ブログ記事|システム開発のIC

システム運用と保守の違いとは?業務内容と外注判断のポイントを解説|システム開発のIC

作成者: Admin|Dec 9, 2025 12:00:00 AM

システム保守とは何か、運用との違いや具体的な業務内容をわかりやすく解説します。内製・外注の判断基準や、外注時に確認すべきポイントも紹介し、自社に最適な保守体制を検討するためのヒントを提供します。

システムを安定して使い続けるために欠かせない「システム保守」。

しかし、「システム運用との違いがよくわからない」「保守は内製すべきか、外注すべきか判断できない」と悩んでいる情報システム担当者・IT責任者の方も多いのではないでしょうか。

システム保守は、障害対応や不具合修正だけでなく、将来的なトラブルを防ぐための重要な役割を担っています。一方で、業務内容や責任範囲が曖昧なまま運用していると、属人化や対応漏れ、コスト増大につながることも少なくありません。

 

本記事では、システム保守とは何か、システム運用との違いを整理したうえで、保守・運用それぞれの業務内容を解説します。さらに、内製と外注の判断基準や、外注時に確認すべきポイントを紹介し、自社に最適な保守体制を選ぶための考え方をわかりやすくお伝えします。

 

 

システム保守とは

システム保守とは、システムの不具合対応や改善を通じて、将来にわたって安全かつ安定した状態を維持するための業務です。

ただし、保守と似た言葉として「システム運用」があり、それぞれの役割や目的を正しく理解できていないケースも少なくありません。ここでは、まずシステム保守とシステム運用の違いを整理したうえで、なぜシステム保守が重要とされているのかを解説します。

システム運用との違い

システム保守とシステム運用は混同されがちですが、役割は明確に異なります。

システム運用は、日々の業務を滞りなく回すための定常作業が中心です。

具体的には、システム監視やバックアップ、アカウント管理、問い合わせ対応などが該当します。

一方、システム保守は、システムそのものの品質や状態を維持・改善する業務です。

不具合修正や仕様変更への対応、将来的な障害を防ぐための改善など、より中長期的な視点でシステムを支える役割を担います。

 

簡単に言うと、

運用:今の状態を止めずに回すための業務

保守:これからも安心して使える状態を保つための業務

という違いがあります。

システム保守が重要とされる理由

システム保守が重要とされる最大の理由は、トラブルが発生してからでは手遅れになるケースが多いためです。

小さな不具合や性能劣化を放置すると、業務停止やデータ損失、顧客への影響といった重大な問題に発展する恐れがあります。

また、法改正や業務フローの変更、利用ユーザーの増加など、システムを取り巻く環境は常に変化しています。

こうした変化に対応せずに使い続けると、業務効率の低下やセキュリティリスクの増大を招きます。

システム保守を適切に行うことで、

  • 安定稼働の維持
  • 突発的な障害やコストの抑制
  • 長期的なシステム活用

が可能になり、結果として事業の安定成長を支える基盤となります。

システム保守の主な業務内容

システム保守には、発生した問題への対応だけでなく、将来のトラブルを防ぐための取り組みも含まれます。

保守業務は内容ごとにいくつかの種類に分けられ、それぞれ役割や目的が異なります。

修正保守

修正保守とは、システムに不具合や障害が発生した際に行う対応です。

プログラムのバグ修正やエラー対応など、「問題が起きたあとに行う保守」が該当します。

ユーザーからの問い合わせや障害発生をきっかけに対応するケースが多く、システムを正常な状態に戻すことが目的です。

緊急性が高い一方で、修正保守だけに頼ると、トラブル対応に追われる状態になりやすい点には注意が必要です。

適応保守

適応保守は、業務内容や利用環境の変化に合わせてシステムを調整する保守です。

法改正への対応や業務フロー変更、OSやミドルウェアのバージョンアップへの対応などが含まれます。

システム自体に不具合がなくても、環境の変化に適応させるために行う保守であり、業務を継続するうえで欠かせない対応です。

予防保守

予防保守は、将来発生しうるトラブルを未然に防ぐことを目的とした保守です。

ログの確認や定期的な点検、設定の見直しなどを行い、問題の兆候を早期に発見します。

障害が起きてから対応するのではなく、「起きない状態を維持する」ための取り組みとして重要な役割を果たします。

予測保守

予測保守は、システムの稼働状況やデータをもとに、将来的な障害や性能低下を予測し対応する保守です。

リソース使用率の分析や傾向把握を行い、必要に応じて事前に対策を講じます。

近年では、監視ツールやデータ分析を活用した予測保守の重要性が高まっています。

追加開発・改善対応

システム保守には、軽微な機能追加や改善対応が含まれることもあります。

画面表示の改善や操作性向上、業務効率化のための小規模な改修などが該当します。

これらの対応を継続的に行うことで、システムの価値を維持・向上させることができます。

ただし、保守契約の範囲外となる場合も多いため、事前に対応範囲を明確にしておくことが重要です。

システム運用の業務内容

システム運用は、システムを日々安定して稼働させるための定常業務です。

障害やトラブルを未然に防ぎつつ、ユーザーが問題なく利用できる状態を維持することが目的となります。

定常的な監視

定常的な監視は、システム運用の中心となる業務です。

サーバーやネットワーク、アプリケーションの稼働状況を常に確認し、異常や性能低下を早期に検知します。

CPUやメモリ使用率、ディスク容量などを監視することで、障害につながる兆候を事前に把握できます。

バックアップ管理

バックアップ管理は、障害や誤操作によるデータ消失に備えるための重要な運用業務です。

定期的なバックアップの取得や、正常に復元できるかの確認作業も含まれます。

バックアップが取得されていても、復元手順が整理されていないと、いざというときに対応できません。

運用の中で、手順や体制を整えておくことが重要です。

アカウント管理や権限設定

ユーザーアカウントの作成・削除、権限設定の管理も、システム運用に含まれます。

異動や退職に伴う権限変更を適切に行わないと、情報漏えいや不正利用のリスクが高まります。

セキュリティを維持するうえでも、正確かつ迅速な対応が求められる業務です。

日々の問い合わせ対応

システム利用者からの問い合わせ対応も、運用業務の一つです。

操作方法の案内や軽微なトラブル対応など、日常的なサポートを行います。

問い合わせ対応が増えると、運用担当者の負担が大きくなり、本来注力すべき改善や保守業務に手が回らなくなることもあります。

システム保守は内製化すべき?外注すべき?

