クラウドコンピューティングが浸透する現代において、インフラストラクチャを意識せずに開発ができるCloud Functionsが注目を集めています。Cloud Functionsは、クラウド上でコードを実行するFaaSの一つに分類されます。本記事では、Cloud Functionsの概要、AWS Lambdaとの違いや料金体系、メリット・デメリットなどを解説します。
目次
Cloud Functionsは、Google Cloud Platform(GCP)が提供するサーバーレスのクラウドコンピューティングサービスの一つです。
FaaS(Function as a Service)と呼ばれるサービスであり、サーバーの管理やスケーリングを気にすることなく開発に専念できることが特徴です。
サーバーレスについては、下記の記事で詳しく解説しています。
Cloud Functionsの料金は、関数の実行時間やメモリ使用量、リクエスト数、ネットワーク転送量の4つの要素に応じて決まります。
具体的には、以下の通りです。
実行時間 |
関数の実行時間に応じて課金 |
メモリ使用量 |
関数の実行に割り当てられたメモリ量に応じて料金が設定 |
リクエスト数 |
関数が呼び出された回数に応じて課金 |
ネットワーク転送量 |
関数がネットワークを介してデータを送受信する際、データ転送量に対して料金が発生 |
Cloud Functionsは使用する環境によって料金が変動します。そのため、Cloud Functions公式サイトで詳しい料金体系を確認しましょう。
出典:Cloud Functions
Cloud Functionsには、毎月無料で利用できる枠が用意されています。
具体的には、下記の通りです。
最後に、無料メモリストレージが月に5GB提供されます。これは関数が使用するメモリの一時保存領域に適用され、5GBを超えた分は通常のストレージ料金が発生します。
まとめると下記のようになります。
項目 |
無料枠 |
備考 |
トリガー |
月に 2万回まで無料 |
HTTPトリガー、Cloud Pub/Subトリガーなどが対象 |
実行時間 |
月に 400,000GB秒まで無料 |
1GBのメモリで1秒実行すれば1GB秒と計算される |
メモリ |
月に 5GBまで無料 |
関数が使用するメモリの一時保存領域に適用超過分は通常のストレージ料金 |
無料枠を活用することで、Cloud Functionsを試したり小規模に利用したりすることができます。
Cloud FunctionsとAWS Lambdaは、ともにサーバーレスでアプリケーション開発ができる環境を提供するFaaSに分類されます。しかし、対応言語や最大実行時間、料金体系などが異なります。
具体的には、下記のような違いがあります。
項目 |
Cloud Functions |
Lambda |
対応言語 |
Go、Python、Java、Node.js、PHP、Ruby、.NET |
Go、Python、Java、Node.js、Ruby、PowerShell、C# |
OS |
Linux |
Amazon Linux |
最大実行時間 |
540秒 |
900秒 |
料金体系 (100万リクエスト) |
$0.4 |
$0.2 |
料金体系 (GB-秒あたり) |
$0.0000025 |
$0.0000166667 |
双方ともにFaaSであるものの、サービス内容やOSなどが異なるため、要件に合わせて適切なサービスを選択することが大切です。
AWS Lambdaについては、下記の記事で詳しく解説しています。
ここからは、Cloud Functionsのメリットをご紹介します。
Cloud Functionsのメリットは、以下の通りです。
Cloud Functionsはサーバーレスのアーキテクチャのため、従来のようなサーバー運用が不要です。サーバーの構築や脆弱性などのパッチ適用など、運用作業を自身で行う必要はありません。
また、プラットフォームの接続がシンプルになり、簡単に保守できるようになるのも特徴です。
Cloud Functionsは、自動的にクラウドサーバーの台数を増減させるオートスケール機能も搭載しています。アクセス数などの負荷に応じて変動するため、事前にサーバー容量を決めておく必要はありません。
そのため、「思ったよりもアクセスが来なかった」「費用が無駄になってしまった」などのコストを無駄にすることがなくなり、コストダウンにつながります。
Cloud Functionsは、GCP(Google Cloud Platform)の他のサービスと統合でき、コードによる接続や拡張が可能です。
