システム開発を検討しているご担当者の中には、自社のIT人材不足に悩んでいる方もいるのではないでしょうか?日本のIT人材不足は深刻な状況に陥っており、優秀な人材を確保することが難しくなっています。そこでこの記事では、企業が直面するIT人材不足の課題を乗り越えるための具体的な対策をご紹介します。自社での人材育成から新たなIT人材の採用、最新技術の導入まで、様々なアプローチを詳しく解説します。IT人材不足を解消したいご担当者の方はぜひ参考にしてください。
目次
日本国内では、IT人材の需要に対して供給が追いつかない状態が続いています。
企業のDX推進やクラウドサービス、AI、データ活用の普及により、IT人材が担う業務は幅広くなりました。一方で、少子高齢化に伴う労働人口の減少や、技術の急速な変化に対応できる人材の育成には時間がかかります。
今後はIT企業だけでなく、業務のデジタル化を進めるあらゆる業界で、人材獲得の競争がさらに激しくなると考えられます。
経済産業省の「IT人材需給に関する調査」によると、IT需要が高い水準で拡大する高位シナリオでは、2030年に最大約78.7万人のIT人材が不足すると試算されています。
比較的楽観的な低位シナリオでも約16万人、中位シナリオでは約45万人が不足する見込みです。いずれのケースでも需要が供給を上回ると予測されており、DX投資の拡大や労働人口の減少を背景に、企業には採用だけに頼らない人材確保・育成の取り組みが求められています。
ヒューマンリソシアが2025年7月に公表した調査では、企業で採用に携わるビジネスパーソン500人のうち、75.2%が勤務先でIT人材の不足を感じていると回答しました。
さらに、従業員1,000人以上の企業では79.6%に達しており、企業規模が大きいほど不足感が強い傾向も示されています。IT人材不足は一部の業界に限った問題ではなく、システム開発やDX推進を進める多くの企業に共通する経営課題となっています。
引用元:【ヒューマンリソシア調査】 「IT人材不足」 大企業の約8割が実感と回答、5年後の将来、IT人材不足が拡大との予測も約6割に
IT人材不足は企業にとって大きな課題となっています。情報セキュリティのリスクやシステム開発の遅延、既存エンジニアの負担増などの問題を引き起こします。
ここからは、IT人材不足を乗り切るための対策をご紹介します。
IT人材不足を乗り切るための対策は、下記の通りです。
アウトソーシングや人材派遣を活用する
既存社員へのリスキリング・IT研修を実施する
採用戦略や待遇を見直す
新しい技術やツールを導入する
DX化を進める
システム開発会社に依頼する
1つずつ詳しく解説していきます。
社内に必要なスキルを持つ人材がいない場合は、アウトソーシングやIT人材派遣を活用する方法があります。
システムの運用・保守やヘルプデスク、データ入力などの業務を外部に任せることで、採用や育成を待たずに人手を確保できます。必要な期間や業務量に応じて契約しやすい点もメリットです。
ただし、業務を外部へ任せきりにするとノウハウが社内に蓄積されにくいため、情報共有や引き継ぎの仕組みも整えておきましょう。
新たなIT人材を採用するだけでなく、既存社員にリスキリングやIT研修を実施し、必要なスキルを身につけてもらう方法も有効です。
データ分析やクラウド、AI、情報セキュリティなど、自社の課題に合った研修を行うことで、現場業務を理解したIT人材を育成できます。外部採用と比べて即効性は低いものの、中長期的な人材不足の解消につながります。
研修後に知識を実践できる業務やプロジェクトを用意し、継続的に成長を支援することが大切です。
IT人材を採用できない場合は、求人の条件や採用方法が求職者のニーズと合っているかを見直しましょう。
給与や福利厚生だけでなく、リモートワークやフレックスタイム、副業の可否、キャリア形成の支援なども、応募先を選ぶ重要な基準になります。また、求める経験や資格を厳しく設定しすぎると、採用対象を狭めてしまいます。必須条件と入社後に習得できるスキルを分け、未経験者や異業種出身者まで対象を広げることも一つの方法です。
人手に頼っている業務に新しい技術やITツールを導入すれば、限られた人員でも効率的に業務を進められます。
例えば、生成AIやRPA、チャットボット、ノーコード・ローコードツールなどを活用すると、資料作成や問い合わせ対応、データ入力、簡易的なシステム構築を省力化できます。
ただし、導入すること自体を目的にすると、かえって業務が複雑になる可能性があります。現場の課題を整理し、操作性や費用対効果を確認したうえで選定しましょう。
DX化を進め、業務プロセスや組織体制を見直すことも、IT人材不足への対策になります。紙や表計算ソフトを中心とした業務をデジタル化するだけでなく、重複している作業や不要な承認フローを削減すれば、IT部門や現場社員の負担を軽減できます。
また、データやシステムを部門間で共有することで、属人化の解消や意思決定の迅速化も期待できます。まずは負担の大きい業務から着手し、効果を検証しながら対象範囲を広げていくことが重要です。
自社だけではシステムの開発や改善が難しい場合は、専門知識を持つシステム開発会社に依頼する方法があります。要件整理から設計、開発、運用・保守までを支援してもらえるため、社内にエンジニアがいなくてもIT施策を進めることが可能です。
特に、短期間でシステムを導入したい場合や、高度な技術が必要な場合に適しています。依頼先を選ぶ際は、費用だけでなく、類似案件の実績や対応範囲、導入後のサポート体制まで確認しましょう。
深刻なIT人材不足に対して、国も対策に乗り出しています。
ここからは、国によるIT人材不足の対策をご紹介します。
国によるIT人材不足の対策は、下記の通りです。
マナビDX
プログラミング教育の必修化
教育訓練給付金制度
それぞれの対策について詳しく解説していきます。
