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システム運用と保守の違いとは?業務内容や外注ポイントを解説

作成者: Admin|Apr 22, 2025 12:00:00 AM

システムの運用と保守は、いずれも企業のIT環境を安定して維持するために欠かせない業務ですが、その違いを明確に理解できていないという方も多いのではないでしょうか。とくに外部委託を検討する場面では、契約内容や業務範囲のすり合わせにおいて、この違いの理解が大きなポイントになります。

本記事では、システム運用と保守の違いをJIS規格の視点も交えてわかりやすく整理し、それぞれの業務内容やよくある課題、外注を検討すべきケースについて解説します。運用・保守体制の見直しを検討中の情報システム担当者の方にとって、最適な判断のヒントとなる内容です。

 

システム運用と保守の違いとは?

企業の情報システムを外部に委託しようとする際、多くの担当者が混同しがちなのが「運用」と「保守」の違いです。どちらもITシステムの安定稼働を支える重要な業務ですが、それぞれの役割と範囲を正しく理解していないと、契約内容のミスマッチや業務の抜け漏れが発生する可能性があります。

ここでは、システム運用と保守の違いを明確にし、JIS規格に基づいた保守の分類も踏まえて解説していきます。

「運用」はシステムを安定稼働させるための日々の管理

システム運用とは、ITインフラや業務アプリケーションが安定して稼働し続けるよう、日々の監視や対応を行う業務です。

例えば、サーバーの稼働状況の監視、バックアップの取得、アカウント管理、障害発生時の一次対応、定例レポートの作成などが含まれます。トラブルを未然に防ぎ、システム全体を安定した状態に保つための「予防的」な業務が中心です。

企業活動を支える縁の下の力持ちとも言える存在であり、業務を止めないための重要な役割を担っています。

「保守」はトラブル時の対応や改善・修正作業

一方、システム保守は、運用中に発生した障害への対応や、不具合の修正、機能改善などを担当します。JIS(日本産業規格)では、保守業務を次の5つに分類しています。

  • 修正的保守:不具合やバグを修正するための対応
  • 適応的保守:システム環境の変化(OSや周辺機器の更新など)に合わせた調整
  • 完全化保守:機能追加やパフォーマンス向上などの改善対応
  • 予防的保守:将来的な障害を未然に防ぐための措置
  • 緊急保守:突発的な重大障害に対する緊急対応

これらはすべて、システムの安定性と信頼性を保つための「事後的」または「改善的」な業務です。運用と違って、計画的ではない突発的な対応も多く、技術的な判断が求められる場面も少なくありません。

システム運用の業務内容

システム運用は、情報システムを日々安定して稼働させるための管理業務全般を指します。業務の多くは裏方的な役割ですが、企業の活動を支えるインフラとして非常に重要です。

ここでは、主なシステム運用業務について具体的に解説します。

オペレーション(日常作業)管理

日々のオペレーション業務には、バッチ処理の実行やシステムの起動・停止、帳票出力などの定型作業が含まれます。これらは、業務プロセスに直結するため、正確さとタイミングが求められます。

トラブルを防ぐためにマニュアル化や自動化が進められることも多く、ミスのない安定した運用体制が重視されます。

サーバーやネットワークの稼働監視

サーバーやネットワーク機器が常に正常に動作しているかをリアルタイムで監視する業務です。

CPU使用率やメモリ使用量、ネットワークの通信状況などをモニタリングし、異常の兆候をいち早く察知して対応することで、システムダウンなどの重大トラブルを未然に防ぎます。

セキュリティ対策やログの監視

不正アクセスやマルウェアの侵入を防ぐためのセキュリティ対策も、運用業務の一環です。

ファイアウォールやウイルス対策ソフトの稼働確認、アクセスログのチェックなどを通じて、情報漏洩や内部不正のリスクを低減します。

近年では、SIEM(セキュリティ情報イベント管理)を活用した統合的なログ分析も一般的になっています。

バックアップ管理/障害予兆の検知

データ損失を防ぐために、定期的なバックアップの取得とその整合性の確認を行います。

また、ハードディスクの劣化やエラーログの蓄積など、障害の兆候を検知することで、トラブル発生前に対策を講じることが可能です。

万が一の障害発生時にも、迅速な復旧が可能となるよう備えておくことが重要です。

キャパシティ管理(リソースの最適配分)

サーバーやネットワーク、ストレージなどのリソースが適切に利用されているかを管理する業務です。

リソースが不足すればパフォーマンスが低下し、逆に余剰があればコストの無駄が発生します。

定期的な使用状況の分析と将来の需要予測を行いながら、最適なリソース配分を維持します。

システム保守の業務内容

システム保守は、既に稼働している情報システムを安全かつ快適に利用し続けるための「改善・修正」に関わる業務です。

運用が“安定稼働の維持”であるのに対し、保守は“問題発生時や変化に対応するための処置”が中心となります。

以下では、代表的な保守業務について詳しく見ていきましょう。

トラブル発生時の復旧対応

突然のシステムダウンや処理停止など、トラブルが発生した際には、迅速な原因特定と復旧が求められます。

ログの解析や障害範囲の切り分け、影響を受けたサービスの復元作業などを行い、業務の早期再開を支援します。

また、再発防止策の検討や対策実施まで含めて対応することが一般的です。

システム変更・バージョンアップ対応

業務内容の変化や法制度の改正、新たな機能要件に応じて、既存システムの設定変更やプログラム修正が必要になることがあります。

また、OSやミドルウェア、業務アプリケーションのバージョンアップも定期的に発生するため、互換性や動作確認を踏まえた丁寧な対応が求められます。

パッチ適用・セキュリティホール修正

セキュリティ面での脆弱性が発見された場合には、ベンダーから提供されるパッチの適用を行います。タイミングが遅れると不正アクセスや情報漏洩など重大な被害につながる恐れがあるため、迅速かつ正確な対応が不可欠です。

