RPAとは?メリットやデメリット、AIとの違い、選び方を解説

RPAとは?メリットやデメリット、AIとの違い、選び方を解説

RPAとは、手順を定めたロボットの作成によって業務を自動化できるツールのことです。本記事では、RPAのメリットやデメリット、AIとの違いなどを解説します。システムを選択する際にチェックすべき点も紹介するため、ポイントを理解して実際の業務に役立てましょう。


目次[非表示]

  1. 1.そもそもRPAとは?基礎知識をチェック
    1. 1.1.RPAが注目を集めている背景
    2. 1.2.RPAによる自動化におすすめの業務
    3. 1.3.サーバ型・クラウド型・デスクトップ型の違い
    4. 1.4.AIなどの似たシステムとの違い
  2. 2.RPAがもたらす5つのメリット
    1. 2.1.1.作業の負担が軽減し、労働環境の改善につながる
    2. 2.2.2.人的コストを削減できる
    3. 2.3.3.人為的ミスを削減できる
    4. 2.4.4.24時間いつでも稼働でき、スケジュールの短縮になる
    5. 2.5.5.高度な作業に集中でき、事業拡大につながる
  3. 3.RPAを利用する3つのデメリット
    1. 3.1.1.間違った作業でも自動で進めてしまう
    2. 3.2.2.導入のためにコストがかかる
    3. 3.3.3.急に作業が停止してしまう恐れがある
  4. 4.RPAの導入を検討する際のポイント
  5. 5.まとめ


そもそもRPAとは?基礎知識をチェック

そもそもRPAとは、ロボットによる業務プロセスの自動化のことです。「Robotic Process Automation」を略した言葉であり、海外では「デジタルワークフォース」ともいわれます。また、「仮想知的労働者」や「デジタルレイバー」と表する場合もあり、特定の業務に対して人間による労働の代わりになるとして注目が集まっているものです。


RPAツールで自動化したい業務の手順などを登録したロボットを作成しておくと、人間の手を離れた状態で仕事をこなせます。このようなRPAの活用によって、業務の負担を軽減できたり業務スピードが早くなったりするという点がメリットです。


それでは、RPAが注目を集めている背景や自動化におすすめの業務、サーバ型・クラウド型・デスクトップ型の違い、AIなどの似たシステムとの違いを詳しくチェックしましょう。


RPAが注目を集めている背景

RPAが注目を集めている背景には、日本が抱える労働に関する問題があります。日本では少子高齢化が進んで労働人口が減少し、人材の奪い合いになって人手不足に陥ってしまいました。


また、日本では労働生産性の低迷も問題視されています。海外と比較しても就業者1人当たりの労働生産性が低く、36ヶ国あるOECD加盟国のうちで日本は21位でした。


そのため、一定のルール内でおこなうような単純作業や反復作業をRPAに任せ、労働力不足や生産性の低迷問題を解決しようとして注目が集まっているのです。


引用:公益社団法人日本生産性本部「労働生産性の国際比較2021」 


RPAによる自動化におすすめの業務

RPAによる自動化に向いているのは、すべての業務ではありません。ルールや作業手順が決まっている定型業務と、パソコンのみで完了する業務がRPAによる自動化におすすめです。


RPAに任せる業務には、単調な繰り返し作業がとくに向いています。例えば、大量のデータをコピーしたり貼りつけたりする作業や、勤怠データの入力業務などです。人間は単調な作業を繰り返しておこなうと、疲労によって作業効率が悪化するなどのムラがあるものですが、ロボットであればそのような心配はありません。


サーバ型・クラウド型・デスクトップ型の違い

RPAには「サーバ型」や「クラウド型」、「デスクトップ型」という3つの種類があります。それぞれの種類には、RPAツールが働く場所に違いがあるのです。


サーバ型であれば、RPAツールが働く場所は自社サーバー内であり、それぞれのPCと接続させることによって自動化をおこないます。PC1台ごとにたくさんのロボットが働ける仕組みになっており、大規模展開が可能です。


クラウド型では、インターネットを使ってクラウドサーバーで作業を自動化します。導入コストが安くすみ、運用や保守において手間を必要としないものの、クラウドサーバーを使わずにパソコン内のみでおこなう作業などは自動化できません。


デスクトップ型では個人のPCごとに自動化するため、全体のPCではなく特定のPCでの作業を楽にするものです。小規模で導入しやすく、比較的安価に試せるうえに情報漏洩のリスクが低いといわれています。ただしデスクトップ型は属人化しやすいため、取り入れる際には操作方法を共有するようにしましょう。


AIなどの似たシステムとの違い

RPAと似ているものとして、AIやbotなどのシステムが挙げられます。これらのシステムとの違いもチェックしましょう。


AIとは、基本的に人間のような知能を持たせたソフトウェア、つまりは人工知能のことです。人間のような判断ができるように作られたものであるため、多くの場合AIは単体ではなく、判断材料となるデータベースが用意された状態でソフトウェアに組み込まれます。


一方、RPAは業務の自動化ができるとはいっても、自立した判断はできません。ルールにのっとった業務のみを任せられるものです。とはいえ、AIを搭載したRPAの開発も進んできています。


他方でbotは、アプリなどの自動応答システムとして使われるプログラムで、RPAのようにさまざまな業務を自動化させることはできません。



RPAがもたらす5つのメリット

RPAを活用することで、以下のとおり5つのメリットを得られます。


  • 作業の負担が軽減し、労働環境の改善につながる
  • 人的コストを削減できる
  • 人為的ミスを削減できる
  • 24時間いつでも稼働でき、スケジュールの短縮になる
  • 高度な作業に集中でき、事業拡大につながる


