「業務プロセスのDX化で1.1億円の削減」
IT商材を扱う大手企業様における、業務プロセスのDX化プロジェクトを担当した、O氏にお話を伺いました。
SE(システムエンジニア)の業務
SEはソフトウェアの設計、開発、テスト、および保守やソフトウェアプロジェクトのスケジュール管理や品質管理などのプロジェクト管理業務などを行います。様々な製品を取り扱うSEは企業や業種によってその業務内容は異なります。その中でO氏は、運用SEとして配属され、経験を積んだのちに、現在はPMとしてメンバー管理や業務調整、新規案件の受注などの業務を行っています。
増え続ける作業による人手不足をなんとかしたい
IT商材を扱うお客様の、新規案件獲得に伴い増え続ける工数の仕組みを改善するプロジェクト。
お客様には、業務工数の過多という課題がありました。
それは、新規プロジェクトが受注されると、コミュニケーション件数が増加するという仕組みがあったためです。やり取りはメールで行うため、新規案件が増えるほど対応が多く必要となり、人手も増えていきました。そこで、この業務プロセスを改善し、人件費をおさえたいというご要望をいただき、コンサルティングを行うこととなりました。
プロジェクト概要は下記になります。
毎日1000件以上のやりとり
プロジェクトでは、『社内の運用チーム』『商材対応するセンター』『ご利用者様』の3者が存在します。
業務調査によって、この3者のやりとりは全てメールで行われていることがわかりました。特に運用チームはご利用者様とセンターをつなぐ役割のため、1日あたり1,000件以上メール処理を行っていることが判明しました。
ご利用者様から依頼が来ると、運用チームは迅速に依頼をセンターへ届けます。逆に、センターの状況や対応内容をご利用者様に届ける業務も日々行っています。案件が増えるにつれこのメール処理も膨大な件数となっていくことで、当然、クレームやインシデントも比例して増加していきました。
このような状況を改善するべく、今回のプロジェクトではコミュニケーションをメールではなく、システムを活用することで人の手を介さない仕組みとし、大幅な業務工数の削減と、満足度の向上を目指すこととしました。
サービスデスクツールの採用
後続対応ができるツールとして採用されたのは、NRI社のサービスデスクツール「Senju Service Manager」です。
これは、今まで運用チームが仲介メールで行っていた依頼や確認事項などのコミュニケーションを、ご利用者様がクラウドツールに直接書き込みを行えるようになるツールです。書き込みがされると、運用チームとセンターの両方に情報が連携され仲介の連絡を待つことなく、後続対応できるようになります。
O氏は、PMとしてベンダー(NRI)と設計を行いました。仕様確認し、手順書を作成、デモ環境で本件にフィットしていることを確認し進めていきました。
クラウド導入の壁
サービスデスクツールは、依頼や確認事項をシステム上で管理可能とし、対応のステータス管理もできるようになります。その仕様上、お客様環境だけではなく、センターにも導入を行う必要がありました。
当時(2017~8年)は未だクラウドが浸透しきっていない時期で、ご利用者様によっては導入をご理解いただくことが難しいこともありました。その際は、システム導入することのメリットや意義についてご利用者様へ説得に伺い、デモをお見せしながら真摯にメリットや使い方などを説明しました。ネガティブな感情をお持ちであった方々も、だんだんと便利だなと思っていただき、導入を進めていくことに成功しました。導入することのメリットや意義について説得に伺うことも、ICの役割として重要なポイントです。
年間1.1億円の削減に成功
こうしてコミュニケーション業務をメールのやり取りからシステムへと移行し、その導入も進めさせていただきました。その結果として年間1.1億の削減に成功しました。加えて、コミュニケーション速度も段違いに向上し、ご利用満足度向上にも貢献することができました。
お客様からは本当に任せてよかった、ご利用者様への説得や導入まで対応してくれて本当にありがとう。インシデントも随分減ったし、タスク漏れもなくなったとご満足いただくプロジェクトとなりました。
実現するために
お客様課題の把握と解決方法の提示のみではなく、業務のDX化を進めるうえで、実現するための壁をどうしたら乗り越えられるのか、ご利用者様の理解を得るために共に奔走することも、DXを進めていくうえでとても大事なことであると我々ICは考えます。
編集後記
今後の目標として、配下メンバーの技術力UPを掲げていたO氏。チームでパワーアップして、さらに活躍される姿が楽しみです!
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