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ペーパーレス化のメリット・デメリットとは?推進する方法や成功事例を解説|システム開発のIC

作成者: Admin|Aug 12, 2024 3:00:00 PM

近年、業務プロセスの効率化や情報セキュリティの強化などを理由に、多くの企業がペーパーレス化を推進しています。ペーパーレス化を成功させるためには、メリットだけでなくデメリットや注意点も理解し、計画的に進めることが重要です。本記事では、ペーパーレス化によるメリットやデメリット、推進する方法を詳しく解説します。

ペーパーレス化とは

ペーパーレス化とは、紙媒体で管理されている文書や書類、資料などを電子データ化し、管理・運用することです。

ビジネスにおいては、単に紙の使用量を減らすことが目的ではなく、業務プロセスの効率化や生産性の向上、コスト削減、情報セキュリティの強化など様々なメリットをもたらすことから、近年多くの企業で導入が進められています。

ペーパーレス化の現状

総務省が2020年に実施した「デジタルデータの経済的価値の計測と活用の現状に関する調査研究」調査によると、ICT化(情報通信技術化)に関連する業務慣行の改善について「社内業務のペーパーレス化」が最も選択され、約60%の企業が回答しています。

この結果から、多くの企業がペーパーレス化の必要性を認識し、積極的に取り組んでいることがわかります。また、企業だけではなく、国もペーパーレス化を推進するための法整備を進めています。

2005年には「e-文書法」が施行され、法人税法・会社法・商法・証券取引法などで保管が義務付けけられていた文書・帳簿・請求書・領収書などについて、紙媒体だけでなく電子化した文書ファイル(電磁的記録)での保存が認められるようになりました。

さらに、2001年に施行された「電子署名法」では、契約合意の証拠として電子署名やタイムスタンプが有効とされました。この法律により、紙の契約書を電子化することが可能となり、ペーパーレス化がさらに加速しました。

ペーパーレス化によるメリット

ペーパーレス化を推進するメリットは、下記の通りです。

  • コスト削減ができる
  • 業務の効率化につながる
  • セキュリティを強化できる
  • 働き方改革につながる
  • BCP対策になる

コスト削減ができる

ペーパーレス化が実現できれば、大幅なコスト削減が期待できます。

紙書類の管理には、紙の購入費用や印刷代、書類の保管・管理に必要なスペースの確保、さらには書類の発送や廃棄に関わる費用など、多くの経費が発生します。一方、ペーパーレス化が実現できれば、これらの経費を大幅に削減できます。

企業によっては、年間数十万円~数百万円規模のコスト削減が見込めるでしょう。

業務の効率化につながる

ペーパーレス化により、情報共有や検索性が大幅に向上し、業務の効率化につながります。

電子化された文書は、複数人で同時に閲覧・編集でき、最新の情報を常に共有できます。これにより、最新の情報を常に共有でき、情報伝達の遅れや認識の違いなどによるトラブルを防げるでしょう。また、ファイル名やキーワードで瞬時に文書を探し出せるため、業務のスピードアップにつながります。

このようにペーパーレス化は、情報共有と検索性の向上により、業務の効率化に大きく貢献します。

セキュリティを強化できる

電子化した資料にパスワードやアクセス権限を設定することで、不正アクセスや情報漏洩のリスクを大幅に低減できます。

例えば、機密性の高い資料には、閲覧できる人を限定することで、情報の流出リスクを下げられます。また、パスワードを定期的に変更したり、複雑なパスワードを設定したりすることで、セキュリティを強化できるでしょう。

電子化した資料は、紛失のリスクの低減にも効果的です。紙の書類は、物理的に保管する必要があるため、火災や水害などの災害時に失われてしまう可能性があります。

一方、電子化した資料は、クラウドなどのオンラインストレージにバックアップを取ることで、万が一の際にもデータを復旧可能です。このようにペーパーレス化することで、情報漏洩や紛失のリスクを低減し、重要な書類を安全に管理できます。

働き方改革につながる

ペーパーレス化は、働き方改革を推進する上で重要な取り組みの一つです。
電子化された文書は、オフィス外からでも閲覧できるため、場所や時間に縛られない柔軟な働き方を実現できます。