単純な繰り返し作業を自動化できるようになると、労働環境の改善や労働力不足問題の解消など、さまざまな問題解決に役立つでしょう。ここからは、RPAがもたらす5つのメリットについて詳しくチェックしていきます。


1.作業の負担が軽減し、労働環境の改善につながる

RPAがもたらす大きなメリットのひとつは、作業の負担が軽減することで、労働環境の改善につながるという点です。労働者の負担となっていた面倒な作業をRPAに任せられるため、労働環境を改善できます。入力や転記作業といった今まで手作業でおこなっていた業務から離れられるため、作業工数や作業時間をカットしてより効率的な労働が可能です。


2.人的コストを削減できる

人的コストを削減できることも、RPAがもたらす大きなメリットです。作業が自動化されて人間のおこなう業務が減る分、対応人数を減らせるようになって人件費削減につながります。


RPA自体にも導入や運用、保守のためのコストが必要でしょう。しかし一般的にこれらのコストは、削減可能な人件費よりも低く抑えられるといわれています。


3.人為的ミスを削減できる

自動化によってヒューマンエラーを防止できることも、RPAを導入するメリットのひとつです。人の手を介して業務をおこなっていると、どれほど気を付けていたとしても作業のミスを完全になくすことは不可能でしょう。しかし、RPAの導入によって人の手を介さずにロボットによる作業がおこなわれるようになれば、いつでも正確に作業を実行できるようになります。


人為的なミスが出ない仕組みづくりができれば、チェックやフォローのためにかかっていた時間や手間もなくなるため、さらなる効率化が可能です。


4.24時間いつでも稼働でき、スケジュールの短縮になる

RPAと労働者とを比較すると、稼働時間数に違いがあります。人間であれば労働可能な時間数に制限がありますが、RPAであれば24時間365日いつでも継続した稼働が可能です。これにより、たくさんの業務量があっても素早く処理できるようになるため、スケジュールを短縮できるでしょう。


先述のとおり人為的なミスがなくなり、チェックが不要になるため、さらに作業処理スピードの向上につながります。


5.高度な作業に集中でき、事業拡大につながる

RPAに任せられるような仕事は、付加価値が少ない単純作業です。このような面倒な作業をRPAに任せられるようになれば、その分労働者は人にしかできないような高度な作業に集中できるようになります。人的リソースを最適化でき、労働者は企画の検討や業務改善などの重要な業務に集中するようになるため、売り上げアップや事業の拡大が可能です。



RPAを利用する3つのデメリット

RPAを利用することにはメリットが多いですが、デメリットもあるため、それらの両面を理解したうえで導入するかどうかを検討するようにしましょう。RPAの利用における3つのデメリットは、以下のとおりです。


  • 間違った作業でも自動で進めてしまう
  • 導入のためにコストがかかる
  • 急に作業が停止してしまう恐れがある


これらのデメリットについて、それぞれ詳しくチェックしていきましょう。


1.間違った作業でも自動で進めてしまう

RPAを利用した場合、作業手順として指示された内容を自動で実行し続けます。もしも指示された作業手順が間違っていたとしても、そのまま進めてしまうため注意が必要です。


指示前のテストや定期的なチェックによって、正しく作業しているかどうかを確認しましょう。また、業務や連携システムに変更があった場合には、誤作動を起こしていないかもチェックしてください。


前任の担当者がいなくなった場合には、業務のブラックボックス化につながるケースがあるため注意が必要です。作業内容や手順がわからないまま自動で動き続けてしまうということがないよう、引き継ぎをしっかりとしましょう。


2.導入のためにコストがかかる

RPAを導入するには、コストがかかることにも注意してください。先述のとおり、RPAを導入すると作業が自動化される分だけ対応人数を減らせるようになり、人件費を削減できます。しかし、RPAの導入や運用、保守自体にもコストが必要です。


導入によるコストパフォーマンスが良いかどうかはケースバイケースであるため、自身の企業ではどちらのほうがいいのかを計算してから導入を決めると良いでしょう。


3.急に作業が停止してしまう恐れがある

RPAのデメリットには、急に作業が停止してしまう恐れがあることも挙げられます。例えばシステム障害やバグの発生などによって、作業が停止してしまう可能性があることに注意しましょう。また、Wi-Fiの切断やOSのアップデート、ブラウザのバージョンアップなどでも中断が起こりえます。


業務が停止するリスクを軽減するためには、十分な容量のあるサーバーを用意することに加え、日々のメンテナンスを確実におこないましょう。また、もしも停止してしまった場合のフローを作成し、あらかじめテストしておくことがおすすめです。


RPAの導入を検討する際のポイント

RPAの導入を検討する際には、おさえておくべきポイントがあります。RPAを選ぶ際にどこを確認すれば良いのか、以下のポイントをチェックしておきましょう。


  • 自動化する業務の優先順位:RPAによる自動化がしやすい業務のうち、どの業務を優先させるか
  • コスト面:導入コストや運用コストと期待する効果を比較検討する
  • 導入規模:自動化したい業務の規模に見合うシステムか
  • サポート体制:導入支援や不具合が起きた場合のサポート体制は万全か
  • タイプの違い:サーバ型・クラウド型・デスクトップ型のどれなのか



まとめ

RPAとは、ロボットによる業務プロセスの自動化のことです。RPAの活用によって業務の負担を軽減でき、さらには業務スピードを速くすることもできます。日本でRPAに注目が集まっていることには、労働力不足や生産性の低迷問題が関係していました。


RPAを導入すると作業の負担が軽減されて労働環境の改善につながること、人的コストを削減できること、ヒューマンエラーを防止できることなど、さまざまなメリットがあります。


デメリットや導入を検討する際のポイントまで理解し、RPAを導入するかどうかを決定しましょう。