクライアント
データや情報を提供するサーバーに対し、要求する側のことを「クライアント」と呼びます。クライアントには、データを検索する人間だけでなく、情報を要求して受け取るパソコンやスマートフォンといった端末も含まれます。このように、データや情報の提供をサーバーに要求し、それを受け取るものをまとめてクライアントと呼ぶのです。
サーバーの種類について(物理サーバーと仮想サーバー)
サーバーにはさまざまな種類があり、大きく以下の2つに分かれます。
- 物理サーバー
- 仮想サーバー
サーバーの種類を理解するうえでは、まずは物理サーバーと仮想サーバーの違いをおさえましょう。
物理サーバーとは
物理サーバーとは、実体が存在する1台のサーバーのことです。1台の物理的なハードウェアリソースをそのまま使用します。自社で管理できたり、増設して強化したりすることが可能です。物理サーバーは、さらに以下の2つに分かれます。
- 専用サーバー(ベアメタルサーバー)
共有サーバー(レンタルサーバー)
以下では、それぞれのサーバーについて解説します。
物理サーバー①専用サーバー(ベアメタルサーバー)
専用サーバーはベアメタルサーバーとも呼ばれ、1つのサーバーを1つの企業や個人といったクライアントが独占して使えるものです。利用できるストレージやメモリの容量が大きく、専用であるためほかのユーザーやサーバーの影響を受けません。管理者権限を利用者が持ち、サーバーの運用も利用者が行うため、自由度が高いのが特徴です。
物理サーバー②共有サーバー(レンタルサーバー)
共有サーバーはレンタルサーバーとも呼ばれ、1つのサーバーを複数の企業や個人で共有するものです。複数人で共有するため、利用できる機能やメモリ容量などに制限がありますが、費用を抑えて使用できます。また、管理者権限をレンタルサーバー事業者が持ち、サーバーの運用も事業者が行うのが特徴です。シェアして使用するため、ほかの利用者の影響を受けやすく、自由度が低いという特徴もあります。
仮想サーバーとは
仮想サーバーは、物理サーバー上に構築されるサーバー環境のことで、1台のハードウェア上でさまざまなOSを動かすことによって複数のサーバー環境を構築できるものです。仮想サーバーは、さらに以下の2つに分かれます。
- VPS(Virtual Private Server)
- クラウドサーバー(IaaS)
以下では、それぞれのサーバーについて解説します。
仮想サーバー①VPS(Virtual Private Server)
VPSは「Virtual Private Server」の略で、「仮想の個人的なサーバー」を意味します。日本語では仮想専用サーバーとも呼ばれ、クライアントそれぞれに専用のサーバー環境を構築するものです。仮想サーバーであるため、物理サーバー1台を共有するものではありますが、サーバー環境は専用サーバーのようにほかのクライアントの影響を受けにくく、比較的自由に使用できます。
仮想サーバー②クラウドサーバー(IaaS)
クラウドサーバーとは、クラウド上に構築されたサーバー環境のことです。「Infrastructure as a Service」の略であるIaaSと呼ばれることもあります。VPSと違い、サーバー環境自体をほかのクライアントと共有します。複数台に分散してサーバー機能が構築されているため、機能やストレージ、メモリ容量などを目的やニーズにあわせて柔軟に設定できるのが特徴です。
サーバーの用途として具体例7つを紹介
サーバーには、コンピューターとしてのサーバーと、さまざまな機能を提供するソフトウェアとしてのサーバーがあります。前述の物理サーバーと仮想サーバーは、コンピューターとしてのサーバーです。ここでは、サーバーの用途であるソフトウェアのサーバーについて、以下の7つをご紹介します。
- DNSサーバー
Webサーバー
メールサーバー
ファイルサーバー
データベースサーバー
アプリケーションサーバー
FTPサーバー
サーバー例①DNSサーバー
DNSサーバーとは、「Domain Name System」から名付けられたもので、クライアントの要求に応じてIPアドレスとドメインを結びつけるサーバーのことです。Web上における住所の役割を果たすIPアドレスを、Webサイトの名前であるドメインに変換することで、要求したサイトを表示してアクセスできるようにします。
サーバー例②Webサーバー