システム保守は、内製化と外注(アウトソーシング)のどちらが必ず正しいというものではありません。

自社の体制やシステム規模、求める対応レベルによって、最適な選択は異なります。

ここでは、それぞれに適したケースを整理し、判断のポイントを解説します。

内製化に適したケース

システム保守を内製化するのに適しているのは、社内に十分なIT人材と運用ノウハウがある場合です。

システム構成が比較的シンプルで、担当者が設計や仕様を把握している環境では、迅速な対応が可能になります。

また、業務内容が頻繁に変わり、細かな調整が日常的に発生する場合も、内製化のメリットが活きやすいでしょう。

ただし、属人化や担当者不在時のリスクには注意が必要です。

外注(アウトソーシング)に適したケース

一方で、IT人材が不足している場合や、担当者の負担が大きくなっている場合は、外注が有効な選択肢となります。

複数システムを抱えており、24時間監視や迅速な障害対応が求められるケースでは、専門企業のノウハウが役立ちます。

また、セキュリティや可用性を重視したい場合も、外注によって安定した保守体制を構築しやすくなります。

内製にこだわらず、必要な部分だけ外注するハイブリッド型も現実的な選択肢です。

開発元以外に依頼するメリット

システム保守は、必ずしも開発元に依頼する必要はありません。

開発元以外の企業に依頼することで、特定ベンダーへの依存を避け、コストや対応内容を見直せる場合があります。

第三者の視点でシステムを確認してもらうことで、構成の改善点やリスクが明確になることもあります。

将来的なシステム刷新やクラウド移行を見据える場合にも、柔軟な選択肢を持てる点は大きなメリットです。

システム保守を外注する際に確認すべきポイント

システム保守を外注する場合、契約内容や体制を十分に確認せずに進めてしまうと、

「想定していた対応が含まれていなかった」「追加費用が頻発する」といったトラブルにつながる恐れがあります。

ここでは、外注先を選定する際に必ず確認しておきたいポイントを解説します。

保守範囲が明確になっているか

まず重要なのは、どこまでが保守対象なのかが明確に定義されているかどうかです。

対象となるシステムやサーバー、ネットワーク機器、OS、ミドルウェアの範囲が曖昧だと、対応可否を巡って認識のズレが生じやすくなります。

障害対応、軽微な修正、設定変更など、対応内容が保守契約に含まれているかを事前に確認することが重要です。

対応内容・対応時間・SLAの定義

次に確認すべきなのが、対応内容や対応時間、SLA(サービスレベル合意)の有無です。

平日のみ対応なのか、夜間・休日対応が可能なのかによって、運用の安心感は大きく変わります。

障害発生時の初動対応時間や復旧目標時間が明確になっているかも、重要な判断材料となります。

費用体系が適正か

保守費用の体系が明確かどうかも確認しておきたいポイントです。

月額固定費なのか、作業内容に応じた従量課金なのかによって、コストの見通しは変わります。

基本料金に含まれる作業範囲と、追加費用が発生する条件を把握しておくことで、想定外のコスト増加を防げます。

契約期間や更新条件

契約期間や更新条件も、事前に確認が必要です。

最低契約期間や自動更新の有無、解約時の条件などを把握しておかないと、見直したいタイミングで変更できない場合があります。

将来的な体制変更やシステム刷新を見据え、柔軟に対応できる契約内容かを確認しておきましょう。

セキュリティ体制と障害時の報告フロー

外注先のセキュリティ体制も、必ず確認すべき重要なポイントです。

情報管理体制やアクセス制御、インシデント発生時の対応ルールが整備されているかを確認しましょう。

また、障害発生時の連絡手段や報告フローが明確になっていることで、迅速な対応と情報共有が可能になります。

システム保守ならICにお任せください

引用元:システム開発のIC

 

システム保守は、業務の安定稼働を支える重要な役割を担う一方で、

「どこまで対応してもらえるのか」「本当に今の体制が最適なのか」と判断に迷いやすい領域でもあります。

ICでは、システム保守・運用の切り分けや現状課題の整理から支援し、

企業ごとのシステム構成や体制に合わせた最適な保守プランを提案しています。

オンプレミス・クラウド・ハイブリッド環境いずれにも対応し、必要な範囲だけを柔軟にアウトソーシングすることも可能です。

「内製と外注、どちらがよいか決めきれない」「まずは今の保守体制を見直したい」

そのような段階からでも、安心して相談できます。

まとめ

システム保守とは、システムを安定して使い続けるために欠かせない業務であり、

日々の運用とは役割や目的が異なります。

適切な保守体制を整えることで、突発的な障害やトラブルの抑制、情シス担当者の負担軽減、長期的なシステム活用とコスト最適化が可能になります。

内製・外注のどちらが正解かではなく、自社の体制や課題に合った選択ができているかが重要です。

システム保守の体制に悩んでいる場合は、専門企業への相談も視野に入れながら、最適な形を検討してみてはいかがでしょうか。