
Power Platformは何ができる?できないことや活用事例も紹介
Power Platformは、業務のデジタル化やDX推進を支援するMicrosoftのローコード開発ツール群です。プログラミングの専門知識がなくても業務アプリを作成したり、業務プロセスを自動化したりできるため、多くの企業が導入を進めています。
特に、Power Apps、Power Automate、Power BI、Power Virtual Agents、Power Pagesの各ツールを組み合わせることで、業務の効率化やデータ活用がより効果的に行えます。
この記事では、Power Platformでできること、できないことを詳しく解説し、実際の活用事例を紹介します。
導入を検討している企業にとって、どのように活用すれば業務改善やDX推進につながるのかを具体的に知ることができる内容となっています。
目次
- 1. Power Platformとは?
- 2. Power Platformでできること
- 2.1. 業務アプリ開発が簡単にできる
- 2.2. データ収集と分析ができる
- 2.3. 業務プロセスを自動化できる
- 2.4. AIモデルを構築できる
- 2.5. チャットボットを作成できる
- 3. Power Platformでできないことはある?
- 3.1. 高度なカスタマイズ・開発には不向き
- 3.2. アプリの一般公開はできない
- 3.3. 大規模なデータ処理や複雑なデータ操作は難しい
- 4. Power Platformを導入するメリット
- 4.1. DX推進につながる
- 4.2. 業務効率化につながる
- 4.3. Officeソフトのデータを活用できる
- 5. Power PlatformでDX推進は可能?
- 6. Power Platformの活用事例・DX成功事例
- 6.1. パナソニック ソリューションテクノロジー株式会社
- 6.2. トヨタ自動車株式会社
- 6.3. 大手建設企業様における事例
- 7. Power PlatformでのDX・業務効率化ならICへ
- 8. まとめ
Power Platformとは?
Power Platformは、Microsoftが提供するローコード開発ツール群であり、プログラミングの専門知識がなくても業務アプリの開発や業務プロセスの自動化、データの可視化などができるのが特徴です。主にPower Apps、Power Automate、Power BI、Power Virtual Agents、Power Pagesの5つのサービスで構成されており、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を強力に支援します。
このプラットフォームを活用することで、従来であればエンジニアが開発する必要があった業務アプリを現場の担当者でも作成できるようになり、開発コストの削減や業務の効率化につながります。また、Microsoft 365やAzure、Dynamics 365との連携も容易であり、企業のIT環境にスムーズに統合できる点も大きな魅力です。
Power Platformについては、以下の記事で詳しく解説しています。
Power Platformとは?何ができる?導入のメリットを解説 | システム開発のIC
Power Platformでできること
Power Platformを活用すると、業務の効率化やデータの有効活用が可能になります。ローコード開発環境を備えているため、専門的なプログラミング知識がなくても業務アプリの作成や業務の自動化が容易にできます。ここでは、Power Platformで実現できる主な機能について紹介します。
業務アプリ開発が簡単にできる
Power Appsを利用すると、ドラッグ&ドロップの操作で業務アプリを簡単に開発できます。営業日報の管理や在庫管理、申請承認システムなど、企業ごとのニーズに応じたアプリをすばやく作成でき、スマートフォンやタブレットにも対応可能です。ExcelやSharePoint、Dataverseなどのデータソースと連携することで、より便利な業務アプリを構築できます。
データ収集と分析ができる
Power BIを活用すると、企業のあらゆるデータを収集し、グラフィカルなレポートやダッシュボードを作成できます。ExcelやSQL Server、Google Analyticsなど複数のデータソースと連携できるため、リアルタイムでのデータ分析や意思決定の迅速化が可能です。また、AIを活用したデータの予測分析機能も備えており、業務の最適化にも役立ちます。
業務プロセスを自動化できる
Power Automateを使えば、メールの自動送信や承認フローの作成、定型業務の自動化が可能になります。たとえば、見積書の作成後に自動で上司に承認依頼を送信したり、特定の条件で通知を出したりすることができます。繰り返し発生する作業を自動化することで、業務の効率化と人的ミスの削減につながります。
AIモデルを構築できる
Power Platformには、AI Builderという機能があり、特別なプログラミングなしでAIモデルを作成できます。手書き文字の認識、画像認識、テキストの自動分類などを業務フローに組み込むことができ、例えば、請求書の自動読み取りや顧客の感情分析などに活用可能です。これにより、企業のデータ活用レベルを大幅に向上させることができます。
チャットボットを作成できる
Power Virtual Agentsを活用すると、ノーコードでチャットボットを作成できます。FAQ対応や社内ヘルプデスクの自動化などに利用でき、顧客や従業員からの問い合わせ対応を効率化できます。さらに、Microsoft TeamsやWebサイト、SNSと連携させることで、さまざまなプラットフォーム上での自動応答を実現します。
Power Platformでできないことはある?