Webサーバーとは、クライアントからの要求に応じて必要な情報をサーバー内から検索し、データを送り返す機能を持つものです。WebサーバーはHTMLやCSS、画像ファイルといったデータを保有しており、ブラウザに必要な情報を送信できます。クライアントが見たいWebページを表示するためには必須のサーバーなのです。
サーバー例③メールサーバー
メールサーバーとは、メールの送受信を可能にするサーバーのことです。送信と受信は異なるサーバーが担い、送信はSMTPサーバー、受信はIMAPやPOP3サーバーが行います。これらをまとめてメールサーバーと呼ぶことを覚えておきましょう。
メール送信時は、SMTPサーバーが宛先を特定することで、メールを送りたい相手に送信可能です。IMAPやPOP3サーバーは、利用者ごとに割り当てられたメールボックスを保有しています。送信されたメールは、それぞれのメールボックスに入れられ、利用者がメールを受信できる仕組みです。
サーバー例④ファイルサーバー
ファイルサーバーとは、ネットワーク上でデータを共有したり使用したりする際に用いる、ファイル共有機能に特化したサーバーです。ファイルサーバーに保存されたファイルは、ネットワークに接続している状態ならばいつでも操作できます。そのため、複数のサーバー間やOS、パソコン上でスムーズにデータ共有できるのが特徴です。また、ファイルのバックアップも可能なため、万が一の事態が起こってもファイルを保持できます。
サーバー例⑤データベースサーバー
データベースサーバーとは、データを一元管理し、クライアントの要求に応じてデータベース上に保存されたデータを送り返すサーバーのことです。データベース管理システムがデータを整理しており、要求にあわせて検索や更新などができます。また、データの保存やバックアップ・データの一貫性の担保も担い、Webシステムの根幹を支えるサーバーです。
サーバー例⑥アプリケーションサーバー
アプリケーションサーバーとは、クライアントからの要求に応じて、Webサーバーから受信した情報に必要な処理を行うサーバーのことです。データの抽出や加工処理を施したり、Webサーバーに結果を返却したりします。JavaやPHP、Rubyなどのプログラミング言語を実行して処理し、動的なコンテンツを生成するもので、アプリ開発には欠かせないサーバーです。
サーバー例⑦FTPサーバー
FTPサーバーとは、FTPというプロトコルを利用して、Webサーバーとのファイルの送受信を行うサーバーです。FTPは「File Transfer Protocol」の略で、「ファイル転送プロトコル」とも呼ばれます。FTPサーバーは、FTPと接続することでサーバーからデータをダウンロードしたり、コンピューターからサーバーにアップロードできたりするのです。
サーバーにとって大事な要素とは?
サーバーは、Webサービスやメールサービスといった各種サービスを利用するために必要なさまざまな機能を提供する存在です。サーバーが動かなくなると、多くの方が影響を受けます。そのため、サーバーには以下の3つの要素が求められるのです。
- 同時に多くのクライアントから要求があっても稼働できる
- 24時間365日稼働できる
データの保護やバックアップができている
それぞれの要素について、以下で詳しく解説します。
大事な要素①同時に多くのクライアントから要求があっても稼働できる
サーバーは、Webサービスを利用する多くのクライアントにコンテンツを提供します。そのため、同時に多くの要求を受けることも少なくありません。特に、サーバーを共有して利用する共有サーバーやクラウドサーバーの場合、サーバーダウンを避けるため、上限ユーザー数が設定されていることが多いです。
また、Webサーバーの場合は、同時接続数が規定値を超過したり、データ転送量が多すぎたりした場合にサーバーがダウンし、エラーを起こすことがあります。
サーバーには、同時に多くのクライアントから要求を受けても、ダウンせず稼働できることが求められるのです。
大事な要素②24時間365日稼働できる
WebサイトやBtoCのWebサービスの場合、休日や夜間問わず利用できることが重要です。そのためサーバーには、24時間365日稼働できることが求められます。サーバーの安定稼働のためには、サーバーだけではなく、システムの運用や保守業務を24時間365日体制で行うことも重要です。これを「24/365」と呼び、サーバーやネットワークなどが正常に稼働しているかを常時監視し、エラーが発生したならば即座に対応することが求められます。