GCPのログ集約サービス「Cloud Operations」と統合されているため、モニタリングやロギング、デバッグなどの設定を個別に行う必要がありません。GCP上でログを一元的に収集・管理できるため、運用が容易になります。
Cloud Functionsは、GoやPython、Java、Node.js、PHP、Rubyなど、幅広い言語に対応可能です。
開発者は、要件に適した言語で開発を進められるため、生産性の向上やコードの保守性の確保が期待できます。また、複数の言語をプロジェクト内で使い分けることもでき、柔軟な設計が行えます。
ここからは、Cloud Functionsのデメリットをご紹介します。
Cloud Functionsのデメリットは、以下の通りです。
サーバーレスのデメリットについては、下記の記事で詳しく解説しています。
Cloud Functionsは、プログラムの実行ごとに料金が加算される仕組みとなっています。そのため、実行回数が多くなるほど料金が高額になる可能性があります。
たとえば、処理が重たいタスクを頻繁に実行する場合や、トラフィックが非常に多い場合などは注意が必要です。
導入する際は、予想される実行回数や処理の重さを考慮し、ある程度のコストを事前に算出しておくことが重要です。
Cloud Functionsは、GCPの各種サービスや機能と統合されているため、他のクラウドプロバイダーへの移行や切り替えが困難になる場合が多いです。
このように特定のサービスに依存してしまう状態のことを、ベンダーロックインと呼びます。
ベンダーロックインのリスクを回避するためには、クラウドサービスの利用は最小限に抑え、プロバイダー独自の機能への依存度を下げるなどが有効です。
関数が初めて呼び出される際には、実行環境の起動が必要です。この初回実行が遅延してしまうことを、コールドスタートと呼びます。
コールドスタートの原因は、関数が呼び出されるたびに新しい実行環境をプロビジョニングする必要があるためです。実行環境の準備には一定の時間を要するため、初回実行時に遅延が生じてしまいます。遅延時間が許容できない重要なユースケースでは、コールドスタートを回避する対策を検討しなければいけません。
ここからは、Cloud Functionsを導入するポイントをご紹介します。
Cloud Functionsを導入するポイントは、以下の通りです。
Cloud Functionsは使用量に応じて課金されるサービスなため、プロジェクトの予算内で利用できるかを事前に確認する必要があります。
主に、関数の実行時間やメモリ使用量、リクエスト数などがコストに影響を与える要因です。そのため、無料枠の利用上限や料金の上限設定を把握し、適切なコスト管理を徹底しましょう。
サーバーレスが活かせる開発・処理なのかどうかも検討する必要があります。
サーバーレスは、イベント駆動型のアプリケーションやマイクロサービスアーキテクチャに向いています。一方で、長時間の処理や大規模なデータ処理、高負荷のアプリケーションには適していません。
開発や処理の内容をよく吟味し、サーバーレスが適しているかどうかを判断することが重要です。
サーバーレスが活かせる開発については、下記の記事で詳しく解説しています。
Cloud Functionsを利用する際は、定期的なアップデートやメンテナンスを行うことが重要です。Googleによる新機能追加やセキュリティパッチの提供に合わせて、適時アップデートを実施することで最新の機能を活用でき、セキュリティリスクも最小限に抑えられます。
また、関数のバージョン管理やデプロイメント戦略を適切に設定し、計画的な保守を行うことで障害発生時の影響を最小限に抑えることができます。
引用元:システム開発のIC
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サーバーレス環境の構築を検討中の企業様は、ぜひICにご相談ください。
システム開発のIC
Cloud Functionsは、Google Cloud Platformが提供するサーバーレスのクラウドコンピューティングサービスの一つです。サーバー運用が不要で、GCPの各種機能・サービスと統合ができるなどのメリットがあります。一方、運用状況によっては料金が高くなってしまう場合や、ベンダーロックインリスクがあります。
導入時には、コストの見積もりと管理、サーバーレスに適した処理かどうかを検討しましょう。
サーバーレス環境の構築は、専門のITソリューション企業に相談するのがおすすめです。開発のプロにサーバーレス環境の構築を依頼しようと考えている場合は、システム開発のICにご相談ください。
※2024年5月時点の仕様です。現在は異なっている可能性があります。