近年、人工知能の発展はめざましく、ChatGPTに代表される大規模言語モデルが注目を集めています。
実際に国内の企業や自治体でもChatGPTの導入がはじまっており、業務の効率化や新たなサービスが創出される動きが出ています。
ChatGPTを業務に活用する際には、注意点や具体的な活用方法を理解しておくことが重要です。
本記事では、日本におけるChatGPTの活用状況や、業務で活用する具体的な方法について解説します。
目次
ChatGPTは、イーロン・マスク氏をはじめとした実業家たちが出資している人工知能の研究開発機関「OpenAI」によって開発されたAIサービスです。
ユーザーの質問に対し、AIが人間のような自然な対話形式で回答してくれます。
野村総合研究所の調査によると、日本のChatGPTへのアクセスはアメリカ、インドに次いで世界3位と高い水準にあります。
これは、日本国内でもChatGPTへの関心が高まっていることの表れといえるでしょう。
また、業種別のChatGPT利用度合いを見ると、情報通信業では認知率88.4%、利用率32.8%、製造業でも認知率75.6%、利用率19.2%と高い数値を示しています。
特にITリテラシーが高く、新しい技術への感度が高い情報通信業界では、ChatGPTのような最新のAI技術を積極的に活用する傾向にあるようです。
ビジネスにAIを活用していくポイントについては、下記の記事で詳しく解説しています。
ChatGPTは、ビジネスの現場で幅広く活用できる可能性を秘めています。
ここでは、実際の業務でどのようにChatGPTが活用できるのか、具体的な例を挙げて解説していきます。
ChatGPTを使えば、指示した内容に合わせて的確な文章を生成してくれるため、業務での文章作成を効率化できます。
例えば、取引先へのお礼メールを作成したい場合、「取引先にお礼したいので丁寧かつ感謝の気持ちが伝わるメール文を考えて」と指示するだけで、ChatGPTが適切な文章を生成してくれます。
さらに質の高い文章を生成するためには、どういった相手に対して、どのような目的や内容の文章を作りたいのかを、なるべく詳しく伝えることが重要です。
これにより、求める内容により近いものを生成してもらえるでしょう。ただし、ChatGPTが生成した文章をそのまま使用するのではなく、内容を確認し、必要に応じて修正やブラッシュアップを行うことが重要です。
ビジネスの現場では、海外の取引先とのメールのやり取りや、英語の資料を日本語に翻訳するケースがあります。
ChatGPTを活用すれば、英語から日本語、日本語から英語など、指示に応じて柔軟に文章を翻訳できます。
例えば、英語のメールを日本語に翻訳したい時は、「以下の英文を日本語に翻訳して」とお願いすれば、自然な日本語訳を生成してくれます。
逆に、日本語で書いた文章を英語に翻訳したい時は、「以下の日本語を英語に翻訳して」と指示すれば、英語に翻訳可能です。
また、ChatGPTは口語体の文章や砕けた表現など、ノンネイティブには理解しづらい文章であっても、わかりやすく翻訳してくれます。
このように、ChatGPTを使いこなせば、言語の壁を乗り越え、グローバルなコミュニケーションを円滑に進められるでしょう。
ChatGPTを活用することで、効率的に質の高い資料を作成できます。
例えば、「新商品の販促企画の提案資料の構成案を考えて」と入力すると、提案内容を相手にわかりやすく伝えられるたたき台を作成してくれます。
ChatGPTに出してもらった、たたき台を基に具体的な内容を肉付けしていくことで、提案資料を効率的に完成させられるでしょう。また、資料内で使用する表の作成にもChatGPTを活用できます。
例えば、「売上実績のデータを基に、売上推移を表すExcelの表を作成して」とお願いすれば、指定した数値を使って見やすい表を一瞬で作ってくれます。
これにより、手作業で表を作成する手間を大幅に削減でき、業務の生産性を高められるでしょう。
従来の情報収集では、GoogleなどのWebサイトを使って様々なページを閲覧したり、関連書籍を読み込んだりと、多くの時間と手間がかかっていました。
しかし、ChatGPTを活用すれば、インターネット上の膨大な情報源から関連性の高い情報を抽出してくれるため、情報収集にかける時間を大幅に短縮できます。
例えば、「SDGsとは何か、概要を教えて」と質問すれば、SDGsの定義や目標、具体的な取り組み事例などの要点を簡潔にまとめて教えてくれます。
また、「○○業界の最新トレンドは?」と聞けば、その業界の動向や注目の技術、キーパーソンの発言などを抜粋してわかりやすく説明してくれるでしょう。