Power Platformは、業務アプリの開発や業務プロセスの自動化において非常に便利なツールですが、すべての開発ニーズに対応できるわけではありません。特に、複雑なシステム開発や大規模なデータ処理には制約があるため、導入を検討する際にはその限界を理解しておくことが重要です。ここでは、Power Platformで対応が難しいポイントについて解説します。
高度なカスタマイズ・開発には不向き
Power Platformはローコード開発ツールであるため、カスタマイズの自由度には限界があります。例えば、独自のUIデザインを細かく調整したり、独自のロジックを組み込んだ高度なシステム開発を行う場合、Power AppsやPower Automateでは対応が難しいケースがあります。特定の機能や要件に合わせた開発を行いたい場合は、.NETやJava、Reactなどを用いた従来の開発手法のほうが適していることもあります。
アプリの一般公開はできない
Power Appsで開発したアプリは、社内向けの業務システムとして利用することを前提としており、一般のユーザー向けに公開することはできません。つまり、企業の顧客向けアプリやマーケットプレイスで公開するモバイルアプリの開発には適していません。外部向けのアプリを開発する場合は、Power Pagesを活用するか、通常のWebアプリやネイティブアプリの開発が必要になります。
大規模なデータ処理や複雑なデータ操作は難しい
Power Platformでは、Microsoft Dataverseをはじめとするさまざまなデータソースと連携できますが、SQL ServerやAzureのようなデータ処理能力を持つわけではなく、大規模なデータセットの処理には向いていません。特に、数百万件以上のデータをリアルタイムで処理するような高度な分析業務には不向きです。複雑なデータ操作を行いたい場合は、Azure Data FactoryやSQL Server、Power BIの高度な機能を組み合わせる必要があります。
Power Platformを導入するメリット
Power Platformを導入することで、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進や業務の効率化を実現できます。Microsoft 365やその他のクラウドサービスと連携しながら、業務プロセスを最適化できるため、特にMicrosoft製品を活用している企業にとって大きなメリットがあります。ここでは、Power Platformを導入することで得られる主な利点を紹介します。
DX推進につながる
Power Platformは、ノーコード・ローコード開発を可能にするツール群であり、従来であればIT部門や開発会社に依頼しなければならなかった業務アプリの開発を、現場の担当者が主体となって行うことができます。これにより、ITリソースが不足している企業でもDXを推進しやすくなり、業務改善のスピードを加速できます。また、データの可視化や業務プロセスの自動化を容易に行えるため、組織全体のデジタル活用が進み、競争力の向上にもつながります。
業務効率化につながる
Power Platformを活用することで、業務の自動化やデータの一元管理が可能になり、手作業による業務負担を軽減できます。例えば、Power Automateを使えば、請求書の承認フローを自動化したり、定型業務の通知を自動化することができます。また、Power Appsを活用すれば、紙やExcelで管理していた業務をデジタル化し、必要な情報を即座に入力・検索できる業務アプリを作成することも可能です。このように、Power Platformを導入することで、業務の効率化と生産性向上を実現できます。
Officeソフトのデータを活用できる
Power Platformは、Microsoft 365(旧Office 365)との高い親和性を持ち、ExcelやSharePoint、Teams、Outlookなどのデータを簡単に活用できるのが特徴です。例えば、Excelで管理しているデータをPower BIで分析したり、Power Appsで入力フォームを作成してSharePointと連携することができます。また、Teamsとの統合により、チャットボットを導入して業務プロセスを簡単に自動化することも可能です。
このように、既存のMicrosoftツールとシームレスに連携できるため、新たなシステムを導入する手間が少なく、スムーズに業務をデジタル化できる点がPower Platformの大きな魅力です。
Power PlatformでDX推進は可能?