具体的には、クラウドサービスを活用することで、自宅やカフェ、出張先など、どこにいても必要な資料を閲覧・編集できるようになります。

これにより、個々の事情に合わせた働き方が可能となり、ワークライフバランスの向上にもつながるでしょう。

BCP対策になる

ペーパーレス化は、BCP(事業継続計画)対策として、非常に有効です。
BCPとは、自然災害や事故、パンデミックなどの緊急事態が発生した際に、事業を継続したり早期復旧したりするための計画や取り組みのことです。

紙の書類は、地震や水害、火災などの自然災害によって、物理的に損傷を受けたり、紛失したりするリスクがあります。特に、企業にとって重要な書類が失われてしまうと、事業の継続や復旧に大きな支障をきたす可能性があるでしょう。

一方、ペーパーレス化すれば、自然災害などで物理的な被害を受けたとしても、バックアップデータから速やかに復旧でき、事業の早期復旧や継続が可能です。

ペーパーレス化によるデメリット・注意点

ペーパーレス化によるデメリットや注意点は、下記の通りです。

  • 資料が見づらい場合がある
  • システム障害やネット環境の影響を受ける
  • 導入コストと手間が発生する

資料が見づらい場合がある

電子化した資料は、複数枚を同時に参照する際などに見づらくなる場合があります。
紙の資料であれば、机の上に複数の資料を並べて閲覧できますが、電子化された資料の場合、一つのディスプレイに表示できる情報量には限りがあります。

この問題を解決するには、大きなディスプレイや複数のディスプレイの導入が効果的です。

例えば、27インチ以上の大型ディスプレイを使用したり、デュアルディスプレイやトリプルディスプレイで環境を整えたりすることで、同時に複数の資料を表示でき、紙の資料と同等の見やすさを確保できるでしょう。

部署によって参照する資料のボリュームは異なるため、ニーズに合わせてディスプレイのサイズや台数の検討が必要です。

システム障害やネット環境の影響を受ける

電子化した資料は、サーバーやクラウドに保存されているため、システム障害が発生すると、アクセスできなくなる可能性があります。

この場合、業務に必要な資料が閲覧できず、業務が停滞してしまいます。また、ネットワーク回線が不安定な場合、資料の読み込みに時間がかかったり、表示できなかったりするため、業務効率の低下につながる可能性があるでしょう。

導入コストと手間が発生する

ペーパーレス化を推進するためには、導入コストや手間が発生します。
具体的には、存の紙書類をデータ化する作業の手間や電子化した文書を管理・運用するためのシステムの導入コストが必要です。

また、導入したシステムを社員が使いこなせるようにするための教育も必要です。新たな業務フローを整備し、定着させるためには一定の時間と工数がかかります。

ペーパーレス化を進める方法

ペーパーレス化を進める方法は、下記の4ステップです。

  • 課題やペーパーレスの必要性を認識させる
  • ツールやシステムを選定する
  • マニュアルを整備する
  • ペーパーレス化する書類を整理し実行する

1.課題やペーパーレスの必要性を認識させる

ペーパーレス化を進めるには、はじめに現状の課題やペーパーレス化の必要性を全社員に認識させましょう。

例えば、1ヶ月あたりの印刷枚数や、書類の保管に必要な棚のスペースなどを数値化します。これにより、紙の使用量や保管コストが可視化され、ペーパーレス化による削減効果を具体的にイメージできるでしょう。

また、紙の使用量を数値として提示することで、ペーパーレス化の意義や必要性をより説得力を持って伝えられます。例えば、「年間で○○枚の紙を使用しており、これを電子化することで、年間○○円のコストを削減できる」といった具合です。

このように、個人や部門ごとの課題を可視化し、ペーパーレス化のメリットを定量的に示すことで、会社全体としてペーパーレス化を推進できるでしょう。

2.ツールやシステムを選定する

ペーパーレス化の成功には、自社のニーズに合ったツールやシステムの選定が重要です。

現在、多くの企業からペーパーレス化に関するツールやシステムがリリースされており、そのなかから自社に最適なものを選ぶ必要があります。

機能が豊富なツールやシステムも多数ありますが、自社にとって不要な機能が含まれていると、コストが高くなったり、使い勝手が悪くなったりする可能性があります。

そのため、自社にとってどの機能が必要なのかを見極め、比較検討しなければいけません。また、無料トライアルを提供しているツールやシステムがあれば、実際に使ってみるのもおすすめです。実際に使ってみることで、使いやすさや機能の充実度などを確かめられます。