マナビDXは、経済産業省が運営するデジタルスキル習得のためのポータルサイトです。
マナビDXの内容は、下記の通りです。
登録不要で誰でも無料で利用できる
事前知識がなくても多くのITスキルを学べる講座が用意されている
経済産業省やIPAが定めるスキル標準に沿ったカリキュラム
インターネットとPCがあればいつでも好きな時間に学習できる
デジタル社会を生きていくために必要なスキルを身につけることができます。 インターネット環境があれば無料で利用できるのでぜひ活用してみましょう。
参考サイト:マナビDX
小学校では、2020年からプログラミング教育が必修化されました。
プログラミング教育を必修化することで、早い段階からコンピュータサイエンスに触れ、興味を持つ機会を提供します。子どものころからプログラミングに触れることで習得も早くなり、将来的なIT人材不足を緩和する効果が期待されています。
教育訓練給付金制度は、条件を満たせばプログラミングスクールなどの受講料の一部が還付される制度です。一般的にプログラミングスクールは、高額な場合が多いです。受講料の高さからプログラミングを学ぶことを諦めてしまう人もいます。この制度を利用することで、経済的負担を軽減しながらITスキルの学習ができます。
参考サイト:教育訓練給付制度があなたのキャリアアップを支援します | 政府広報オンライン
ここからは、IT人材不足による影響をご紹介します。
IT人材不足による影響は、下記の通りです。
既存のITエンジニアの負担が増える
システム開発が遅れる
情報セキュリティのリスクが高まる
IT人材不足による影響は、企業の成長を妨げ、競争力の低下を招く可能性があります。影響をしっかり理解した上で対策しましょう。
IT業界は、需要が高い状況が続いています。そのため、人材が不足しているのにも関わらず業務量は増えていきます。このような状況が続くと、既存のITエンジニアにかかる負担が大幅に増加してしまいます。負担が増えればミスが増えたり、疲労やストレスから体調を崩してしまったりする可能性があります。職場環境の悪化は、エンジニアの満足度の低下やモチベーションの低下、健康問題や離職にもつながりかねません。既存のIT人材の負担軽減のためにも適切な対策が必要です。
IT人材不足は、システム開発が遅れる要因の一つです。プロジェクトに必要なIT人材が不足していれば、プロジェクトのスケジュールが遅れる可能性があります。システム開発の遅れは、コストの増加や品質に影響を与えます。その結果、人員の追加や工程の延長などが必要となり予算オーバーのリスクが高まります。
情報セキュリティに精通したIT人材が不足すると、情報漏洩のリスクが高まります。専門知識の不足やセキュリティ対策の不備によって、企業の機密情報や顧客データが漏洩する可能性が高まります。情報漏洩が発生すれば、顧客や取引先からの信頼を失ってしまいます。また、個人情報の漏洩は法的な問題に発展する可能性もあり、企業の存続さえも危うくなるでしょう。情報セキュリティの確保は、企業の存続にとって重要なため適正な対策が必要です。
社内にIT人材がいない場合や、採用・育成を待つ余裕がない場合は、外部の専門会社へ依頼する方法が適しています。必要な知識や経験を持つ人材を短期間で確保できるため、システム開発やセキュリティ対策、業務効率化などを速やかに進められます。
特に、以下のようなケースでは外注が効果的です。
社内に必要なITスキルやノウハウがない
システム障害やセキュリティ問題へ早急に対応したい
新しいシステムを短期間で開発・導入したい
一時的なプロジェクトのために人員を確保したい
社員を本来のコア業務に集中させたい
ただし、費用や対応範囲、サポート体制は依頼先によって異なります。自社の課題や目的を明確にしたうえで、実績や得意分野を確認して選定することが重要です。
ここからは、システム開発を依頼する会社の選び方をご紹介します。
システム開発会社を選ぶ際には、以下の点に注目しましょう。
開発実績
担当者とのコミュニケーション
開発後のフォロー体制
開発会社を選ぶ際には、実績を確認することが重要です。過去に手掛けたプロジェクトや成果物を通じて、技術力、納期遵守、品質管理の能力を確認します。頼みたい開発の類似プロジェクト事例を確認することで、自社のニーズに合致するかどうかを判断できます。実績確認は、プロジェクトの成功に向けて重要になるのでしっかり確認をしましょう。
システム開発会社を選ぶ際には、担当者の提案力やコミュニケーション能力も重要です。 プロジェクトの成功には、開発会社担当者とのコミュニケーションが必要不可欠です。こちらの要望をくみ取って提案してくれる、メールなどのレスポンスが早いなど担当者のコミュニケーション1つで進行も大きく変わります。優れた担当者であれば、トラブルが発生した場合でも迅速に解決してくれるはずです。開発会社を選ぶ際は、担当者のコミュニケーションが優れているかどうかもしっかり確認しましょう。
プロジェクト完了後のフォロー体制も、開発会社選びの重要なポイントです。システム開発は、完成したら終わりではありません。システムを運用・保守しながら稼働させていく必要があります。そのため、開発後の運用・保守まで担当してくれるのか、どの程度の費用がかかるのかなども確認しておきましょう。
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IT人材不足は、一朝一夕で解決できる問題ではありません。優秀な人材の採用は狭き門で厳しいことが予想されるでしょう。そのため、記事内でご紹介した対策の中からできるものをピックアップして実行していくことが必要です。社外サービスの活用、DXの推進、待遇面の改善などやり方を工夫してIT人材不足を乗り切りましょう。
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