また、パッチ適用によるシステム不具合が起きないよう、事前検証やバックアップも重要なプロセスとなります。

周辺機器・ネットワークの修繕・リプレイス

システムの稼働を支えるハードウェア機器やネットワーク機器にも劣化や故障はつきものです。

プリンタやNAS、ルーターといった周辺機器の交換・修理、老朽化したスイッチや通信機器のリプレイス対応も保守の一環です。現場の業務が止まらないよう、適切なタイミングでの対応と計画的な更新が求められます。

運用保守でよくある課題とその対策

システムの運用・保守は企業のIT基盤を支える重要な業務ですが、実際の現場ではさまざまな課題が生じやすい領域でもあります。特に、担当者が少ない企業や、情報システム部門を兼務しているケースでは、リソースや体制の限界に直面することも少なくありません。

ここでは、運用保守でよくある代表的な課題と、その対策を紹介します。

属人化してしまう

特定の担当者だけが業務の詳細を把握しており、他のメンバーが内容を把握していないという属人化の問題は、業務継続性の大きなリスクになります。

対策としては、業務手順書や運用マニュアルを整備し、ナレッジをチームで共有できる体制を作ることが重要です。また、ツールやRPAの導入で標準化・自動化を進めることも有効です。

夜間・休日対応の体制が組めない

障害対応や緊急対応が必要になっても、夜間や休日は人手が足りずに対応が遅れてしまうケースもあります。

このような課題には、外部の運用保守サービスを活用し、24時間365日の監視・対応体制を構築することで対応が可能です。

自社で対応が難しい時間帯だけを外部に委託する「ハイブリッド型」の体制も検討する価値があります。

問い合わせ対応が本業を圧迫する

社内からのシステム関連の問い合わせ対応に時間を取られ、担当者が本来の業務に集中できないといった悩みもよく見られます。

対策として、問い合わせ内容の傾向を分析し、FAQの整備やチャットボットの導入、一次対応のアウトソーシングなどで業務負荷を分散することが効果的です。

バージョンアップ・障害対応の遅れ

日常業務に追われるあまり、ソフトウェアやシステムの更新が後回しになり、セキュリティリスクや業務効率の低下を招くこともあります。

こうした課題に対しては、計画的な保守スケジュールの策定と、定期的な進捗確認が重要です。

また、専門性の高い対応が必要な場合には、信頼できる外部パートナーとの連携により、スムーズな対応を実現できます。

運用保守の外注を検討すべきケースとは?

システム運用・保守をどこまで自社で対応し、どこから外部に委託するべきかは、多くの情報システム担当者が悩むポイントです。

内製と外注にはそれぞれのメリット・デメリットがあり、自社の体制や方針、リソース状況によって最適な選択は異なります。

ここでは、内製と外注、それぞれに向いているケースを紹介します。

内製化に向いているケース

運用や保守の対象システムが業務の根幹に直結しており、日々の改善や素早い対応が求められるような場合は、社内で運用を担う内製化が有効です。

業務内容を深く理解した自社のメンバーであれば、トラブルの背景や業務上の優先順位を即座に判断でき、柔軟な対応が可能です。

また、ノウハウを社内に蓄積できることも大きな利点です。

ただし、内製化には十分な人材とスキルが必要であり、人的リソースに余裕がある企業やIT部門が強化されている組織に向いています。

外注が向いているケース

一方で、次のようなケースでは運用保守を外部に委託することが効果的です。

  • 情シス担当者が少数で業務が手一杯になっている
  • 夜間・休日対応の体制が組めない
  • ITスキルを持つ人材の採用・育成が難しい
  • 属人化が進んでおり、継続性に不安がある
  • バージョンアップや障害対応が後手に回りがち

このような状況では、運用保守業務の一部または全部を外注することで、本来注力すべき業務に集中できる環境が整い、システム全体の品質向上にもつながります。

コストだけでなく、体制の柔軟性や安定性の観点からも、外部パートナーの活用は有効な選択肢です。

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引用元:システム開発のIC

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夜間・休日対応や属人化解消など、委託の範囲はご相談に応じて柔軟に設計可能です。まずは現状のお困りごとをヒアリングさせていただき、最適な体制をご提案いたします。運用・保守体制の見直しをお考えなら、ぜひICにご相談ください。

まとめ

システム運用と保守は、それぞれ異なる役割を担いながら、企業のIT環境を安定的に支える重要な業務です。日々の安定稼働を守る運用と、トラブル対応や改善を行う保守の違いを理解することは、適切な体制構築の第一歩です。

自社内での対応が難しい場合や、体制強化を検討している場合は、専門性を持つ外部パートナーの活用も有効です。ICでは、貴社の課題や業務内容に合わせた柔軟なサポート体制をご提供しています。安心して任せられるパートナーとして、ぜひ一度ご相談ください。