Power Platformで切り拓く、電気通信業における業務効率化

Microsoft365をすでに導入していた電気通信業の企業に対し、追加コストを抑えた業務効率化と運用改善を目的に、Power Platformを活用した業務改革支援を実施しました。
請求書の自動取得や障害管理の自動化、RPAの再構築といった複数のテーマに対して、要件整理からシステム設計・構築・テスト・展開までを一貫して担当。現場の負担を軽減しながら、高い運用安定性と業務効率の両立を実現しました。
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#業務自動化
課 題 |
Microsoft365を導入済みでありながら、各業務に手作業や旧RPAに依存した非効率なプロセスが多く、業務負担と運用の安定性に課題がありました。特に請求書対応や障害管理など、毎月のルーティン業務に膨大な工数がかかっていました。 |
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解 決 策 |
Power Platformを活用し、請求書の自動ダウンロード、RPAの刷新、障害チケットの自動起票などを段階的に実現。要件定義から構築、運用までICが一貫して支援し、柔軟な開発手法で各業務の効率化を推進しました。 |
効 果 |
一連のプロジェクトを通じて、各業務の作業時間が大幅に削減され、運用負担の軽減と安定稼働が実現。利用部門からは具体的な感謝の声も多く寄せられ、業務効率化の実績が社内に広がるきっかけとなりました。 |
ICでは、企業様の業務効率化推進プロジェクトに携わることが多くあります。今回は、電気通信業における業務効率化を行ったI氏、S氏に詳しいお話を伺いました。
- TOPICS -
> プロジェクトの背景 「Microsoft 365を最大限に活用したい...!ローコストで業務効率化実現を希望」
プロジェクトの背景
Microsoft 365を最大限に活用したい...! ローコストで業務効率化実現を希望
企業全体の業務効率化とシステム運用改善は、多くの企業にとって喫緊の課題です。今回のシステム開発をご依頼いただいたお客様も例外ではありませんでした。
プロジェクト概要
既に導入していたMicrosoft365を最大限に活用したいという意向を伺い、その枠組みの中で、追加費用なし、または低コストで利用できるPower Platformは、まさに業務効率化に最適でした。既存ツールのリプレイスから新規システムの開発まで、このローコードプラットフォームが、今回の業務改革の主役として採用されることになりました。
具体的なプロジェクトは以下のように多岐に渡ります。
・毎月470件の請求書ダウンロード作業を自動化したい!
インボイス制度の開始により、請求書をダウンロード、保存する作業が義務化されました。毎月500件弱にもおよぶこの膨大な作業を手動で行うには莫大な工数がかかるため、早急な自動化が求められていました。さらに、請求書をダウンロードするためのログイン情報が圧着はがきで郵送されるというアナログな課題も存在しました。
・旧RPAの課題を乗り越え、解約手続きを安定化!
解約手続きには、これまで「WinActor」というRPAツールが使用されていました。しかし、ライセンス更新に伴いPower Platformへの移行が必須となりました。さらに既存ツールで頻繁に発生していたエラーや処理停止が大きな課題となっており、安定した運用が強く望まれていました。
・システム障害チケット起票、手動作業から解放されるには?
システム障害発生時、その管理のためにRedmineへ障害チケットを手動で起票する作業は、運用チームにとって大きな負担でした。毎日数十件以上届くシステム通知メールの中から、本当に対応が必要な「異常」を自動で判別し、チケットを起票する仕組みが求められていました。
・発注・受入業務を手作業からシステム化へ
今回、2023年に構築された「発注ツール」の母体システムに、さらなる機能拡充の要望が寄せられました。当初は申請データ作成までが対象でしたが、業務範囲の拡大を経て、将来的には受入業務まで含めた一貫したシステム化が計画されました。手作業で行われていたExcel帳票管理からの脱却が目標でした。
・未来を見据えたチャットボット技術の模索
運用チームの負担軽減を見据えた、「Copilot Studio」の可能性を探り、将来的な社内利便性向上を目指す挑戦も始まりました。
プロジェクトのポイント
Power Platformを使いこなし、価値を最大化
ICでは、これらの多岐わたるプロジェクトにおいて、単なるシステム構築に留まらず、要件ヒアリングから設計、構築、テスト、リリースまで一貫して深く関与し、数々の課題を解決してきました。
ICの役割は、お客様の要望に応えるだけでなく、自ら業務状況を深く理解し、より良い自動化やシステム化の提案を行う点にあります。
お客様側でOffice 365を導入済みであったことから、プロジェクトチームはPower Platformを積極的に活用するシステム構築を進めました。これは、コストを抑えながらも最大の効果を生み出すという、ICチームのコミットメントを示すものでもあります。
各プロジェクトを成功に導いた具体的な工夫要