Power Platformは、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速させる強力なツールです。ローコード・ノーコード開発を活用することで、業務担当者が自ら業務アプリを作成し、業務の効率化やデータ活用を推進できます。
従来のシステム開発では、IT部門や外部の開発会社に依頼しなければならなかった業務アプリの構築を、Power Appsを使えば現場の社員が直感的な操作で作成できます。これにより、システム導入までの時間を短縮し、企業全体のDX推進をスピーディに進めることが可能になります。また、Power Automateを活用することで、紙ベースのワークフローや手作業で行っていた業務を自動化し、業務のデジタル化を加速させることができます。
さらに、Power BIによるデータ分析機能を活用することで、企業のあらゆるデータを可視化し、経営判断の迅速化やデータドリブンな意思決定を実現できます。こうした機能を組み合わせることで、DX推進の基盤を整えることが可能になります。
Power Platformの活用事例・DX成功事例
Power Platformは、企業の業務効率化やDX推進に貢献する強力なツールです。ローコード・ノーコードの特性を活かし、現場の担当者が自ら業務アプリを作成し、プロセスの自動化やデータの可視化を実現できます。すでに多くの企業がPower Platformを導入し、業務の最適化やデジタル変革を推進しています。
ここでは、Power Platformを活用した具体的な成功事例を紹介します。
パナソニック ソリューションテクノロジー株式会社
パナソニック ソリューションテクノロジー株式会社は、自社のDX推進のため、Microsoft Dynamics 365とPower Platformを活用し、基幹システムを刷新しました。従来のシステムではデータの多重入力や業務の非効率性が課題となっていましたが、Dynamics 365のSales、Finance、SCM、POを統合し、Power Automateで業務を自動化。さらに、Power BIを活用して経営データをリアルタイムに可視化し、意思決定の迅速化を実現しました。
現場のキーパーソンをプロジェクトに参加させることで、スムーズな運用移行とユーザー教育を進め、業務効率の向上を達成。案件の一元管理により、二重入力が解消され、全社的な業務最適化が図られました。この取り組みは、社内で高く評価され、「ファインプレー賞」や「年間アワード」を受賞。今後は、この経験を活かし、Dynamics 365の外販やアドオン開発を進め、さらなるDX推進に取り組んでいます。
参考:自らの DX のため Microsoft Dynamics 365 で基幹システムを刷新、入力業務の負担軽減とリアルタイム性の高い経営データで企業体質を強化
トヨタ自動車株式会社
トヨタ自動車株式会社は、工場のDX推進のためにPower Platformを活用し、現場主体の「市民開発」によるデジタル化を進めました。従来外注していたシステム開発を内製化し、現場担当者が自らアプリを作成することで、リードタイムの短縮と業務の効率化を実現。田原工場ではKPI管理や設備保全作業の最適化を目的に40以上のアプリを開発し、”カイゼン”の加速に成功しました。
Power BIを活用したKPI管理により、データのリアルタイム可視化が可能となり、会議資料作成が不要に。また、Power Appsによる設備保全アプリの導入で作業時間が約60%削減されるなど、業務負担の大幅な軽減が実現しました。さらに、社内技術コミュニティの活用により、6,500人以上の従業員が開発に関与し、市民開発の好循環が生まれています。
トヨタ自動車は今後もPower Platformを活用したDXを推進し、他の事業部門への展開を進めながら、デジタル化による継続的なカイゼンを目指しています。
参考:トヨタ自動車の工場 DX プロジェクト Power Platform と市民開発を武器に自律的デジタル化によるカイゼンを加速 | Microsoft Customer Stories
大手建設企業様における事例
大手建設企業では、2024年4月施行の36協定対応に向け、労働環境の見直しと勤怠の可視化を目的としたDXプロジェクトを実施しました。労働時間の実態を把握するため、既存のPC稼働ログを活用し、Microsoft Power Automateでデータを収集、Power BIで可視化することで、時間外労働の増加傾向や特定の部署の稼働状況を分析しました。
データ解析の結果、発注者との調整による土曜出勤の増加、協力業者の作業完了を待つ必要性、現場外業務による時間外労働などの課題が明らかになりました。これに対し、業務の分散や交代制の導入を提案し、業務フローの見直しを実施。短期間の調査ながら、労働時間の可視化と改善策の提示ができたことで、企業のDX推進がスムーズに進みました。
このプロジェクトの成果を受け、企業はさらなるDX化を進めるため、業務システムの統一による情報集約と業務フローの最適化に取り組んでいます。
詳しくは、以下のページでご確認いただけます。
Power PlatformでのDX・業務効率化ならICへ
引用元:システム開発のIC
ICでは、Power Platformを活用したDX推進や業務効率化の支援を行っています。Power Appsによる業務アプリ開発、Power Automateを活用した業務プロセスの自動化、Power BIによるデータの可視化など、企業の課題に合わせた最適なソリューションを提供します。
また、ITリソースが限られている企業でも、現場の担当者が自ら業務アプリを作成できるようサポートし、短期間での導入と効果的な活用を実現します。Microsoft 365やAzureとの連携を活かし、既存のシステム環境にスムーズに統合できるため、デジタル化のハードルを下げながら、企業の成長を支援します。
Power Platformを活用した業務改善やDX推進を検討している企業は、ぜひICにご相談ください。
まとめ
Power Platformは、業務アプリの開発、データ分析、業務プロセスの自動化をローコードで実現できるツール群であり、企業のDX推進に大きく貢献します。ノーコード・ローコードの特性を活かし、現場主導でのデジタル化が可能になるため、業務の効率化と生産性向上が期待できます。
ただし、高度なカスタマイズや大規模データ処理には向かないため、適用範囲を正しく理解することが重要です。ICでは、Power Platformを活用した業務改善のサポートを提供し、企業のDXを成功に導きます。導入を検討している方は、ぜひICにご相談ください。
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