ただし、ChatGPTはあくまで既存の情報を収集・分析して提示してくれるAIであり、最新情報をリアルタイムに反映できるわけではありません。
また、提示された情報が常に正確とは限らないため、信頼できる情報源で改めて確認することが大切です。
新規事業の立ち上げやサービス開発など、ビジネスにおいてアイデアや企画案を考える機会は多くあります。
しかし、ゼロから良いアイデアを生み出すのは容易ではありません。そんな時、ChatGPTを活用すれば、様々な切り口から企画案を複数提示してくれます。
例えば、「若者向けの新しい旅行サービスの企画を考えて」とお願いすると、下記のような企画案を出してくれるかもしれません。
このように、自分だけでは思いつかないようなユニークなアイデアをChatGPTが提案してくれます。
また、気になる企画案があれば、ChatGPTに「1のフォトジェニックな旅行プランについて、具体的な内容を教えて」と質問を投げかけることで、より詳細な企画書のたたき台を作成してくれるでしょう。
ChatGPTを活用すれば、作成したいプログラムの機能や要件を入力するだけで、コードの雛形を瞬時に生成してくれます。
例えば、「ユーザー登録フォームを作りたい。項目は名前、メールアドレス、パスワードの3つで、入力チェックも行いたい」と指示すれば、HTMLとJavaScriptを使ったユーザー登録フォームのサンプルコードを提示してくれます。
生成されたコードをベースに、細かな修正を加えることで、プログラミングの生産性を大幅に向上できるでしょう。
また、コードを書いていて解決できないエラーが発生した場合は、そのエラー内容をChatGPTに伝えると、エラーの原因や解決方法のヒントを教えてくれます。
このように、ChatGPTをプログラミングのアシスタントとして活用することで、開発効率の向上に役立ちます。
ここでは、企業・自治体におけるChatGPTの活用事例をご紹介します。
今回ご紹介する事例は、下記の通りです。
キャンプ女子株式会社は、日本全国の女性キャンパーに向けて、キャンプ場やキャンプグッズなどの情報提供やキャンプ体験を豊かにするサービスを提供している企業です。
同社では最新のAI技術であるChatGPTを導入し、新しいキャンプスタイルの提供を開始しました。
コンサルティング業務では、ChatGPTが提示する多様なアイデアを採用し、ユニークで魅力的なキャンプ場のプランを提案できるようになりました。
また、キャンプグッズの企画開発では、ChatGPTの分析力を活かし、ニーズに合致した商品開発が可能となりました。
さらに、ChatGPTの導入により、情報収集や分析、アイデア出しなどの業務を自動化・効率化できたことで、社員の業務負荷が軽減され、生産性の向上とワークライフバランスの改善にもつながっています。
本事例の詳細は、下記からご覧ください。
【キャンプをAIが支える】キャンプ女子が全社にChatGPT導入、新しい時代のキャンプ体験を提供
サントリー食品インターナショナル株式会社では、ChatGPTを活用し、「GREEN DA・KA・RA やさしい麦茶」の斬新なWebCMを制作・公開しました。
同社は、ChatGPTに理想の上司としてふるまうよう様々な指示を与えた上で、「GREEN DA・KA・RA やさしい麦茶」のWebCM案とキャスティングの提案を求めました。
そして、ChatGPTから出された提案を参考に、声優の白井悠介さんを起用し、CM案を映像化しました。
ChatGPTからは、「人間では思いつかないような予想外の展開が次々と提案されたため、完成したCMは新感覚な仕上がりになった」と、同社の担当者は語っています。
本事例の詳細は、下記からご覧ください。
サントリー、ChatGPTのCM案を映像化 声優の白井悠介さんがバレエダンサーになって高速回転
千葉県松戸市では、ChatGPTを活用し、職員の業務効率化に取り組んでいます。
同市は、ChatGPTを業務で活用する際に独自のガイドラインを定め、適切かつ効果的な運用を図っています。
具体的な活用方法としては、下記の通りです。
活用場面 |
具体的な活用方法 |
内部事務及び事務事業の企画立案等の工程における情報収集等 |
予算要求時の資料作成 |
行政サービスの案内等をする際の補助的手段 |
市民からの問い合わせ時に、参考情報としてインターネット検索をする代替として利用 |
住民等にわかりやすい文章作成の補助的手段 |
事業者とのメールやり取りなどの下書きなど |
文章の校正や表を作成する際の補助的手段 |