ツールやシステムの選定は、ペーパーレス化の成否を左右する重要な要素です。自社に必要な機能を明確にし、慎重に比較検討しましょう。

3.マニュアルを整備する

ペーパーレス化を成功させるには、ツールやシステムを導入して終わりではなく、社員がスムーズに使いこなせるように、マニュアルを整備しましょう。

具体的には、下記のような内容が考えられます。

  • ペーパーレス化後の業務フロー
  • ツールやシステムの操作方法
  • ファイルの保存方法や命名ルール
  • セキュリティに関する注意点
  • トラブル発生時の対処方法

マニュアルは、文章だけでなく、画面のキャプチャ画像などを活用することで視覚的にわかりやすく、理解しやすいマニュアルになります。

また、マニュアルだけでは十分に理解できない社員もいるため、
必要に応じて研修を実施するなど、サポート体制の整備も必要です。

4.ペーパーレス化する書類を整理し実行する

既存書類のデータ化には、時間と手間がかかります。そのため、全ての書類を一度にデータ化するのではなく、優先順位をつけて段階的に進めましょう。

具体的には、日常業務で頻繁に使用する書類や、法的な保管義務がある書類から着手するのがおすすめです。日常業務で頻繁に使用する書類をデータ化することで、業務効率の向上や情報共有の円滑化など、ペーパーレス化のメリットを早期に実感できるでしょう。

また、法的な保管義務がある税務関連書類や契約書などの書類も、優先的にデータ化しましょう。これらの書類は、一定期間の保管が義務付けられているため、電子化しておくことで、万が一の際にも復旧できます。

書類のデータ化を進める際は、時間が経過して不要になった書類の処分も同時に行います。長年保管されている書類のなかには、すでに必要なくなったものがあるかもしれません。処分する基準を定めて慎重に処分しましょう。

ペーパーレス化に成功した事例

ここでは、ペーパーレス化に成功した企業事例をご紹介します。
今回ご紹介する事例は、下記2例です。

  • ヤングドライグループ
  • 株式会社カワトT.P.C.

ヤングドライグループ

ヤングドライグループ株式会社は、愛媛県でクリーニング事業を展開している企業です。
同社では以前、決算書や賞与基準を先代社長と現社長のみが把握しており、社員への情報開示が不十分な状況でした。

そのため、社員の数字への責任感や、評価への納得感を生みにくいという課題を抱えていました。

この課題を解決するために、同社ではPOSレジを導入し、会計システムと連携することでペーパーレス化を推進しました。これにより、経営に関する数字を社員へ情報開示できるようになりました。

情報開示が進んだことで、自身の仕事が会社の業績にどのように影響しているのかを認識できるようになり、一人ひとりの責任感や仕事への意識が高まりました。

本事例の詳細は、下記からご覧ください。

ヤングドライグループ ペーパーレス化事例

株式会社カワトT.P.C.

株式会社カワトT.P.C.は、山口県でマンションの給水給湯の配管や水栓金具部品を製造する企業です。

同社では、退任予定の副社長が持つ知識やノウハウの伝承が課題となっており、デジタル化3年計画を構想し情報共有の円滑化と業務の見える化に取り組みました。

当時の社内システムは、ITベンダーに全面委託し開発したものの、社員が使いこなせていませんでした。そこで、約1年をかけて、受注から組立施工、在庫管理、納品までの業務フローと業績管理を一元化した基幹システムを構築しました。

基幹システムの構築により、工程内検査や出荷前検査の記録がデータ化され、ペーパーレス化に成功しました。また、生産状況や営業の進捗状況を全社で共有できるようになりました。

本事例の詳細は、下記からご覧ください。

株式会社カワトT.P.C. ペーパーレス化事例

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引用元:システム開発のIC

株式会社ICは、ITソリューション事業で40年以上の実績を誇る企業です。
経験豊富なITコンサルタントやエンジニアが多数在籍しており、お客様の課題やニーズに合わせて最適なペーパーレスツールをご提案し、導入までワンストップでサポートさせていただきます。

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まとめ

本記事では、ペーパーレス化によるメリットや注意点、進める方法を詳しく解説しました。

ペーパーレス化は、コスト削減や業務効率化、BCP対策などのメリットから、多くの企業で導入が進められています。一方で、電子化された資料の見づらさや導入コストの負担などの注意点があります。

ペーパーレス化を成功させるためには、ツールやシステムを導入するだけではなく、円滑に運用するためのルールの整備やサポート体制が重要です。本記事を参考に、自社のペーパーレス化を推進しましょう。

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