既に導入していたMicrosoft365を最大限に活用したいという意向を伺い、その枠組みの中で、追加費用なし、または低コストで利用できるPower Platformは、まさに業務効率化に最適でした。既存ツールのリプレイスから新規システムの開発まで、このローコードプラットフォームが、今回の業務改革の主役として採用されることになりました。
・請求書ダウンロード自動化
圧着はがきに記載されたID/PWを、スキャンでPDF化するまでは人が行いますが、その後のプロセスに工夫を凝らしました。スキャンしたPDFから「AI Builder」を用いて文字情報を自動抽出し、その情報を使ってPower Automate for Desktop (RPA) がWebサイトへのログインから請求書ダウンロードまでを「一気通貫」で自動実行する仕組みを提供。これにより、手作業の負担が劇的に軽減されました。
・解約手続き自動化
旧RPAツール(WinActor)での頻繁なエラー発生を抑制することが最重要課題でした。特定のボタンをクリックする際の細かな条件洗い出しや、人の判断が介在する箇所の要件定義には特に時間を要しました。さらに、テスト環境が利用できないという制約もあり、本番環境での動作確認時にはお客様に立ち会ってもらうなど、万が一の事態に備えた入念な調整も必要になりました。この慎重な対応が、現在の安定稼働に繋がっています。
・チケット起票自動化
最大のポイントは、毎日数十件届くシステム通知メールから、対処が必要な障害を正確に特定するための「ルール作り」(要件定義)でした。ICチームは、直近約1年分の膨大なメールを「Power BI」などのツールで徹底的に分析。その結果、「異常終了」「危険」「エラーあり」「システム対応要」といったキーワードを自動検知するルールをお客様と共に確立し、自動起票の仕組みを構築しました。
・発注申請〜受入業務のシステム化
この大規模プロジェクトでは、要件定義や画面設計がなかなか固まらず、何度も画面イメージを作り直す必要がありました。また、構築を進める中で追加要望が出ることも多かったため、製造と設計を同時並行で進めるアジャイル方式が採用されました。Power Platformのローコード開発特性が、このような柔軟な対応を可能にしています。現在も引き続き開発が進められており、使用するツールも多岐に渡っています。連携や複雑な業務フローの考慮も重要なポイントです。
・チャットボットによる利便性向上
このプロジェクトは、「Copilot Studio」という新しい技術の調査と活用の可能性を探っています。将来的な運用チームの負担軽減、ひいては社内全体での利用を目指し、着実に検討が進められています。
プロジェクトの効果
Power Platformの活用で劇的な作業効率化と運用負担の軽減が実現
ICによる各プロジェクトの推進は、業務に具体的な効果をもたらし、お客様からの感謝と信頼を築き上げています。
請求書ダウンロード: 手作業による定型業務がRPAに置き換わり、Webサイトへのログインから請求書ダウンロードまで「一気通貫の自動化」が実現しました。
解約手続き: 以前使用していたRPAツール(WinActor)のライセンス費用見直しを契機に、Power Platformへ移行。これにより、運用コストの削減と、頻発していたエラーの大幅な減少、安定稼働の実現という両面の効果が得られました。現在では月1件程度の軽微なエラーがあるかないかで、それも利用者側で解消できるレベルに収まっています。
チケット起票: 手動でのチケット起票が不要となり、1回あたり10分、月間約20件もの作業時間削減に繋がりました。運用担当者は、対処が必要なエラーメールが来た時のみ通知を受け取ればよくなり、意識を他の重要な業務に集中できるようになりました。
発注申請〜受入業務: 運システム化によって業務の一貫性と内部統制の強化を実現。将来的には申請から受け入れまでを一貫してシステム上で完結させることで、業務全体の標準化と効率化を両立させる取り組みが進行中です。
チャットボット: 将来的には運用作業の効率化だけでなく、社内全体で利用可能なツールとして、マニュアル検索など、社内全体の利便性向上へと繋がる可能性があります。
「困ったらICに相談」:築き上げられた信頼に応えるために
各プロジェクトのリリース時には、利用者様から「ありがとうございました」という感謝の言葉をいただきました。特に「以前のRPAよりエラーが少なくなって助かった」「作業がだいぶ楽になった」といった具体的なフィードバックが利用者様から直接届くことが多く、メンバーの大きなモチベーションに繋がっています。
さらに、お客様からは「こういった作業効率化は今後も継続していきたい」「引き続きツールの拡充に向けたお願いをしたい」といった前向きな要望が寄せられています。
ICがお客様のご要望に対し、着実に実績を積み重ねてきた結果、「困ったことがあればICに相談してみたら、何か対応してくれるかもしれない」という口コミも広がるようになりました。これまで連携のなかった新しい部署からも相談が来るようにもなり、お客様の業務改善におけるパートナーとしての信頼関係が着実に築かれていることを感じます。この信頼に応えるため、日々努力を続けていきます。
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