調べたいこと(例:専門用語)などの解説など |
業務の進め方の助言としての活用 |
業務の実施手段や作業項目出しの参考など |
Excel関数等を作成する際の補助的手段 |
予算、決算等の財務情報資料作成 |
このように松戸市では、ChatGPTを様々な場面で活用することで、職員の業務効率化を実現しています。
本事例の詳細は、下記からご覧ください。
生成AI「ChatGPT」の業務での活用を開始しました|松戸市
ChatGPTを業務に活用する時の注意点は、下記の通りです。
ChatGPTに入力された内容は、AIの学習やシステム改善のために利用される場合があるため、機密情報の入力は避けましょう。
入力情報がそのまま登録され、誰でも参照できるようになるケースは稀です。
しかし、万が一ChatGPT側の学習データが漏洩した場合、入力した自社の機密情報が漏洩するリスクがあります。
特に、個人情報や企業の重要な情報が流出すれば、大きな損害につながりかねません。そのため、社内でChatGPTの利用ルールを定め、機密情報の取り扱いについて周知徹底しましょう。
ChatGPTは、ユーザーからの質問に対して、その都度新しい回答文章を生成します。
そのため、他のWebサイトの文章をそのままコピー&ペーストするようなことは基本的にありません。
しかし、ChatGPTが生成する文章は、学習データに基づいて作成されるため、既存の文章と似たような表現になってしまう可能性があります。
ChatGPTの回答をそのまま使うのではなく、自分の言葉で言い換えるよう心がけましょう。
生成された文章を参考にしつつ、表現を工夫して自分のオリジナル文章にすることが重要です。
ChatGPTは、問題を解決するための適切な回答を返してくれる便利なツールです。
しかし、ChatGPTが提示する情報が常に正しいとは限りません。
ChatGPTの学習データには、事実と異なる情報や古い情報が含まれている可能性があります。
例えば、ChatGPTが提示した法律や規則に関する情報が実は古いものだった場合、それを基に行動すると法令違反のリスクがあります。
そのため、ChatGPTの回答をそのまま鵜呑みにせず、別途信頼できる情報源でファクトチェックを行うことが重要です。
ChatGPTは、ユーザーの指示に応じて的確な回答を返してくれる優れたAIツールです。
しかし、質問の内容や与える情報が不十分だと、期待通りの回答が得られない可能性があります。
例えば、「新商品の企画書を作成したいので、参考になるアイデアを出して」というざっくりとした指示では、具体的にどのような商品のアイデアを出せばいいのかわからず、的外れな回答をしてしまうかもしれません。
そうなると、何度も指示を修正しながらChatGPTに聞き直す必要があり、かえって時間がかかってしまうでしょう。
ChatGPTを効果的に活用するには、他社や他部署ですでに活用されているプロンプト(指示)を参考にしたり、自社の業務内容や目的に合わせて、オリジナルのプロンプトを考えたりなどの工夫が必要です。
ChatGPTを業務に活用するなら、システム開発会社への依頼がおすすめです。
ChatGPTを業務で使いこなすためには、目的に合った適切な指示の出し方や、バリエーション豊かな問いかけ方を習得する必要があります。
また、機密情報の取り扱いや提示された情報の真偽の見極めなど、ITリテラシーを高めることも重要です。
システム開発会社であれば、ChatGPTをはじめとするAIに精通したエンジニアやコンサルタントが在籍しています。
彼らは、ChatGPTの特性を深く理解した上で、企業の業務内容や課題に合わせたChatGPTの活用方法を提案してくれます。
また、ChatGPTを使う上での注意点やセキュリティ対策なども、専門家の視点から指導してくれるでしょう。
引用元:システム開発のIC
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本記事では、日本におけるChatGPTの活用状況や、業務で活用する具体的な方法について解説しました。
ChatGPTは、文章生成や翻訳、資料作成、情報収集、アイデア出し、プログラミングなど、様々な業務で活用でき、実際に企業や自治体で導入する事例が増えています。
ただし、ChatGPTは万能ではありません。活用する際は、機密情報の入力は避ける、回答をコピペしない、情報を鵜呑みにしないなどの注意が必要です。
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