大事な要素③データの保護やバックアップができている
サーバーにはさまざまなデータが保管されています。近年活発化しているサイバー攻撃や不測のトラブルに備えるためには、データの保護が重要です。データを保護するためには、アクセスに制限をかけることだけではなく、セキュリティ対策ソリューションを導入することも考えられます。
また、システム障害や人為的ミスによってデータの破損や損失してしまう事態を防ぐために、データのバックアップも重要です。サーバーに保存されたデータだけではなく、システム自体もバックアップすることで、万が一の事態が起きてもデータを素早く復旧できます。
サーバーのメリットとデメリットを種類別に紹介
前述のとおり、サーバーには物理サーバーと仮想サーバーがあります。それらはさらに2つに分類され、それぞれ特徴がさまざまです。ここでは、以下のサーバーについて、メリットとデメリットを紹介します。
- 共用サーバー
- 専用サーバー
- VPS
クラウドサーバー
サーバーの種類によって、費用や自由度、利用のハードルが異なります。サーバーを選択する際は、それぞれのメリットとデメリットを勘案して選ぶことが大切です。
①共用サーバーのメリットとデメリット
共用サーバーのメリットは、導入や利用におけるハードルが低い点です。1台のサーバーを複数人でシェアするため、初期費用や月額利用料が安くなります。また、申し込んでからサービスを利用するまでに時間を要さないことが多く、すぐに始めやすいです。さらに、サーバー運用を事業者が行うため、知識がなくても利用しやすいというメリットもあります。
一方、利用者はサーバーの管理権限を持たないため、専用サーバーに比べると自由度が低いのがデメリットです。また、ほかのサイトや利用者の影響を受けやすく、同時に多くの要求があった際にダウンしてしまう可能性もあります。
②専用サーバーのメリットとデメリット
専用サーバーのメリットは、利用者が管理者権限を持ち、サーバー運用も行うため、自由度が高く利用できる点です。さらに、サーバーを共有する利用者がいないため、ストレージやメモリ容量を独占的に使用できます。
一方、ほかのサービスに比べると初期費用や月額利用料が高い場合が多く、設定や運用を自身で行う必要がある点がデメリットです。また、サーバー環境の構築に時間を要することが多く、利用のハードルが高いサーバーといえます。
③VPSのメリットとデメリット
VPSサーバーのメリットは、比較的自由度が高く使用できる点です。割り当てられた仮想サーバーは、その利用者の管理下にあります。そのため、ほかの利用者の影響を受けにくく、設定やアプリのインストールなども自由に行えるのです。
一方、サーバー構築にあたって必要な作業は自身で行う必要がある点がデメリットです。そのため、VPSサーバーを利用する際は、ある程度の専門知識が必要になります。
④クラウドサーバーのメリットとデメリット
クラウドサーバーのメリットは、VPSや共用サーバーに比べて自由に運用できる点です。リソースも適宜変更できるため、アクセス数が増えることを予測して追加でリソースを確保する、といった柔軟な運用ができます。また、料金システムが従量課金制である場合が多く、工夫次第ではコストを抑えられるのもメリットです。
一方、使い方によっては多額のコストがかかる点がデメリットです。また、オンプレミスのように自由なカスタマイズはできず、サービスによっては、必要な機能に対応していない場合もあります。さらに、情報漏えいを防ぐためのセキュリティ対策に注意を払うことが大切です。
まとめ
本記事では、サーバーとは何かについて、サーバーの種類や7つの用途、サーバーに求められる重要な要素、サーバーの種類ごとのメリット・デメリットとともに解説しました。
サーバーとは、利用者の要求に応じて、必要なデータを提供したり処理を行ったりするものです。物理サーバーと仮想サーバーがあり、さらに複数の種類に分かれます。さまざまな機能を提供し、あらゆるサービスの利用を可能にする重要な存在です。サーバーについての理解を深め、適切なものを選択して正しく運用しましょう。
サーバーやプログラミングなど、ITに詳しい人材不足に悩んでいる方は、ぜひとも当社にお気軽にお問い合わせください。
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